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57話 学内対抗異能戦 2

 Aブロックの一回戦の第一試合が終了した後、美理みことは知っている人たちがどのくらい出ているか、トーナメント表を見てみた。

 魅希が出ているなら紗希も出ているな、しずく先輩にまつり先輩も出ているし、文愛あやめ生徒会長も出ている、依吹先輩も出ているな、あと……あれっ未来が出てるじゃないか、我が妹が本戦に出ているとは……まあ流石に決勝まではいかないよな……

 とまあそんな感じで見ているうちに次は紗希が出ているAブロック第三試合だ。

 紗希は終始余裕で刀型の武器アイテムで相手を圧倒して普通に勝利した。

 魅希も強いが紗希も強いな。続いてAブロック第四試合。しずく先輩の番だ。相手は確か瞬間移動の能力者だったような。試合が始まる。そして一撃でとはいかないが、しずく先輩が血の剣を叩きこんで吹っ飛んでいく瞬間移動の能力者。そのまま血の連弾を叩きこまれて、何もできないままやられた。

 続いて、Aブロック第五試合は特に知らない奴なので割愛。続いて、Aブロック第六試合は文愛生徒会長の番だ。文愛は予選では素手だったのに、今度は長い棒を持っている。そういえば文愛は棒術もやっていると言ってたような。そして相手は棒で投げ飛ばされた。どうやっているんだろ? まあ愚問だな。あいつには常識は通用しないからな。

 そして棒で滅多打ちにされた相手はそのまま気絶した。

 文愛は本当に何者なんだよ。そして続いてはまさかの本戦出場を果たしたうちの妹未来が登場だ。

 相手は強そうな強面な三年生だ。能力は身体強化系だと思われる。未来は剣術を習っているので、武器アイテムの剣を持っている。そのまま身体強化系の能力者を圧倒した。

 未来の剣術のレベルは依吹先輩よりも上をいっていると思われる。武術なら美理のほうが上だが、剣術となると未来が上をいくレベルだ。だが、それでも兄の面目なのか美理が勝つこともしばしある。

 未来は相手の行動を先読みできるので、どのように攻撃してくるかが判断できるので、つねに相手の一枚先を行くのである。

 未来に剣術で勝てそうなのはしずく先輩ぐらいだと思われる。

 未来が勝利した後、美理のほうを見てにこやかにほほ笑んだ。美理はそれを見て、にこやかに微笑み返した。

 あいつは本当に可愛いな。と美理は兄馬鹿ぶりを発揮した。

 その横で、ほほぅと見ていたのか、文愛が美理をジト目で見ていた。

「文愛生徒会長!? いつの間にそばにいたんだ」

 美理はほんの少しだけ動揺したが、直ぐに普段の調子に戻り、問いただす。

 すると文愛は小悪魔的な表情で舐めるように美理の顔を見て、妖美な美しさと可愛さを持つ自分を理解している少女的なお子様体系だが、それでもなお体に似合わずに爬虫類のような獲物を狙い撃つ眼で美理を軽く睨んでこう呟いた。

「美理君は世間ではシスコンのロリコンで変態さんだと噂されてるわよ」

「ぶっ!??」

 思わず吹き出しそうになった美理だが、すぐに冷静になり、文愛にこう発言する。

「なんの冗談だ。なんの……その眼は俺をからかったな生徒会長」

「あらばれてしまったのね。でもそんな風に怒った眼をする美理君も好きよ私」

「あんたみたいな嘘か本当かわからないようなことを言う女は俺は苦手ですね」

「ならその苦手を克服すればいいじゃないの。私が手取り足取り教えてあげるからね美理君」

「近寄るんじゃねえ。また俺の心を覗き見するんだろ」

「いいじゃない別に。どうせいつか二人で一緒になるんですもの。今のうちに慣れておかないとね」

「おい……何時にも増して様子が可笑しくないか? なんでこんなに今日はぐいぐいくるんだよ。なんか悪いもんでも食ったか?」

「あなたのことを毎日寝る前も考えて体が疼くのよと言ったら?」

「もういい加減にしてくれ。俺はいきなりなんでこういうことに免疫は無い」

「だから私で慣らしておけばいいのよ。美理君は女の子に免疫が無いから仕方ないものね」

 そう言って文愛が美理の左耳に息を吹きかけてくる。はたから見たらいちゃついているようにしか見えない。そしてあまりにも目立っていたのからか、先の試合から美理のことが少し心配していた未来が音もなく忍び寄っていた。

「お兄様。随分と文愛先輩と仲がよろしいのですね」

 その未来の顔は憤怒に包まれていた。ただそれを表情には微塵に魅せず、眼は笑っているように見えた。

「未来……まあ色々とあってだな……」

「まあいいでしょう。私はちっとも気にしてませんから」

 ぷいっとした表情で顔を横に振り、頬を膨らませる未来。そのまま美理をもう一度睨むような眼で見て、呟く。

「どうせ私は兄妹だから相手にしてくれないんだね……」

「うんっ? 未来なんか言ったか?」

「お兄様なんて知りません!!」

 そう言ってどこかに行ってしまう。そのまま美理は見送るしか出来なかった。

 文愛が隣にいるが気にせずに、続きの試合を見ている。

 まつり先輩が出ている試合だ。Aブロック第八試合。つまりAブロック一回戦の最後の試合だ。

 まつり先輩は素手だ。何故か指輪をしているが別にそれは気にならない。相手は一年生の女の子。能力は知らない。

 試合が始まる。一年生の女の子が勢いよく駆ける。そのまま右手を突き出す。武闘系なのかな? そのまままつり先輩に当たりそうなところ、まつり先輩がバックステップで避ける。そして手を振ると、強烈な風が巻き起こる。一年生の女の子が吹っ飛ばされる。

 まつり先輩がさらに手を振ると、風がかまいたちのような威力で女の子に襲い掛かる。

 そのままダメージを与えて止めの風の突風で吹き飛ばして地面に叩きつけた。

 これで試合は終了。続いて十分の休憩のあとにBブロックの試合が始まる。

 Bブロック第一試合御剣剣司とかいうやつの試合だ。

 剣を持っているダジャレか。剣ばっかな名前だ。普通にまあまあやるようだ。

 Bブロック第二試合。風の能力者が勝った。

 Bブロック第三試合、美理の闘いが始まる。相手は知らない。ただの普通の一年生。

 確か美理のデータベースによると『高速移動トップスピード』の能力者だ。

 ようは速く動ける能力だ。100メートルを三秒くらいで走れる。なかなかの能力だ。

 でも美理はその上の上位互換能力『超速覇動速足バーストスプレマシークイックレッグ』を持っている。具体的に言うと1000メートルを一秒もかけないで移動できる。

 その速さはまさに超速だが近距離だと微妙に速度が出ないので使いづらいという欠点がある。だが、美理はその欠点を克服した。これにより近距離でも相手の背後を一瞬で盗ることができるようになった。

 美理は上位互換の能力で後ろを取り、首を手刀の一撃を加えた。これにより相手の一年生は気絶。気絶は負けと同じになる。これにより美理は第一回戦を勝ち抜いた。

 美理は当然勝つという考えを捨てて、虫にも全力を持って相手をする。つまり本気を出すという闘い方で勝負した。なので美理はそのように油断して負けるような屈辱的な負け方だけは避けた。

 その後は安手さんや依吹先輩が勝っていく中、Bブロックの一回戦がすべて終了した。

 その後Aブロックの第二回戦つまり準々決勝が始まる。

 Aブロック準々決勝第一試合、魅希が終始余裕で相手に勝つ。ここまでは予定調和だ。

 続いてがある意味注目な試合だ。紗希としずく先輩が闘う。

 紗希はかなり強いとい思うが、しずく先輩に勝てるとは到底思えない。

 美理はそう考えていた。

 実際しずくの実力はレベル5の戦闘訓練を受けた兵士に匹敵する。

 いやそれ以上の実力だと思われる。美理はしずくの実力を完全に把握してない。なのでこの機に見ておくべきだと考えていた。

 試合が始まる。まずは紗希が刀型の武器アイテムを構えながら、しずくに近づく。

 その時の紗希の動きは疾風のごとく駆ける豹のような鋭さがある動きだった。

 そのまま斬りつける紗希。しずくは血の剣を作り出して対峙する。刀と剣が交差する。その後しずくが紗希を一歩先に追い抜く。そのまま血の砲弾を作り出して吹っ飛ばす。

 マシンガンのような血の連弾を放ち、紗希を追い詰める。

 だが、紗希もそれを容易に躱して、距離を詰める。そのまま疑似刀を振い、技を放つ。

「邪払斬!」

「ふんっ!」

 しずくは紗希の技を血の籠手で防いで、血の剣で横薙ぎに一閃。そのまま弾き返すような一撃で対処した。

 その後しずくが禍禍しいオーラを放つ剣を出した。

「血塗られた狂剣」

 そう呟き揺れるような動きで紗希に音もなく忍び寄り、背後を盗った。

 後ろからの強烈な斬撃をまともに受ける紗希。

 当然ただじゃすまない。

 物凄く遠くに弾き飛ばされ受け身をとれずに背中から着地する。

 そのまま土を体に纏わせながら転がり回り動かなくなる。

 しかし紗希は直ぐに跳びだすように立ち上がりながら走り出して、しずくを狙う。

「響乱斬!」

「血の桜吹雪」

 紗希の響き渡るような乱れた斬撃を血の桜の花びらのような物が包み込むように受け止めて、弾いて紗希の獲物を弾き飛ばした。

「しまっ……」

「鮮血の刃」

 しずくが狂剣を紗希に放つと、紗希の腰当たりの部分から大量の血液が、破裂した容器から液体が漏れるようにドクドクと血が噴き出す。

 そのまま紗希は負けてしまい、治療班に保健室に運ばれて治療された。

 しずくはやはり強い。二年生ながらこの学校で最強の実力を備えていると思われる。

 美理はしずくの実力の一端が見れて、少しだけ満足した。

 その後Aブロック準々決勝第三試合で文愛が誰かに勝利して、続いては第四試合だ。

 ある意味注目の試合だ。未来とまつり先輩との試合だ。

 未来の実力は兄である美理は知っていたが、あまり実戦をするというか普通はしないだろう。

 そういう意味で初めて兄である美理は未来の闘いが見れる貴重な機会である。

 そして美理はしっかりと未来の闘い方を見るのである。

 その試合は何が起きたのかよくわからなかった。

 未来がまつりの風の攻撃を避けながら、謎のエネルギー弾が空中に出現したと思ったら、それがまつりに当たり、まつりが突然動けなくなる。

 その後未来がまつりを斬りまくる、斬りまくるそして今度はまたもや謎のエネルギー弾が空中に瞬時に現れてまつりに襲い掛かり、まつりがまたもや動けなくなるのではないがふらふらと辺りを見ている。

 そのまま斬られまくる。もはやリンチに等しい。そしてまつりにまたも謎のエネルギー弾が当たり、今度はグルグルとその場で回転する。

 そしてその隙に斬りまくる未来。

 そして体力ゲージが無くなり未来の勝ちになる。

 なんとも謎な試合であった。美理はそれを苦笑して見ていた。

(未来のやついくらなんでも本気出しすぎだろ……色んな未来弾使ってるし未来とはある意味闘いたくないな……)

 美理はそう心中にあった。

 これによりAブロックの準々決勝が全て終了した。

 続いてはBブロックの準々決勝が始まるのであった。


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