45話 現実への帰還そしてその時のみんなは……
現実へと帰還した俺は隣の病室鈴子がいる病室に足を踏み入れた。
部屋に入るとそこにはシオウと鈴子がいた。
鈴子はもう眼を覚ましていた。
「鈴子平気か!?」
「なんや竹男もう起きてたのか」
「竹男さんおっはー!」
どうやらペナルティとかいうのは杞憂に終わったようだ。
鈴子の様子に何も変化は無い。
特に心配することも無かった。
「鈴子ちゃんはさっき起きたばっかりだよね」
「そうやな先ほど眼を覚ましたんや」
「よかった無事で何も変わりないんだな」
「うんあの時ゲームオーバーしたんだろうけどそれからの記憶がないんだ。竹男さんも無事だったんだね良かった。もしかして竹男さんがゲームをクリアしたの?」
「そうなんだ俺がクリアしたんだよ最後にあいつを倒して……」
そう言えばルカはどこの病室にいるんだろう。
いやもしかしたら病室にはいないのかもしれない。
それより今何日だ。
「シオウ今何年何月何日だ?」
「2045年4月3日やけど……あれから9日経っているな」
そのとき俺は驚愕した。
あの大冒険がたった9日!? そんな馬鹿な。
「高速リアルダイブ方式だからね」
鈴子が助言する。
「そうだな確か体感時間が現実の一時間がゲームの十時間になるという……」
「そうそれだよ俺あんまししらないけどね」
美知もなんかわかった気がしている。
「まあなんだ鈴子は特にかわりないけどしずくのほうは……まあいい言うたくない……自分の目で確かめることだな」
「どういうことだ!? しずくに何があったんだ?」
「行って来い」
俺は直ぐさましずくの病室に行った。
◇
しずくの病室に入るとそこには知らない女性とまつりさんがいた。
「あっこんにちはええっと……」
「私はしずくの母です。朱家美麗と申します。竹男さんあなたのことは伺っています」
「あっどうもこんにちはしずくのお母さん。それでしずくの様子が何かあると聞いたのですが?」
「それが……私のことは覚えているのですがまつりさんやあなたのことを覚えていないらしく……」
「なんだって!?」
「あのお母さんこのまつりと言う人が私の先輩だと言うのはわかったけどこの人は誰ですか?」
俺はあまりのことに落胆した。
あの野郎こういうことだったのかペナルティと言うのは……
まさかしずくから俺達の記憶を消すなんて。
どうやら家族のことは覚えているが俺達のような近しい友人のことは全てきれいさっぱり忘れてしまったようだ。
まつりさんや美知や鈴子やシオウや電工のこともスワルのことさえ忘れてしまっている。
「俺だよ竹男だ。本当に忘れてしまったのかしずく?」
「すいません覚えてません。あなたのことはさっぱり記憶にありません」
「竹男君……悲しまないで私もどうも忘れられているようなの」
まつりさんが話しかけてきた。
その顔は暗かった。
でもそれでもまだ諦めないという心意気は伝わってきた。
「しずく本当に覚えてない私よまつりよあなたの御節介ばかりする先輩よ」
「すいませんそう言われても覚えてないので……」
ガクと雪崩のように崩れそうになるまつりさん。
でも仕方ないそういうことになるから。
しかしつまりゲームマスターの能力は記憶操作系の能力者だということが判明したのだった。
俺はしずくの病室を後にして、他のみんなはどうなったのか探した。
すると暁美さんの病室があったので入ってみた。
すると暁美さんがいた。
「竹男君なの?」
「暁美さん……俺のこと覚えているんですか?」
「ええ覚えていますよ」
意外なことに暁美さんは俺のことを覚えていた。
だが何か引っかかる。
俺はある人のことを尋ねる。
「同じ劇団員のストリートミュージシャンの彼のことを覚えていますか?」
「誰のことですか竹男さん?」
やはり……どうやら覚えていないようだ。
「あなたが好きだと言った男性です」
「私に好きな人は現在いませんが」
どうやら特定のだれかの記憶だけを消すことも出来るらしい。
それから俺は少しだけ暁美さんと団らんした。
そして次はヴァルゼンさんを探した。
するとあっさり見つけた。
自販機でジュースを買いそうなところで見つけた。
「ヴァルゼンさん見つけましたよ!」
「竹男……あなたなの?」
あれなんか口調が違うような。
「ヴァルゼンさんもここの病院だったなんて驚きました無事だったんですね」
「はい……そうですあれから暫くして目が覚めて……最後まで頑張ったんだけど無理でした……」
なんか喋り方が弱弱しい。
もしかしてキャラが変わるタイプなのか?
「ヴァルゼンさんもしかしてネトゲだとキャラ変わる?」
「はい……ゲーム世界だと強気な自分になれます……だから現実の私はいつもこんなもんです」
「そうなんですか……それより本名は何て言うんですか?」
「千美夜春美です。春美と呼んで下さい」
「春美さん……ですかああだから春に濁点でヴァル千に濁点でゼンでヴァルゼンですね」
「よくわかりましたね……そうですそれが私のゲームでの名前の由来です」
それから少しだけ談笑した。
ヴァルゼンさんいや春美さんはゲームでは活発な女だったが現実では御淑やかな女だった。
そして今度は森男君を探した。
隣だった。
ヴァルゼンさんの。
尋ねると森男君はいたお母さんもいた。
「竹男さん。会いたかったです~」
「森男この人は?」
「ゲームの世界で仲間だった人ですお母さん」
「それはありがとうございます。竹男さん森男と一緒にいてくれて」
「いえ別に当然です仲間なんですから」
それからお母さんは席を外して俺と森男君で話をした。
内容は実は僕は弓道をしていてなかなか腕がいいと聞かされた。
そして次にスワルを探した。
あった奥の病室に王堂座と書かれている病室があった。
「スワル大丈夫か?」
「竹男さんあれから何があったんですか?」
「それはこっちのセリフだ。どうしたんだあれから?」
「実はですね……」
どうやらあれからテルネアスと共に90階層に飛ばされて95階層まで行ったがそこで光に包まれて世界が崩壊したとか。
どうやら俺がクリアした瞬間だということがわかった。
そしてそこでテルネアスの病室を探したが居なかった。
どうやらテルネアスは本名じゃないからわからない。
しかもあれから探したが居ない。
どうやら別の病院にいるかもしれない。
謎の多い少女だから仕方ない。
俺はそして屋上で一人黄昏ていたがそこにルカが現れた。
「ルカお前今までどこにいたんだ?」
「すいません一人家にいました」
「9日も一人で? 大丈夫なのか!?」
見るとかなりやつれていた。
そりゃそうだ9日も一人でこん睡状態なんてよく無事だったと言える。
「無事で何よりだ……それで俺に無事の姿をを見せたかったのか?」
「まあそんなところです。良かった竹男無事で……」
「俺もだルカ……心配したよ病院を探してもお前の姿を見つけられなかったから」
「それより二人でお話ししようよ」
「そうだな」
そしてつまるところの話をした。
これまであった大冒険の話を何度もした。
だが現実の彼女のルカのことを聞いてみたかったが……何故か現実での彼女のことを聞きづらい感じだったので聞けなかった。
そして俺はもう帰るのかと彼女に聞くとうんとだけ言って帰って行った。
そして明日になったら退院だと院長さんに聞かされた。
そう言えば会社も休んでいたからいかないとな。
俺は今日はもう寝ることにした。
しずくの記憶は元に戻るのだろうか。
俺はしずくのことを考えて寝た。
そういえば鈴子の態度も少しだけ違和感を覚えた。
恋人みたいな関係だったのにもうそれすらも忘れているかのように……まさかそういうことなのか?
俺は一つの心配を思わせて就寝するのである。
これにて第三章は終わりです。
長かったVRMMO編は終わり現実へと舞台は移ります。




