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A8話 真歌のレベル6認定試験

「それはですね……そこのちっさい女の子真歌ちゃんがレベル6ではないかと思い声をかけました」

「レベル6だって!?」

 俺は素直に驚いた。

 レベル6。

 それは現在での超能力者のレベル制度のランクの中で最高のランクを誇る。

 そもそもレベル1は普通の人間と大差ないに対してレベル2から銃をもった一般人三人相手でも余裕で勝てるのに対してレベル3なら銃を持った警察官十人でも歯が立たないと言われている。

 そしてレベル4ともなれば戦車三体分の力を有しており、レベル5ともなれば一個中隊すらも壊滅させる実力を持っていると言われている。

 そしてレベル6ともなれば都市いや国すらも壊滅することが可能とも言われている。

 既にレベル5ですら人外の力を持っていると思われているのでその上であるレベル6なんて化け物中の化け物もはや人類ではないと思われるほどの実力を秘めているのである。

 そんなレベル6だぞ? いくら俺に不思議な力で俺の全能力をアップさせたり、犯人に言うことを聞かせてたりしてたけどそれだけで?

 そんな時に渚君が俺達に近づいてきた。

「胸騒ぎがあったので来てみましたが……もう終わってましたか」

「渚君遅いよ」

「まあお嬢様の場合護衛がいるのかというといささか疑問ですね」

「なんだお前真歌が不思議な力を使えることを知ってたのか」

「もちろんですよ。初めて僕に教えてくれたからね。それに実験台にされましたし……」

「実験台……」

 俺はなんとなく察しがついた。

「渚君にお願いしまくってたら全部言うこと聞くからもしかしたらただ執事と言う立場で私の能力関係ないのかなと思ってたんだけどね……」

 真歌が呟く。

 それで俺に能力をかけようとしたが殆ど通じないときたようだ。

 俺には通じないそのことにハカリさんが何かひっかかることがあるのかよく聞いてきた。

 だが原因は不明だ。

 何か能力に不備があるのだろうか。

 真歌が説明するには自分のこの能力名は「奇跡の声」と言うらしい。

 奇跡の声……なんとも凄まじい名前だな。

 その効果はまさに奇跡の声で言ったことが口から発した言葉通りになることが殆どだとか。

 何か買ってと誰かに命令すると買ってくれるし、石よ浮かべと言うとほんとに浮かぶし、自身の腕力を上げてと言うと本当に上がるからもはや自分は神なんじゃないかと思ったとか。

 でも長年飼っていた猫が死んだときに生き返ってと言ってみたが生き返らなかったのでどうも死んだ者は生き返らないのかもしれないとか。

 真歌の能力凄まじいな。

 死者復活のこと以外なら何でもできるとか……もはや能力とはなんだったのかと思われる能力だな。

 ただ暗示洗脳系の能力なのかと思うんだが、石が浮かぶのはどういう理屈なんだろうか?

 この世界の現実を捻じ曲げる能力とか?

 わからないことだらけだな。

 そしてハカリさんが言うにはまだわからないこともあるし能力の力の度合いとかもまだ判定不可能なところもあるから一度能力測定所という通称『サイキックエナジム』に来て欲しいとか。

 サイキックエナジムかまさに超能力者のジムと言ったところか。

 すると真歌が何か思いついたのかみんなで手を繋ぐように指示を出す。

「これでいいのか真歌?」

「お嬢様何をさせるのですか?」

「…………」

「ええとね……ハカリさん? そのサイキックエナジムはどこにありますか?」

「ええとここから歩いて十五分のところですけど……」

「名前は?」

「無限サイキックエナジムですが……まさか」

「それじゃあ無限サイキックエナジムに私たちを瞬間移動させて」

 すると俺達の姿は虚空のようにこの世界から一瞬だが消え去る。

 俺達はいつの間にか無限サイキックエナジムに来ていた。

「まさかテレポーテーションまで使えるとは……」

「俺も驚いた。テレポーテーションも可能なんてな」

「真歌お嬢様? これは出来ると踏んでやったのですか?」

「前に実は試にやったことがあってね。実証済みなのだー!」

 本当に出鱈目だな真歌の能力は。

 もうレベル6でいいんじゃないのか?

 とハカリさんに聞いたが一応認定試験というものがあるのでやりますと言った。

 認定試験ねえ……どんな内容なんだろうか?

 そして無限サイキックエナジムに入り、認定試験の会場としてまず真歌は個室に通された。

 まずは筆記試験だとか。

 時間は60分で簡単な口語テストだとか。

 そしてあっと言う間に終わらせて採点の結果満点。

 真歌は頭も良いのかと感心したが、実際小学生レベルではないらしい。

 本人いわく高校生レベルの問題なら解けるとか。

 そして問題の実技の時間となった。

 俺達も同伴させてくれるらしい。

 まずは重りを持ち上げる試験だ。

「これを持ち上げるのか真歌がか!?」

 それは物凄く重そうな重りだった。

「これで1000トンあります」

 ハカリさんがごく当然のように言う。

 1000トンっていくらなんでも無理があるだろ。

 俺は無理だろうと考えていたが真歌はそれを鼻で笑う。

 そしてついに持ち上げるかというときに真歌が大きな声で発言する。

「重りよ持ち上がって!!」

 そして1000トンもある重りは軽々と宙に浮かんだ。

 真歌はさも当然だろうという顔をしている。

 ハカリさんもまあ当然だなという顔をしている。

 そして次の試験に移るのかと思っらハカリさんがまだ続きがありますよと言う。

「こちらが本番です。今の重りの1000倍の重さ100万トンです。これがレベル6の最低ラインだと思って下さい。あっさっきのはレベル5の最低ラインなので」

 レベル5かよいやレベル5でも十分化け物クラスだというのがわかっただけあれか。

 そして真歌がこのくらいじゃないとねという顔をしているが本当にもちあがるのだろうか?

 そしてそんな心配を杞憂にするかのごとく真歌が軽々とその100万トンの重りを持ち上がるように重りたちに指示を出すと簡単に持ち上がった。

 流石にハカリさんも驚いている。

 まあ真歌ならやるとは思っていたが。

 そして次の試験に移る。

 今度はその奇跡の声が暗示催眠系の強度を測るために精神耐性の訓練を受けた対能力者用の人員を連れてきたとか。

 なんでも敵の能力者に捕まっても洗脳されたり催眠をかけられて寝返られたりしなかったり重要な情報を敵に渡さないようにするためだとか。

 普段は能力者育成機関関係の顧問を務めているとか。

 下嵐からんさんと言うらしい。

 年齢は二十代前半ぐらいで筋肉質の男性だ。

 特殊な訓練でも受けているのかとても強そうだ。

 実際空手は10段で柔道は3段で剣道は5段だとか。

 そしてカランさんが「さあどこからでも俺に言うことを聞かせればこの試験は合格だぞ!」とばっちこいな感じで真歌を手招きしている。

 真歌はなんでも命令していいの? と俺に聞く。

 いや何故俺に聞く……ハカリさんに聞けよ。

 俺はほどほどな内容ならいいぞと言ってしまった。

 そしてほどほどな内容の命令は以下の通りです。

「三回回ってワンと泣け!!」

「ワン!」

 カランさんはそれはもう恥ずかしそうにしていた。

 さてそろそろ試験も佳境に入ってきたので、今日はもうお開きにするとハカリさんが言い出した。

 続きは明後日に同じ時間に来て欲しいとのこと。

 そして今日はもう帰り後日俺達はまたここに来ることになった。


 そして当日そこは外のバトルステージと言う名の戦場だった。

 そこには見たことない男たちが三人いた。

 見たところ能力者だろう。

 今日は最後の試験ですとハカリさんがいう。

 この人たちと能力者ファイトゲームをして勝ったらあなたをレベル6として認定しましょうと言う。

 俺は流石に待ったと言った。

 真歌はまだ子供です能力ファイトなんて無理ですと言うが、いえ子供といえども真歌さんはレベル6候補なんですだからこのくらい勝てないと到底レベル6として認定はできませんとハカリさんが言う。

 なおこの人たちは全員レベル5ですよとハカリさんは言う。

 レベル5って殆ど人外レベルの奴らと真歌を戦わせるなんてやはり俺は止めた。

 でも真歌は別にいいよと了承する。

 こんな奴ら一ひねりよと自信満々な真歌。

 いくらなんでも実戦経験もないのに余裕綽々なのはどうなんですか真歌さん。

 勝てる見込み有るの本当に?

 そして能力者ファイトゲームが開始された。

 なお男どもは一人は風力使い(ウィンドマスター)のレベル5でもう一人は電撃使い(エレクトロマスター)のレベル5で最後の一人は水流使い(アクアマスター)のレベル5だ。

 まずは男どもが動く。

 風力使いの男が技を使う。

「風よ我の力に答えよ! 風のウィンドカッター!!」

 なんだそれ魔法の文言かよ。

 猛烈な風の刃が真歌を襲う。

 だがそれを真歌は……

「障壁展開」

 キュイーン! カチン!

 意図も容易くたった一言で防いだ。

「ならばこれでどうだ! 電禍砲撃スパークショット!」

 電撃使いの男が技を使う。

 その砲撃はかなりの物だったがそれを真歌はまた一言で防いだ。

「絶対防御障壁展開」

 キュイン! ザザザーン!!

 またしても防がれた。

「嘘だろ……俺のとっておきが……」

「こいつ何もんだよ本当にレベル6なのか……」

 真歌の強さに恐れ入っている。

 そして真歌の反撃が始まる。

「一応言っておくけどただの障壁はまだ残っていてその上に絶対防御障壁を念のために重ねてかけただけだから三重目の障壁もかけておくから」

 と言ってまた一言言う。

「対自然攻撃防御障壁展開」

 キュイイーン!

 そして真歌が防御を万全に整えたので反撃に移る。

「そうだね……どういう攻撃が私には可能なんだろう…………真似してもいい?」

「なんだと……!?」

 風力使いの男が反応する。

 そして真歌がとんでもない攻撃に移る。

「風よ……勢いを増して竜巻となれ……そのまま遥か巨大なものとなれ、巨人の竜巻ヘカトンケイルハリケーン

 風が瞬時に大竜巻となる。

 それが男たちを襲う。

「うわ~なんだよこれ!」

「死ぬっ死ぬ死んじゃうぞ!」

「もう駄目だー!」

 男たちの体が浮いてそのまま宙に飛ばされた。

 そしてそのまま大竜巻に蹂躙された。

 そして五分ほどで竜巻が晴れたら男たちは気絶していた。

 真歌は驚くほど精密なコントロールでレベル5の能力者たちだけを狙ったので建物とかの被害とかは無かった。

 そして真歌はレベル6へと晴れて認定された。

 なおレベル6になると毎年給付金として3000万円が貰えるとか。

 あくまでも最低で3000万なので国への貢献度が高いともっと貰えるとか。

 そして同時に芸能事務所の人が来ていた。

 なんとレベル6になると強制的にタレントとして活動しないといけないとか。

 これも超能力者を広く伝えるための手段だとか。

 真歌は前からアイドル歌手をやってみたいと思っていたらしく、歌手デビューさせてくれると言うと凄く喜んでいた。

 さっそく明日からレベル6アイドル歌手として曲の収録をしてもらうとか。

 これから忙しくなりそうだな真歌。

 なおマネージャーは渚君が立候補した。

 まあ当然だよなどこの馬の骨が真歌に一日中付き添うなんて考えられないからな。

 真歌の芸能活動は大変なことになりそうだ。


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