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A7話 銀行襲撃事件

 竹男と真歌は二人で何故か銀行に来ていた。

 ここに普通なら渚君が入るのだが今日は竹男の家でお留守番をしていると言った。

「竹男さんにならお嬢様を預けられますから」と真顔で言われたのを竹男もまた真顔で受け止めるしかなかったのだが。

 そして何故竹男が銀行に来ているかというと普通に金欠なので生活費を下しに来たと言うのが真実だ。

 まあそれ以外に銀行に来る用事などもちろん普通ならないのだが。

 だがなぜ真歌もいるのかというと銀行に行ったことのない真歌だったのでどういうところなのか行ってみたいとせがまれたのだ。

「銀行~銀行~楽しみだな~~~♪」

「おいおい別にそんなに楽しいところじゃないからはしゃぐなよ真歌」

「い~じゃん。面白そうだよ? 銀行とは未知の領域なのだ私には。禁断の領域なのかもしれない……」

 また真歌がいつものなぞのポエムを囁いているとやっと無限異能都市にある大きな銀行が見えてきた。

 名を無限銀行。

 まんまである。

 実際無限に基金があるので無限銀行と名付けられたと言われても不思議ではない。

 本当に異能都市から銀行にいざという時に基金が振り込まれるという話だ。

 無限異能都市の資財はどれだけあるのだろうか俺にもわからんがな。

 そして真歌は俺にいつもの謎の歌を聴かせてくる歩いている途中でもだ。

「あ~止まらない♪未来の栄光の中♪とても何も手に入れなくても~♪あなたは~進化するのさ~♪」

「な~真歌その歌いつも聴いているけどいつも微妙に歌詞とかが違うのは仕様か?」

「もちろん仕様」

「そうか」

 俺は何も不満はなく真歌がそういうのなら仕方がないと思った。

 そしてたわいのない話をしながら無限銀行へと歩を進めていた。


 そしてやっとのことで無限銀行につく。

 家から歩いて十分ぐらいの距離だがそれでも長く感じた。

 主に真歌のせいだが何回も歌を聴かせてくるから仕方がない。

 そしてなんだが凄くわくわくしている真歌が隣にいる中俺達は無限銀行に入るのであった。

 中は別に普通の銀行と大差ないが一つだけ違ったところがあった。

 それは警備員が学生であるというところ。

 彼ら彼女らは無限異能都市のどこかの超能力学校に所属する中学生や高校生や大学生などが学業の一環として活動しているのだ。

 通称サイキックゲートと呼ばれている彼ら彼女らは普通の超能力者よりも強く普段から訓練を受けている。

 レベルは最低でも2もあり普通は3ぐらいで中には4もしくはなんとレベル5もいるとか。

 そんな大人顔負けの少年少女が三人も警備員として銀行を守っている。

 そして俺歓喜の声を出している真歌を無視して一人キャッシュコーナーに行き、お金を下す。

 とりあえず五万ぐらいでいいかな。

 俺はお金を下すとはしゃいでいる真歌のもとに行き、真歌に声をかける。

「何してるんだ?」

「象さんとキリンさんが仲良くお話しているから私も混ぜてもらおうかなと思って」

「真歌おまえいくつだったっけ?」

「11歳だけど……何か?」

「流石にその年で人形遊びはどうなんだ?」

「いいじゃない! 別に!」

 と少しだけ頬を膨らませて顔を赤くしている真歌がいた。

 なんだが凄く悔しそうだ。

 とそんなことを言いあっていると銀行の窓口の人が「もう少し静かにしてくれませんか……」と注意してきた。

 すいませんとあやまると真歌にもう帰るぞと言うと。

「もう少し遊びたかったのに……」

 と残念そうにしていた。

 とそして帰り支度をしている途中に事件が起きた。

 警備員の少年二人がいきなり燃え上がったのだ。

「ぐああああああああああああああ!」

「がああああああああああああああ!」

「どうした!」

 もう一人の少年警備員サイキックゲートの一人がこちらに近づいてくる。

 そしてそのまま燃え上がっている二人を観察するとすぐに察したのか窓口に人に指示を出す。

「早く入口のゲートを閉めて下さい!」

「はっはい!」

 窓口の人は直ぐに指示に従うと入口のシャッターが下ろされる。

 そしてそのままこの無限銀行は脱出不可能な空間となった。

 だがそこでまた何かが起きた。

 サイキックゲートの少年が右肩を打ち抜かれた。

 拳銃だろうかだが発射音が無かった。

 そしてついに犯人の姿が現れた。

「そこまでだ! やれ!」

 そしてまたもや炎が放たれた。

 そして少年は火あぶりにされた。

「うがああああああああああ!」

 ついに警備員全員が戦闘不能になった。

 そして犯人らしき男たち三人組が姿を現した。

 顔には覆面をしているので顔はわからないがまだ若い十代後半ぐらいだろうか?

 それこそ先ほどのサイキックゲートの警備員の少年ぐらいと大差ないと思われるそんな奴らがなんでこんなことを?

 俺がそんなことを考えていると犯人たちは要求を突き付けてきた。

「今からこのバックにありったけの金をつめろ。そして逃走用の車のキーをよこせ。全速力でな……さもないと」

 男はそう言うと右手を拳銃に見立ててバンッと言うと空気の弾丸のような物が射出された。

 そしてそれが壁にめり込んだ。

 壁には小さいが穴が開いている。

 こんなものを受けたらひとたまりもないな。

「わかりました。今すぐにお金を入れますから……少し待っててください」

「妙なことはするんじゃないぞ!」

「大丈夫です兄貴俺なら奴らの考えていることは筒抜けですから」

「まさか精神感応テレパスの能力者がいるのか!?」

「兄貴……その女こっそりお金を準備すると見せかけてアンチサイキックに連絡しようと考えてますぜ」

「やれ!」

「おりゃあ燃えろ!」

「きゃあああああああああああああ!」

 そしてその職員の女性が発火能力者に燃やされた。

 命に別状はないようだが気を失ってしまった。

 もう我慢できないぞ。

 俺はまず体が動いた。

 だが、真歌に右手を掴まれた。

「竹男……ダメ。今のあなたじゃ勝てない」

「じゃあどうすればいいんだよ。このまま黙って見てろというのか真歌」

「こうすればなんとかなるかも」

「こうすれば?」

 その時の真歌は何かいつもと違う不思議なオーラに包まれていたような気がする。

 真歌は魔法の言葉を発する。

「竹男に怪物の腕力と疾風のごとく動けるスピードをそして鋼の体を与えたまえ……」

 真歌がそう囁くと俺の体がほんの僅かだけ光る。

 そしていつもとは違う力を俺の中で感じた。


 なんだこの数値は!?

 そのとき同じ場所にいた能力者ファイト協会の測定員のハカリは心の中で驚きの声をあげる。

 この時彼女はたまたま銀行にいただけで別に誰かをつけていたとかそういうわけではない本当に偶然だった。

 この時のハカリがつけていたサイキックウォッチのサイキックエナジーの数値が2億8000万という数値を叩きだしていた。

 本来レベル5ですら最高でも100万ぐらいしかの数値しか出せないのを考えるとその280倍がどれだけ凄まじいか見当もつかないのであった。

 まさかあの少女は……


「喰らえ!」

「なんだ貴様! ぐあっ!」

 犯人の精神感応テレパスの男を殴り飛ばして直ぐに空気の弾丸を跳ばせるやつのところに走る。

 体が軽かったいつもの何倍でも速く走れる。

 しかも腕力が何故かプロボクサーなみの腕力すらも優雅に超えて化け物並のパンチ力で敵を殴り飛ばせる。

 そのままその並外れた速さで犯人の男を殴る。

「くそが!」

「喰らえ!」

 腹を一撃で奴をこん睡させる。

 そのまま発火能力者のところに行く。

 すると発火能力者はまさかの行動に出る。

「こいつがどうなってもいいのか!?」

「竹男~捕まっちゃった~」

 真歌が抑えられていた。

 おまっ肝心な時に役に立たないな。

「と言うとでも思った?」

「何っ?」

 犯人のほうを見ると終始余裕そうな真歌。

 すると犯人に向かって真歌が命令する。

「離しなさい」

 すると犯人の発火能力者は何を思ったのか真歌を素直に離したのである。

「はい……」

「いまよ竹男いまのうちに倒して」

「おおそうだな」

 俺は発火能力者を殴り飛ばすと安堵の息を吐いた。


 まただっなんだこの数値は!?

 測定員のハカリはまたもや眼を疑うような数値をサイキックウォッチに表示された。

 十億五千万。

 やはりこの少女は……このときハカリは何かを確信した。


「ありがとうございます。あなた達は英雄です」

「いやいや別にそんなだいそれた称号はいりませんよ」

 この無限銀行の支店長が現れて俺達にお礼を言う。

 アンチサイキックには連絡済だ。

 もう心配することはないと思われていた。

「そうはいかないぞ」

「何貴様まだ動けたのか」

 見ると空気の弾丸を撃てる能力者が立ち上がりまだやれると言わんばかりに俺に相対する。

「その女がいなければ……だから死にやがれ! デスショット!」

 そして真歌に向かって凶弾を打ち抜いた。

 俺はもう間に合わないと感じ真歌を抱きしめたように庇った。

 ドキュン! 俺に体には槍で突かれたかのような抉るような傷が出来た。

「そんな竹男……いや……いや死なないでー!!」

 俺はこんなところで死ぬのか……短い一生だったな……

 しかしそんなことはありえないのであった真歌がいるのだから。

「はっ! 大丈夫まだ試したことないけどこれならいける。竹男の傷を癒したまえ!!」

 ごおっとした物凄いオーラが真歌の体を包むと竹男の体も虹の光に包まれた。

 そして重症の傷跡は何事もなかったことのように傷が塞がった。

 流れ出た血も元に戻るかのように。

 この時ハカリのサイキックウォッチの数値は測定不能だった。

 そして遅れてやってきたアンチサイキックの面々に犯人たちは連行され事件は幕を閉じるのであった。

 しかしここでまたもや誰かが竹男達に話しかける。

「すいませんが少しお時間良いでしょうか?」

「あなたは?」

「すいませんこういうものです」

 渡された名刺には能力者ファイト協会測定員の渡ハカリと書いていた。

「ワタリハカリさんですか? そんな人がなんで俺に?」

「用があるのは隣の小っちゃい子の方です」

「誰が小っちゃい子ですか!」

 真歌が不満そうに叫ぶ。

「それで真歌に何の用ですか?」

「それはですね……」

 ここから真歌と竹男にまたしても非日常な毎日が待っているとは思ってもいなかったのは竹男だけである。


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