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41話 マジックバトル・オンライン 14

41-1「臆病者を慰める荒療治は少しばかりやさしくない」


 俺はこの少年を知らない。

 だが、それでも俺はこいつを何とかしてやりたいと思った。

 まず目が死んでいるがそれでもこの目の奥深くには何かやり残したことがあるんじゃないかという闘志がまだ残っているかのように視えた。

 でも俺にはこいつがなんでこんなところでひきこもっているのかがわからない。

 何か嫌なことでもあったのかな?

 俺はそことなく聞いてみた。

 すると森田森男君は語ってくれた。

 それは63階層のことであった――


――みんなでギルドメンバー『銀河隊Z』は今日も元気に迷宮の終塔ラビリンス・ラストタワーの攻略である。

 メンバーは全員で6人。モロボシ君とロックジョー君とアララちゃんとザルソバ君とコトローさんと僕ことモリオの6人である。

 みんな仲が良かった。みんなとは学校の知り合いが殆ど。

 殆どというとモロボシ君とコトローさんは年齢が違うからである。

 モロボシ君は高校生で、コトローさんはこのギルドの設立者で一番の年長者だ。

 コトローさんは大学生だとか年は20歳だって。

 それでみんなはなんとなくだけど集まった烏合の衆であったが、今ではみんな仲が良い。

 最初は年代の違う人がいるのが違和感があったがそれは今ではなんのそのである。

 それで今までなんとか63階層までやってきたが今回のダンジョンはかなり勝手が違う。

 モロボシ君は剣士ソード・ソルジャー、ロックジョー君は舞踏家ダンサー、アララちゃんは治癒士ヒーラー、ザルソバ君は魔術師メイジ、コトローさんは魔拳士マジックバトルマスターそして僕が弓術士アローアーティファクターなのだがまあなんとなくバランスはとれたパーティだと思う。

 でもそれでも今回は勝手が違うようなのだ。

 まず63階層の低層部分で極落化け樹木が現れた。

 そいつは体長2メートルはあるであろう大きさで、体色は薄緑色で、まるで枯れ木のお化けのようだ。

 そんなやつらが3体も同時に現れた。

「よし、いつものローテーションでいくぞ!みんな!」

「はい隊長」

「わかったよ隊長」

「隊長さんがんばります」

「わかったでござる隊長」

「はい隊長わかりました」

 最後の返事が僕だけどそれよりいつものローテーションとはモロボシ君とコトローさんが前線に出て、僕たち4人は後衛でサポートする陣を組むことだ。

 その際僕とザルソバ君が攻撃して、ロックジョー君とアララちゃんがサポートの魔法を唱える。

何気にロックジョー君のダンス魔法は使えて敵の攻撃を回避しやすくなるとかのダンス魔法とか、敵の動きを遅くするダンス魔法とかもある。

治癒士のアララちゃんも少しだが回復以外の魔法も使えて、僕たちの攻撃力とかを上げたりする補助魔法とかが使えるのだ。

そして前線で戦うモロボシ君やコトローさんは圧巻だ。

 モロボシ君は剣士なので近接戦闘が得意です。

 魔法と剣技を組み合わせた魔法剣とかも使うのでかなり強いです。

 コトローさんは流石と言った感じで、まず速さが違うのです。

 どう言えばいいのか少し判断が付かないけど武器を持たない分うちのPTの中でトップスピードの速度で攻撃して移動が出来ます。

 さらに攻撃回数も無駄が無く、僕が一回攻撃する間に4回ぐらい攻撃を行っているのですといえばその凄さがわかると思います。

 とにかく魔拳士という職業はスピードが違うのです。

 そして攻撃力も剣士に後れを取らないのです。

 その破壊力は並ではなくもちろん大の強さを誇る。

 ゴブリン程度の魔物なら一撃で粉砕する破壊力を拳だけで行うのです。

 さらに拳に魔法を上乗せすることにより、魔法拳での攻撃はピカイチの強さです。

 コトローさんの必殺技は『絶拳ぜっけん』で魔力を単純に上乗せに上乗せしてかなりの破壊力を籠めた一撃なのだそうだ。

 この前ボスに使ってたけどかなり効いていた。

 HPバーを一本の半分は削っていたのでかなりの破壊力だと思う。

 とにかくそんなみんなでもこの極楽化け樹木はかなりやっかいな魔物だ。

 まず打たれ強い点がある。

 HPバーが雑魚のはずが2本もある。

 これではかなり倒すのに時間がかかるのだ。

 それにやっかいな遅延魔法を使ってくる。

 遅延魔法とは相手の行動を遅延文字通り遅らせてくる魔法だ。

 マジックバトル・オンラインではバトルはリアルタイム戦闘形式だが、行動を遅らされると攻撃や魔法の発動が遅れるのだ。

 攻撃しようと思っても行動できない相手の行動が終わるまで攻撃できないなどの不都合な展開が起こる。

 なのであまり喰らいたくない魔法なのだ。

 しかし最初からその遅延魔法『クレロア』がばんばん飛んでくる。

 一応回避できるの回避しまくるが少しでも気を抜いたら当たりそうだ。

 そして今度はこっちの番だ。

 僕は弓術の一つ風属性の弓術旋風弓撃波動フロアライズアローインパクトを放つ。

 なかなかいいダメージが入った。

 みんなも思い思いに技を使う。

 そしてなんとか2分ぐらいでほぼ無傷で一体目の極楽化け樹木を倒す。

 さあ後二体だと思ったら、極楽化け樹木が新たな動きを見せた。

 毒の息を吐き出してきた。

 文字通り毒の息で毒状態にしてくる技だ。

 これは不味い、毒状態はそれほど悪いBADステータスではないのだがそれでも喰らうとますい治癒士のアララちゃんの仕事が増えるし、毒消しの在庫も減るのは簡便だ。

 まあ毒消し一個たったの300マギルなんだけどね……

 そして毒の息が来る……と思ったら、猛毒の息だと……不味いかなりヤバいこのままだど猛毒状態は毒状態が五秒で最大HPの一パーセントしか減らないのに対して、猛毒状態だと五秒で最大HPの五パーセントも減るのだ。

つまり一分もすれば60パーセントもHPが削られるというのだからやっかいなBADステータスと言える。

このままだと不味いからザルソバ君が防毒障壁を展開する。

 これにより毒の息、猛毒の息などを少しの間だけ受けづらくするのだ。

 あくまでも受けづらくするだけなので、運が悪いと毒の息などの攻撃を受けてしまう。

 まあ何とかなると思うけど。

 そして僕はモロボシ君とかコトローさんが攻めている間に僕も攻撃だ。

 炎属性の弓術、炎流銃岩弓波動(フレイムサイクロンロクドショットストライク)!!

 これは炎を流れる岩のごとき塊で銃のようなごとくの速さで放つ波動弓術だ。

 これでなんとか倒せるか? そして二体目をなんとか倒せた。

 そして三体目はコトローさんが圧殺導流拳グラムロイアザルケンを放ち五撃で倒した。

 そんなに簡単に倒せるなら最初からやってよと思ったが、まあいいやコトローさんは本当に強いな。


 そして暫く歩いていると、今度は謎の敵が現れた。

 雷神の魔槍……危険度? 経験値S マギルB と僕たちなら誰でも見れる基本情報がウインドウの外の備考欄に表示される。

 そこには『雷神が作り出した魔なる槍で悪霊のそれがついてしまって神聖な武器のはずが歪んでしまった悲しき存在、莫大な経験値とそこそこのマギルをくれるがかなり相手をするのがやっかいというか死ぬかも……』

 不味くないかなこれは? 逃げたほうが良いと思うよと僕はパーティのみんなに提案しようとした。

 そして悲劇はその少し前に起きた。

 アララちゃんに向かって雷神の魔槍が物凄い勢いで飛んで行った。

 それは神速のスピードだったのでだれも反応できなかった。

 グサリッ!! アララちゃんがやられた。

 否死んだ。一撃だった。まさか一撃だと思わなかった。

 上級回復薬を何個も使ったが無駄だった。

「そんな嘘だろ……アララちゃん、ほんとに死ぬのかよ」

「アララ……マジかよ」

「アララ死ぬな!!」

「…………」

「う……そ」

 僕も含めてみんな呆然だった。

 雷神の魔槍は危険度?と書いていたが危険度EXはあると思った。

 仲間が一人死んだ。しかもPTの中で重要な治癒士が死んだ。

 このままだとダンジョン攻略が上手くいかないと思われる。

 そしてボス戦でロックジョー君とザルソバ君が死んだ。

 なんとかボスは倒したけど被害は想定外だった。

 そしてコトローさんがある提案をする。

「ここいらでギルドを解散した方がいいと思う。だからお前らは64階層で待機しろ。そうすれば俺がソロでここのラスボスを倒してやるから」

 でも僕はしばらく悩んだが64階層の迷宮を挑戦しようと思ったんだ。

 いけると思うけど魔道具とかも用意してフル装備で行ったけど魔道具はここまででほとんど使いこんでしまった。

 そして今知らないお兄さんに話をしている。後ろに二人女性もいるけどよく見ると話を聞いている。

 ところで僕はなんでこんな話しているんだろ?


41-2「64階層最終ボス戦」


 さて話をあらかた聞いたがまさかそんなことがあったなんて。

 俺はどうしたらいんだろ。

 こいつをどうしたらいいんだろ?

 俺には何が出来るかと少し考えた。


 そして俺はこいつを自分の仲間に入れることにした。

 でもそれだけだと駄目だろう。

 少しこいつを立ち直させる何かをしないといけないだろうと思う。

「ルカ、ヴァルゼンさんこいつを俺たちの仲間に入れたいんだけどいいかな?」

「いいと思います」

「別にいいぜ」

 そして半分強制的にモリオ君を仲間に入れた。


 そしてモリオ君に喝を入れてみた。

「いいか……仲間を失った悲しみは確かにつらいけど、今はそんなことぐちぐち後悔してても何も始まらないんだ。まずはお前が立ち直らないといけないんだ。だから早く元気出してくれ! お前はこんなところで終わる男じゃないだろ! 森田森男!!」

 その時、モリオの眼に生気が戻ったような気がした。

 そして返事するモリオ君。

「はい、僕、僕がんばります。だから頼りにしてください」

「よろしくですねモリオ君」

「よろしくだなモリオ!!」

 そしてボス部屋の巨大な扉を開けた。



 現れたボスは、竜であった。

 ここで危険度S~Bランクの魔獣が現れるなんて。

 こいつは危険度なんぼだ?

 モンスター名:刃斬の地竜……危険度B 経験値A マギルD 『刃を体に備えた翼を持たないが悠然とした強さを持つ地竜。ドラゴンの中でもなかなかの強さだ』


 そして勝負が始まる。

 地竜が咆哮する。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 そして地竜が床を這いずり回り突進してくる。

 俺はかわすが、ヴァルゼンさんはそのまま細身の剣で斬りかかっていた。

 ルカはハッキングを開始した。後ろのほうで既にパソ丸を起動していた。

 そしてモリオ君は少し後ろのほうで弓を構えていた。

 正確には魔法で作り出した魔力で錬成した弓状のエネルギーの塊を構えていた。

 モリオ君は炎属性の弓術『熱破壊滅弓波動ヒートデスタラグランフォルドダン』を使用した。

 熱で敵を破壊して滅する弓術だ。

 なんか強そうだ。

 そして一斉射撃が行われた。

 俺も新技『黒狼牙爪デルタルフルファングルクロウ』を放つ。

 MP消費も5と少ないしそこそこの威力だしかなり使える新技だ。

 悪魔制裁爪デビルジャッジメントクロウもかなり強いのだがMP消費が現在は9と微妙に高いのでコスパが違う。

その辺の雑魚だともちろん黒狼牙爪のほうが上だし、相手が悪魔系のモンスターじゃないと威力的にももちろん悪魔制裁爪のほうが上だけどあまり差が無いように感じるので黒狼牙爪を多用するのだ。

実際のところどっちが上なのかはわからないが、まあ好みの問題もある。

 これにより、全員の一斉攻撃が通り地竜は仰け反る。

 しかし刃斬の地竜とてただのドラゴンではない。

 階層のボスだ強いに決まっている。

 そして猛撃の鋼刃の闘魂突撃バレンタシュレイド・エナジレイドタックルが地竜から飛んでくる。

 俺達はその猛攻撃をなんとかかわす。

 そしてまたしても俺達はラッシュをかける。

 みんなは攻撃を仕掛けて俺も止めの攻撃を仕掛けたい。

 この前SP消費二分の一というスキルを覚えたこれにより現在消費SPが一番低い攻撃に使えそうなユニークスキルの一つ邪神獣化エビルゴッドビーストモードは消費SP150で謎の裏進化エニグマリバースエボリューションは消費SP200だがこれにより消費SPが半分となるので邪神獣化は75で謎の裏進化は100となる。

 なお俺の現在のレベルは45だ最大SPは128もある。

 しかも今までダンジョンの中ではSPを使用する技は使ってないのでというかそもそも使えるのが殆ど無いのでまるまる残っている。

 俺は少し思案してなんか邪神獣化は怖そうなので謎の裏進化にしといた。

 俺はウインドウを操作して謎の裏進化エニグマリバースエボリューションを使用した。

 するとどうだ、みるみる全身に力が湧いてくる。

 溢れんばかりの全身から湧き出してくる漲るエネルギーが俺の中から生まれてくる。

 俺は今とてつもない超人のごとき状態になっていると確信した。

 そして地竜に向かい単身破壊的な攻撃をぶつける。

 圧倒的だった。そして地竜は崩れ落ちる。

 そして俺達は64階層を突破した。

 ドロップボーナスは刀刃のお守り。

 刀刃のお守り……これを装備していたら、たまに敵に対して相手から受けるダメージの半分を跳ね返す。

 なかなか使えそうだ、前線で戦うヴァルゼンさんに装備させたらよさそうだ。

 そして65階層の町に到着した俺達は改めてモリオ君に挨拶をした。

「森男君。改めてよろしくな」

「はい! よろしくおねがいします竹男さん」

「よろしくね森男君」

「よろしくだ! わたしはヴァルゼンだ! 以後頼むからな私のサポートとかな」

「みなさんこれからもよろしくお願いしますです」

 なんかパーティがさらに賑わったような気がする。

 これから楽しくなるな。


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