30話 マジックバトル・オンライン 3
30-1「第一階層」
俺達はあまりにものことで絶句した。
このゲームマスターの考えは今のところ到底理解できない。
だがそれでも一つだけわかったことがある。
こいつは俺たちをただでこのゲームを楽しませるわけではないということを。
普通ならこんな意味不明なことをしないのであるが。
ゲーム製作者は少し狂っているほうが普通なのかそれとも?
そしてゲームマスターがまた話し始めた。
広場では怒声や悲痛の声を上げるものもいる。
「まあいいでしょうとにかくあなた達の逃げ場は無くなりました。どうしてもこのゲームから抜け出したいなら私いわゆるゲームマスターを倒したらこの世界から全員脱出できるようにプログラムにインプットしています、なのでこの私が最後のボスを務めるこの町から少し先のほうにある迷宮の終塔に来るといいでしょう、ここは全部で百階層ある迷宮で一階層ごとにボスがいて、十階層ごとにかなり強いボスが出ます、私って親切でしょうこんな事前情報を教えてあげるなんてね、そしてその塔の中は異次元空間になっていてかなり広く中には町や自然などさまざまなものがありますよ、さあもういいでしょうあと最後にこのゲームの中でゲームオーバーになってしまったら……あとは言わなくてもわかりますよね?」
そう言ってモニタが消えた。
広場はあまりにものことが起こり閑散とした。
みんな生気を失った顔になっている。
中には怒声交じりで抗議する者もいるが仲間通しで止めに入る者もいる。
俺達も唖然としていた。
俺は内心冷静なつもりだがやはり何がどうなっているのかよくわからない状態だった。
ルカは考え込むようにうつむいてそのまま黙り込んでしまった。
しずくは口をポカーンと半開きにして目をぱちぱちさせて不謹慎だがちょっと面白い顔をしていた。
そしてもう半場諦めているところある人物が演説を始めた。
「諸君!このままでいいのか!ゲームマスターの言いなりになってここで一生を過ごすなんてそんな愚かなことでいいのか!」
なんだなんだという声が聞こえ始める。
そしてその少しばかりキザに見えるリーダーになりたがっているように見える男が自己紹介を始めた。
「我が名はハジメ!年は16だがこれでも学業は秀でていてクラス委員長までしているぞ」
みんなふーんそれで?な顔をしているさらにハジメが話し始める。
「ゲームマスターは言っていた嘘の可能性もあるが奴はゲームをさせるためにこのゲームを作ったに違いないそうだろ君!?」
なんか俺に指差してきたぞこの男は。
「あ、はいそうですねそう思います」
とりあえず適当に返事してみる。
「そうだろそうだろだから諸君!!このゲームをみんなで協力してクリアしようじゃないか」
言ってることはまじめだった。
だがそれに賛同する声があまり無かった。
いやあまりなので一人か二人は集まったようだ。
そしてまた演説が始まる。
「なんだなんだ諸君僕らと一緒に戦おうという戦士はいないのかなお僕の職業は剣士らしいので近接戦闘になれているので今集まっているメンバーは盗賊、魔法使いの二人だけなので後三人は欲しいなだれか出来れば僕に力を貸して欲しい」
一応やる気は有るみたいだな。
ここでルカが意外な提案をした。
「あの人たちと臨時のパーティーを組むのはどうでしょう?今こうしている間も私たちは一刻の猶予もありませんだから彼らを信用してみませんか?」
「ルカがそう言うなら」
「私はあまり賛成できませんが人数が多いほうがいいという点では賛成です」
「よしいいだろう奴らに話をつけてくる」
俺は一応リーダーらしく俺がハジメたちに話をつけに行った。
すると意外なことに感謝された。
あれ意外とこいついい奴なのかキザな野郎かと思っていたが。
「協力感謝するよこれで迷宮の終塔の攻略もスムーズにいくよ本当にありがとう」
これで俺たちは臨時のパーティーを組むことにした。
そして自身のHPを回復する傷薬とかを買い込んで俺たちは迷宮の終塔に挑戦することになる。
右に突き出した拳が小鬼族のゴブリンの胸板に到達する前に剣士のハジメは他の二体を相手をしていた。
そのまま他のパーティーメンバーが彼を援護する。
だがそれでもゴブリンは彼らを追い詰める。
そして盗賊のトウヤが右手に持った小型剣つまりナイフだそれでゴブリンの喉元を切り裂こうとするがゴブリンはそのまま背後に回り手に持った棍棒をトウヤ目掛けて振り下ろしてきた。
トウヤはそれを回避することができないそして頭を打たれそのまま地に伏せる。
体力ゲージが赤色で点滅している。
このままではやられてしまう。
「トウヤ君早く傷薬を使うんだ!」
「ダメです隊長……ウインドウが上手く操作出来ません」
そこでルカが動いた。素早く画面ウインドウを操作して道具覧から傷薬を出すそれをトウヤに使用するためトウヤに近づくが……ゴブリンの数が多すぎて近づけないでいた。
ここでしずくが周りのゴブリンをなんとか追い払おうとブラッド・ファイヤダブルという魔法を使った。
それは文字通りブラッド・ファイヤの二発分撃てる魔法だ。
同時に二発分のMPをを消費するのが痛いらしいがそれでも同時に二発分の魔法を放てるのは大きい。
それにフォーミングミサイルのように追尾する機能も備えつけられている。
これによりノーコンだろうと相手を狙える。
なのでかなり使い勝手がいい魔法だ。
そしてそのまま周りの二体のゴブリンを焼き払う。
そしてルカがトウヤのそばに立ち傷薬をトウヤに使用した。
これで一安心できそうだ。
思わぬピンチを脱脂した俺たちことハジメ旅団というパーティー名をつけたのはもちろん本人ハジメだった。
最初はかっこいいですとか褒めていたのはハジメに志願したトウヤとマモルぐらいだった。
そして俺たちは冷ややかな目線で見ていたがしずくがなぜか共感して意気投合したなんでだよ。
それで俺たちは残りのゴブリンを一掃して第一階層目の迷宮の終塔を歩いているところだった。
ここではどうやらマップが存在しているようだそして奥まで行くとマップが切り替わりさらに上のほうを目指すと階段があるどこまで上があるか知らないが第一階層のこの塔は壮大な空間であることは変わりない。
俺達は先を目指す。
先ほどからわかったことだがこのゲームは意外とリアルな作りになっている。
ゴブリンの戦闘でわかったのだが相手の攻撃を喰らうと痛いし血が出る。
しかも衝撃も受けるし肌の質感もかなりリアルだ。
こんなゲームは初めてだ。
今まで発売されたVRMMOゲームはどれもダメージを受けても痛いとか感じないしそれに肌の質感もリアルに感じないものがほとんどだった。
それだけプログラミングが難しく現実のリアルな感じを出すには実際に体感でもしないと無理だろうとまで言われたのがこのゲームではそれを実現しているのだ。
とまあそんな製作者を褒めるようなことを考えている間に次の敵が現れようとしていた。
ここから別のフロアに移動するようだ。
どうも一階層と言っときながら内部は複雑怪奇に広がっている。
上に上ったかと思いきや下に下がる階段が現れる始末。
無限に続く通路があると錯覚させられるほど長い道。
こんな迷宮開始早々だがうんざりだ。
ただ意外とエンカウント率は低いさっきから魔物に会わないのだ。
さっき敵が現れそうだと思っていたがそんなことはなかった。
しかし不意に訪れるものだ不運とは。
いつの間にか周りを囲まれたようだ。
ゴブリンの群れだ。
全部で二十体はいるようだ。
まず俺は瞬歩を使用し自身の俊敏力を上げる。
そのままの勢いを利用してゴブリン目掛けて突進する。
そして拳を思いっきり振りぬいた。
吹っ飛ぶゴブリンは約二メートルぐらい後方に突き出されるように飛んで行った。
俺は次の獲物を狙い撃つ。
周りのみんなも次々攻撃を開始したようだ。
ルカは燃費の悪いハッキングではなくユニークスキルプログラミングを使用。
これはある画面に表示される指定のコマンドを打ち込むと魔法と同じ効果を持つプログラムを作れる今ところ相手の攻撃力を低下させる攻撃力低下のプログラムと相手の俊敏力を低下させる俊敏力低下のプログラムそして唯一の攻撃プログラムこれはパソ丸を変形させるプログラムなんだがなんかプログラムを入力するとパソ丸は進化するらしい。
そして攻撃プログラム「レーザー」はレーザーを発射することが出来るプログラムだそうだ。
敵一体に攻撃を仕掛けるそのまま相手に小ダメージだそうだ。
レベルが上がるとレーザーの威力も上がるらしいだそうだ。
そしてしずくはというと杖でゴブリンを殴り殺していた。
物理かよ!MPの節約らしいが結構強いなしずく。
ハジメより強くないかこのやんちゃ娘は。
そして他の盗賊のトウヤと魔法使いのマモルも着々とゴブリンを退治していた。
そしてなんとか全部のゴブリンを倒して歩を進めていた俺たちはついに大きな扉があることに気付いた。
これがどうやらボス部屋らしい。
ついに来たか後はボスを倒して第二階層に上がるだけだ。
俺達は意を決して扉を開いた。
ボスが現れた相手はとても大きく体長三メートルはあろうかという身の丈だ。
深緑色の肌を持ち目立った黄土色の宝玉のネックレスを身に着けパンツは履いており知能の高さを思わせるその姿はまさにゴブリンの王ゴブリンキングが俺たちの前に姿を現した。
俺はまず瞬歩を使い魔拳を使用し一気に切り込みに行く。
その大きなゴブリンキングの右足を狙い撃ち一発放つ。
びくともしないが手ごたえはあるようだ。
悲痛の声を上げるゴブリンキング。
そのまま連続で殴りまくるがその巨大な右足で蹴り飛ばされそうになるので俺は回避した。
そしてルカのハッキングが成功する。
今回は完全麻痺を引いたようだ。
ゴブリンキングの体が電気の黄色のエフェクトが出てビリビリという音もする。
これはわかりやすいな。
そして後は楽勝だった。
そのままみんなで蛸殴りもとい武器による攻撃であっという間に倒した。
第一階層は簡単にクリア出来たようだ。
俺達は喜びを分かち合う。
レベルも上がった。
俺とルカがレベル8にしずくがレベル10にハジメとトウヤとマモルはレベル7になった。
そのまま俺たちは空間転移した。
第二階層にやってきた。
そこは眩しいほど自然が煌びやかに映った神秘の世界に見えた。
なんとも自然が多い無造作に配置された木はまさに自然が作り出した森と言える。
川が流れている綺麗な水だ飲めそうだ。
試に飲んでみると上手い。
そして奥を行ったところに村が見えた。
そこでNPCに歓迎された。
第一階層突破おめでとうと。
なんだろうこのなんとも表せん気持ちは。
ゲームマスターは本当にこのゲームを愛しているそう感じだ。
だがなぜゲームマスターはこんなログアウト不可能なゲームを作ってゲームオーバーになったら死ぬ現実の肉体もというこんな過酷な状況を作りたかったのか俺はかなり疑問に感じた。
こんなにも素晴らしく見える世界なのに作ったやつは精神異常者なのか本当に?
俺はこのとき多少の違和感を感じながらも俺たちは村で一夜を過ごすことになった。




