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3話 デートな日常をぶち壊す邪魔者は強かった

3-1「たまには休みは必要なんだが、なんか面倒なやつに絡まれた、いやほんと面倒です」


 俺は家に戻ってきたら超スピードの速さで昼飯のコロッケパンをココアで流し込み早速PCの電源をつけてブラウザを開き検索を開始した――


――なになに能力ファイト初心者wikiによると……


一.強い相手と闘うべからず。

二.出来るだけタイムアップの能力使用量判定を狙え

三.つまり能力は惜しみ無く使えということらしい……


 つまりなんだ、俺の場合逃げることが能力だから逃げまくれと言うことなのか、結構しんどいな体力的に。

 しかし改め見るといろいろな情報のやり取りがネットではあるなあ

 例えばランキング一位になるにはどうすればいいか日夜考察するスレッドがあったり

 同じ能力の種類ならどう効率よく戦えるかとか

 単純に特定のプレイヤーにファンが出来ていてファンクラブスレッドがあったり……

 

 俺の見ているサイトって「ノーちゃんねる」しかないのかよ!

 ノーちゃんねるとは能力もとい超能力のことを日夜話題にしている、巨大掲示板だ。

 と自分のネット中毒っぷりに嫌気がさす。

 

 たまには息抜きにまた、スポーツでもしたいなと気分展開を提唱したい。

 俺はもともと学生時代はいろいろなスポーツをしていた。

 

 それがバスケだったり、野球だったり、テニスだったり、自転車だったり、ドッチボールだったり、どれも中途はんぱで終わることになった。

 

 などと自分にツッコミを入れたところでそろそろ休憩しようかと

 ちょっと近くにあるコンビニに週刊誌を立ち読みに行くその途中で

 また、生意気なあの子供に出会った。



「あっ…………………………………」


「あっーーーーーーーーーーー!!」


 いきなり大声を出したのは第一話で出会った子供だった。

 名前は大明理(だいみょうり) 美知(みしる)

 最初誰かと思いもう一度名前を聞いたぐらいだ。


「まさかこんなところで会うとはな!逃げ虫サラリーマン!」


「誰が逃げ虫だ、確かに逃げたけど虫はないだろ」

 俺は冷静に返す。またカツアゲかと聞くと。


「げっ、覚えていたんだ、それで? 俺を警察につきだすの?」


 自分が悪いことをしていた自覚はあるらしい。

 俺はそんないい奴にこう言ってみた。


「いや、悪いと思う気持ちがあるならいいんだ、まだ何もされなかったし、それよりも悪いことはしてないよなあれから」


「実を言うと最初からカツアゲが真の目的じゃなかったり……」


 よくわからないことを白状してきたけど……どうもカツアゲする態度じゃなかったのはあの時の自分でも理解してた。本当は自分の能力を自慢したかったのか?俺はそう考えると


「違うよ!」


 こいつ俺の頭の中を……覗いている?


「なんだ本当の力は俺の考えを読む力だったのか……プライバシーなんてあってないようなものか」


「ちょっと違うけど説明は省略するよめんどいから」メタ発言はほどほどにしてください。


「でおまえが俺に近づいて来た目的……はなんだ!!」


 ドーーンと擬音がつく勢いで言った。


「おっお前に……興味がある……3か月前から尾行していた。」


 ストーカーでした。マジ勘弁してください、ドン引きです。いくら相手が子供だからと言っても気持ち悪いですわ。


「お前ホモなのか……?」


「お…お……おれは女だーーー!」


 どちらにしても3ヶ月もストーキングしているのでヤバイだろこいつは。

 めんどくさいことになったなあ。




3-2「俺の貴重な休日がいろんなことで台無しに」


 そして俺たちは何故か隣町にある

 ショッピングモールを歩いていた……って、どうしてこうなった!?


 いやほんとにね、成り行きだったんだよ、この美知がどうしてもある物が欲しいらしく

 ただそれを一人で探すのが大変らしく俺もいっしょに来て欲しいとのこと

 俺も断ればいいのに、「お前の趣味をばらされたくないなら今日一日おれに付き合え!」と半分脅迫ともとれることを言い放たれたからだ。

 そもそも3ヶ月も俺をストーキングしていたのはどういうわけなのか詳しいわけを聞きそびれてしまった。


 なんだかもう一度聞くのも変だししつこいから俺は聞かないことにした。

 そんなこんやで目的の店に着いた。

 その店は能力ファイト用のアイテムを買う店だった。


 試しにのぞいて見ると野球のボールぐらいの大きさの珠とか

 本物の剣に見えるアルテギウム製の剣とか

 体全体を守れるでっかい盾とか

 なんだかよくわからないものまでさまざまなアイテムが置かれていた。


 俺店に入っての第一声


「なんだか、RPGに出てくる武器屋みたいだな。」


「お前もそう思うか!おれも最初来たときはそう思ったからな。」


 美知がそう返してきた。で?なにが目的なんだよと内心思った。


「それはだね……そんなのここで一人でアイテム買うのがなんとなく恥ずかしかったにきまっているし。」


 えっそんな理由なのか……俺は当然だがあきれた。そんなことで付き合ってることに。

 ともかく俺たちはなんだかよくわからない小型バッチのようなものと

 対戦に使う水鉄砲?のようなものを買って店を出た。


「それが欲しかったのか?」


「もちろん!といっても水鉄砲?はここで選んで買ったけどね。」


 なんだか初めて会った時の生意気そうなガキみたいな生意気そうな顔からとびっきりに楽しそうな少女の笑顔に美知は変容していた。

 なんだこいつにもこんな顔が出来るんだなと思い、俺は少しだけこいつを信用してみることにした。

 なんともお人よしの男であるこの俺は。


 しかしこんな和やかなデート?の最中にも邪魔が入るのがセオリーであるのが物語の常識である。


「お前いいもん持ってるじゃねえか!俺様によこしなさい君たちには扱えないから、なーにただとは言わないから、500円で買ってやる(笑)」

 たまたま路地裏を通っていたら本物のカツアゲに会うとは思わなかった

 みたいな顔して美知は怯えてそのまま呆然と立ち尽くしていた。


 ちなみにカツアゲ野郎は500円と言ってるがとんでもない

 この水鉄砲?はなんと5000円もしたのだ十分の一とかふざけている。


 こっちのバッチも一つ1500円もしたしあわせて8000円もしたんだぞ

 しかもバッチ代一つは俺が出した。


 なぜなら美知がこれは両方がつけているといいことがあるらしいアイテムなのだと。


 そしてこの水鉄砲?を賭けて俺とカツアゲ野郎と能力ファイトすることになりました。

 ってなんで俺!?




3-3「ボールとバットは人に向けてはいけません」


「というわけでまずはルールを決めるか」


 相手のカツアゲ野郎こと不良少年カネアツはこうきりだした。


「は?ルールってそんなこと決めれるのか?」


 俺は何も知らないように聞いてみた。……本当に知らないけどな。


「おまえ~そんなことも知らないのかよw対戦形式を体力制か時間制か選べる上にその試合時間を5分、10分、15分のどれかにできるんだよ。ハンデも付けれるしな、しかも時間制にしても体力の項目はある。時間内に決着がつかない場合どちらがより多くの体力が残っているかで勝敗が決まるんだよ」


 とカネアツはご丁寧に説明した本当にご丁寧に。


 ふと俺はこの説明を聞いたうえでよくわからない点があった

 この前のシオウとの闘いではそんな説明なかったぞ……

 あいつ初心者にはやさしいとかほざいていたが肝心のことが抜けてるじゃないか


 わざと教えなかったということもありえるけどな……


「しかも試合時間が長いほうが取れるポイントが増えるんだよ。通常つまり5分だと勝った時に貰えるポイントが1ポイントだとすると、10分の場合2ポイント、15分だと3ポイントになるわけだ。体力制だと5ポイント貰える。まあ、そのかわり負けた時はその分ポイントが減るけどなw」


 つまり長い分負けてしまったらそれはそれで損をするときもあると

 俺は知らない情報を知って無駄に賢くなった。


「それで?おまえはどのルールがいいんだ? 体力制? 時間制? 初心者は時間制がおすすめらしいぞ、時間も短いほうが良いらしいし。なにここは経験者の俺様が対戦形式の選択権を今回は譲ってやるからな、早く決めろって」


 なんてカネアツは言ってるが、どれを選んでも俺が不利なのは変わらなそうだ。

 さて、どのルールにするか――



――よし決めたぞ。時間制10分ルールに。

((えっ話聞いてなかったのか時間は短いほうがいいんじゃないのか?))


 美知が頭の中に直接話しかけてきた。しっかしこれなんか慣れないな電波さんかよ。


 俺はとりあえず頭の中で返事を返してみた。


(そうだよ、10分ルールにしたのが変かな? あんまり短いのは逆に不利なのだと俺は考えたんだよ。そうしないとタイムアップの能力使用率の判定勝ちを狙えないからな)


((あーっそういうことなんだ、わかったよタケオの能力は逃げることだからタイムアップまで逃げ続ければいいからね、でもあんまり早く試合が終わったら使用率が少ないと判断されて負け扱いになっちゃいそうだしね))


(そうだ、でも15分ルールにしたら今度はタイムアップまで逃げ続けることができないかもしれないだから間を取って10分にしたんだよ)


 俺たちは頭の中で秘かに作戦会議みたいなことをしていた。もちろん相手には悟られないように無表情で相手のほうを見ている感じで。。


 そして相手の不良カツアゲのカネアツは早く決めないかな~

 もうその袋の中のアイテムは俺様のもんだ、じゅるり…的な目で俺たちを見ていた


 そうして俺はカツアツ(違う)にこう言った。


「時間制10分ルールで」


「よし決まりだなこれでそのアイテムは俺様のものになったも同然だな、結果の見えてる勝負は全然……つまらないからな」


 完全に弱者を見る狼のような狡猾な鋭い目でカツアツ(だから違う)はそう俺に言い放った。

 なんだと…まだやってみないとわからないだろに確かに俺の能力は逃げることだがそれしかできないけど


 それはそれでタイムアップまで逃げ続ければいいんだろ!やってやるさ…絶対にこのアイテムは渡さないからな!

 俺の端末、能力測定後に支給されていた端末機から電子音が鳴り響く。


『試合を開始します』



『5秒後にスタートします』



『5…4…3…2…1…、スタート』



 試合開始の音が鳴り響いた、薄暗い路地裏の道で。




3-4「当たったら大けがで済む程度ならまだマシなんじゃないかなとか最近考えてしまう」


 試合開始と同時に奴は何かを取り出した。


 えっと確かカツアツ(もういいや)は何も手荷物的なものは持ってなかったような気がしてたが俺の勘違いか?


 今奴の手には野球で使うような普通のバットと普通のボールらしきものが握られていた。


「つーつつつつーつ、つーつつつーつぅつつーーー」


「ピッチャー第一球投げました。おりゃあああ!」


 といきなり掛け声とともに持ってたボールを俺に向かっていきよい良く振りかぶって投げた。

 危ないなあと思い俺は避ける。結構近くから投げてきたので本来は避けるのも容易ではないが結構上手くぎりぎりの所で避けた。


 正直何がしたいんだと俺は思った。まさかバットとボールを使うのが能力なわけないし

 何が本当の能力かは見たところわからないので様子を見ることにした。


「おら、もう一球行くからな、外すなよ!」


 そうして何度も何度も一体何球持っているのかわからないボールを次から次へと投げる投げる。


 俺はそのボールから逃げる逃げる、逃げまくった。奇跡的に一球も当たらなかったのは幸いだった。

 さあ、もう2分は過ぎたぞ、俺は相手の様子を見ている。


「糞があああああ、なんで一球も当たらないんだよおおおおお、おりゃてめえ何かイカサマしてるだろが、あ?」

 してねーよ、これが俺のただ一つにして唯一の能力逃げることだ!


 お前の能力よりかはわかりやすいだろ。

 というかお前の能力こそなんだよ、検討つかないし。


 と俺は聞こえないように頭の中でアツアツ(誰だよ)に言ってやった。


「無視かよ、えーだったら奥の手を使いますか、喰らいやがれ! 必殺1万本ハイスピードノック!」


 その放たれたハイスピードノックは確かに普通のノックより速かった。ただ1万本も打ってくるのは嘘っぽいが……


 しかし俺は物凄く速いと体感するノックをすんでのとこでまたしても上手く逃げ通した。自分でもビックリだ。


 普通は一球ぐらいなら当たってもしかたないだろうに。

 とにかく俺は相手の攻撃から逃げることに集中していた。

 時間はちょうど5分を過ぎていて試合終了時間まで折り返し地点を超えていた。


 よし、このまま敵の攻撃を安定して逃げればいいと俺は考えた。

 だがしかし、敵は黙ってその時を待っていたみたいだ、俺は気が付くのが少し遅れた。


 何本も放たれたボールは壁と壁の間を反発していき何回も反発していたのでどんどん加速していき

 しまいにはこちらに戻ってきた。逃げた後に後ろから加速したボールに襲われたのである。


 後頭部に見事にヒットしましたよ、ええ。

 俺はそんなこんなでふらついた。ヤバいまさか当たるとは思わなかったので油断していた。

 このままでは負ける。一回でも敵からの攻撃を受けてしまったら体力が減ったことになるので

 時間終了時点で残りの体力が多いほうが勝ちの基本ルールが優先されてしまい、結果負けである。能力使用度判定はあまりあてにはできない……相手も能力をかなり使ってると思われるので。


 こうなったら相手に対して攻撃して体力を減らすしかないと、俺は腹を括った。


(しかしどうやって近づけばいいものか……少しもいい方法が思いつかないぞ……)

 なにせ万本ノックほどではないが十本はあるであろう勢いでボールが飛び交っていたからである。


((それならいい方法があるよ))


(また美知か……だからいきなり話しかけてくるなよ直接頭の中に…それで? どんないい方法があるんだ?)


((そ れ は ね そこらへんに転がってるボールを拾ってあいつに投げ返せばいいと思うよ?))


(疑問形だな…つまりそれほどいい方法でもないと思っているだろ、おまえは…)


((そ、そんなことないよ、むしろこれ以外にどんな方法であいつに攻撃して体力を減らせばいいと思ってるんだよタケオは!))


(俺はその落ちてるボールをあいつに投げても打ち返してくると思ってるんだが……)


((…………そんなのやってみないとわからないじゃないか!))


(あっ…今少し返事が遅れただろ、やっぱそうだよなって思っただろ)


((べべっ別に……そそんなことないし…バットがあるからボールを投げ返しても無駄だとか、考えてないからなおれは! タケオなんか知らないよ! もうせっかくアドバイスしてあげたのに!))


(頼んだ覚えはないけどな…………ん? 美知…おまえ今“バットがあるから”って言ったよな?)


((え~言ったけど(思ったけど)それがなんか関係あるの?))


(ああ…大有りだ……これは勝機があるかもしれないぞ)

 そんなこんなで俺は美知と脳内会話を続けていた。そしてある作戦を立てた。


((本当に上手くいくのかなぁ…))


(上手くいかないと困るなあ、このままだと時間切れで俺の体力があいつより低いから負けてせっかく買ったアイテムが奪われてしまうしな)


((タケオは悪くないよ!、本当はおれが能力ファイトしたかったんだけど…諸事情で今能力ファイトが出来ないのでタケオが受けるって言ってくれたから……))


(おまえも能力ファイトするんだな……じゃあもしかして前俺に対してカツアゲしようとしてたのは嘘で本当は能力ファイトしたかったとかか?)


((えっ!? え・え・えまあそんなところかなぁ~あははは………すいません嘘をつきました…))


(じゃあ、本当の理由はなんなんだ?)


((本当の理由を言ったら 絶 対 に笑うか怒ると思うから今はないしょだよ! また機会があったらだよ!))


(そうだな…今はそれどころじゃないしな……)


 そうである今はそれどころじゃないのである、能力ファイトの真っ最中なのである、忘れてたよ。


 しかも頭の中で話しつつ相手のハイスピードノックとやらから逃げるという高等技術をいつの間にか習得していた俺は

 残り時間が1分に近づいて来てることに気付くのが遅いのであった。


(しまった!!端末機見てみたら残り時間が後1分ちょっとしかねえぞ…どうしよう……)

((え~~~~~もう1分しかないの!? どうするんだよ早く敵のバットを奪わなくっちゃ!))


 作戦内容はとてもシンプルなものであった。何とか近くにあるボールを投げまくって

 敵の注意をそらしながら、少しずつ近づいて相手のバットを奪い取って、そのままフルボッコという感じだ。

 つまり相手の武器を利用する作戦だ、あいつもバットがなければ何もできないだろうしな……


 そして俺は後だいだい45秒といったところで元カツアゲ少女こと美知の買い物を邪魔した現カツアゲ少年カネアツを倒すために

 この作戦で試合を勝ち取るために行動を起こした。1500円は俺が出したしな!!




3-5「使ったら駄目かも知れないものを相手が持ってるのにそれを奪って使ったら駄目なのかもしれない……」


 俺たちは実質2人で能力ファイトをしているようなものだ。

 作戦担当は実質美知が考える。そして試合担当は俺ことタケオがやってます。


 ただし能力は一言で表すと「逃げること」らしく相手の攻撃を避けるだけでまったく攻撃力はありません。


 つまり相手の体力を減らすには自らの拳か脚で敵にダメージを与えなければならない。


 武器になりそうなものは持ってないからな そこでだ、相手が持ってる武器を奪えば

 自分の武器が手に入るうえに、相手は武器が無いので一方的にこちらが有利になるという算段だ。


(というわけで、てめえの愛用の武器であるしっかり握ってるバットをちょこっと貸して貰いますかねえ、カネアツさんよう…ってな!)


 と俺はもちろん口には出さずに作戦が悟られないよう上手く近づくためにボールをいくつか拾いだした。


 ほい、ほいほいっとな、まずは3球ぐらいを連続で野球選手さながらに全力投球してみた。

 放たれたボールの1つは相手の胸に当たりそうになった。


(よしっ、これでとりあえず体力が減らせそうだな!)


 だがまたしても、よくない不運はよく重なるものである。

 なんとボールは相手の胸に当たる前にノックの球とぶつかったのだ。

 なんだってー!?とか内心驚いたが、よく考えなくても相手は休みなくノックを打ってるわけだから

 こうなることは予見できたはずだったのである。


(くそー上手くいかないなあ、でもこの隙に少しだけ距離を縮められたぞ!)


 このままいけばあいつのバットを奪えそうだ。

 だいたい相手との距離は今俺が見たところ推定5、6メートルぐらいだと思われる。


 むしろこの距離なのに相手のボールが当たらないのが本当に不思議だと俺は今更だが思った。

 確かさっきの壁に当たって反発して戻ってきたボールは俺の後頭部にクリーンヒットしたはず。


 なんでか知らんが、前方から来るボールの場合は100パーセントの確率で今のところ避けていないか?

 まさか俺の逃げることはそういう能力なのか?

 前方からつまり俺の見える範囲の攻撃は必ず避けることができるそういう能力なのか?

 つまり回避能力なのか?しかしそうだとするとなんであの時の測定のときに

 俺の能力を一言で表すと「逃げること」なんてあの爺さんは言ったのだろうかという疑問が浮かぶ。


 普通に回避能力だと言えばすむことをなぜかよくわからない言い方で言ったのはおかしい。

 つまり俺の能力は単純な回避能力ではないはずだ。

 だとすると過信はできない俺の能力なのにまだまだ分からないことだらけだな……


((そんなこと考えてる間にあいつすごく怒ってるよタケオ…余計なこと考えながら距離縮められるのはすごいと思うけどな……))


 美知のジャミングが入ったことに少し慣れた俺は冷静に相手の獲物を奪う考察をしていた。


 やはり掴み掛るか……それとも後ろに回って羽交い絞めにするか……それとも敵を怯ませた隙をついて上手くバットを奪うか。

 俺は熟考してた、これはどうしたものかこんなことではあいつのバットを奪えないじゃないか


 もう一度考え直すか…そんな中相手が大技を繰り出してきた。


「あー! じれったいぞてめえーー!! ならばこの大技を使いますか、ファントム・ヒット(揺れて読めない超一打)!」


 きた、そのこの球は縦にも横にも揺れてしまいには全く軌道が読めなかった。

 喰らう、腹に当たる、その気持ち悪いコースを通るボールは

 樹海に生えてる毒キノコを無理矢理喰らわされたかのような糞不味い何かを感じさせた。


 アカン……もうだめだ、負ける……今回はもうだめだと思う時間も20秒しかないからだ。


 しかし頭の中で美知があきらめるなよと声がするのが覚えているが……

 無理もない俺は意識を失った。この寒空をさらに暗くした暗雲……浮遊の様なコンビは敗北した。


「というわけでだ……これは貰っていくぜ約束通りな!しっは は は は!」


 バッチ2つと水鉄砲は奪われた、そしてポイントも13ポイントあったポイントが11ポイントに減ってしまった。傷を癒すためにこの道を引き返す少女がいた。

 成人男性を背中に抱えて、急ぎ足で帰路についた。




3-6「もうこうなったら特訓あるのみだなそして再挑戦あるのみ」


 次の日それぞれの仕事が終わったあとにある場所に集合した。そしてここからが本番だ。


 特訓だ!俺は敵から武器を奪う特訓を開始した、美知も的確な助言を行えるようにビデオを見た。


 持ってきたというか美知も端末機を持っているので超能力者通しの過去の試合をネットで見ていた。


 俺は敵から武器を奪う、イメトレと実践的な訓練を試すよ試してやるぞ!


「こうして……距離を取りつつ、一気に近づくが離れてまた近づく…フェイントを何度もかけて……」


「なるほどなるほど…超能力者ってこんな闘いするんだ…へ~レベル3通しでも結構ハイレベルだな~」


 そんなこんやで俺たちは3日は特訓した。


 そしてあの苦渋の敗北を味わった4日後に……俺たちはなんとか奴を探しだしてこう言った。


「俺たちのアイテムを返して貰うぞ!!」


「そうだ!おれが買ったアイテムみずみずエックス銃とラッキーハートバッチを返せ!!」


 そのアイテムを奪い取ったカネアツ野郎はこう返した。


「んっ…じゃあ別に返してもいいけどですかね~このアイテム使えませんから」


 なっこの野郎自分で奪っておいて使えないだと……すごくむかつく野郎だこいつやっぱり。


「ほらっよっ!!」


 普通にぽいっと投げてきた、バッチと水鉄砲両方とも。

 こいつマジで物を大事にしないタイプだ、持ってるバットなんてボロボロだったしな。


「返してくれるのか……普通に、お前は結局何がしたかったんだよ?」


 俺は何気なく思った疑問を口にした。こいつは本当に何がしたいんだよ。


「アイテムを買うのが面倒でしたな、だから誰からか奪って試して飽きたらいらないし、使えたらもちろん使いますよ、ええハイ」


 こいつほんまもんのクズだ!これはこいつをここで逃がしたらまた犠牲者が出る。


 俺たちはほんとはこいつを倒して返してもらうつもりだったのだが、こいつはクズだからここで倒すことに決めた。


「俺はお前に能力ファイトを挑む!負けたらもう二度とカツアゲするな!約束しろ!」


「ほお~別にそろそろこんな無意味なカツアゲにも飽きてきました、いいですよ……ただし、あなたが負けたらどうするんですか? 何か賭けますかねえ」


「俺は今まで獲得したポイントをほぼすべて賭ける、これでどうだ……」


「いいですね、なかなかの度胸だな普通そんなことできるわけがないつまり時間制ではなくポイントアンティ制というわけかね」


 ポイントアンティとは文字通りポイントを賭けることができる制度、ルール。

 ポイントを賭けた場合勝利したら賭けたポイントの2倍のポイントが返ってくる。

 しかし、負けたら賭けたポイントを失うのである。並大抵なものではない。

 しかも賭けれるポイントはレベルごとに上限が決まっている。

 レベル1だと10P、レベル2だと50P、レベル3だと100P、レベル4だと500P、

 そして……レベル5だと5000Pだレベル5は特別でこれだけのポイントを賭けれる。

 もし、ポイントを全て失うと能力ファイトがしばらくの間受けれなくなる。

 受けれなくなる期間は、まちまちで選手のコンディションにより左右されると噂であるが小耳にはさんだ。


 能力ファイトゲームって……なんかこう遊びじゃないなほんとに……もはやスポーツみたいじゃないんだろうか。


 俺は一度は通る考えを振りぬいては捨てて、ほぼ全ポイントの10Pを賭ける。

 相手は20P賭ける。どうやら全ポイントではないようだ。

 ルール上相手と賭けるポイントは同じである必要ではない。

 これにより、お互いの賭け試合が始まる。


 ある意味真剣に戦うのがこの賭け能力ファイトである。

 賭け試合は公式ルールで認められている。

 観戦者もどちらかにポイントを賭けることもできる。


 しかも対戦者の中に高ランカーなどの上位ランキング保持者などの

 有名人がいると、その対戦が能力ファイトゲーム用の独自ネットワーク内でオンライン中継される。


 これによりリアルタイムで試合観戦ができるのである。

 その対戦をもう一度見たい場合は追加料金を払って、しまえば端末にダウンロードできる。


 過去の名勝負ノーカット版などはかなりの高額料金だが、見る価値は人それぞれにあると俺は考える。


((全部、ネットの知識の受け売りジャン~~タケオの知識一つもないし))


(これでも最近覚えたんだぞ……俺の苦労をおまえは知らないくせに……)


((知ってたり、するかな~なんてね))


(えっ!? それはどういう意味だ?? 美知……なんでおれの作業内容まで知ってるんだ……)


((秘密かな? まだ教えないよ~だ、じゃあそういうことで))


 脳内の美知の声があったのだが、ほぼ聞こえなくなった。

 どうやら、スイッチみたいな感じにオンオフが効くみたいだ。

 それはまあいい、今回は必ず勝ってみせる、賭け試合の承認ボタンを押す。

 またしても電子音声が鳴り響く。


『ポイントアンティ制 能力ファイト開始します レディ――GO!』


 試合開始……本当の意味での真剣勝負のこれからが始まる。


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