23話 能力ファイト大会編其の五
23-1「当然強い奴もいるそんな奴を相手するのは勘弁だ」
次は五回戦の俺の試合があと少しで始まる。
そろそろ俺もレベルアップしてきただろうと思う。
次の相手はどんな奴だろう。
試合会場に入る。
対戦相手の名前は……白井上砥かどんな能力者なんだろうか。
そして試合が始まる。
さてどんな攻撃が来るのやら。
俺は右手を獣手にしておいた。直ぐに闘えるようにだ。
相手は直ぐに動かない。そしてやっと動いたと思ったら白い紙を出現させた。
紙?何の真似だ?そう思ったのもつかの間紙が物凄い勢いで俺の方向に飛んできた。
あまりにも速かったので避けるのが遅れた。
右肩を掠めた。そして血が出たのだ。血が出たということはかなりのダメージのはず俺は会場に設置されてるパネルを見たすると俺の体力ゲージが84パーセントになっていた。
一撃で16パーセントも!?これは危ないところだったまともに喰らってたらもっとダメージを受けていたに違いない。
「外したか……」
いや当たっていたよ掠った程度だが。
それとも本当はもっと威力があるというわけかならそうかも知れん。
俺はとにかく少し足に力を込めた。そして一気に足を踏み抜く。加速した。
獣手化していると身体能力が上がる主に足の速さ的なものでだから相手に一気に近づけられる。
俺は奴に近づいた。そして獣手を振りかぶる。
鋭い爪は強力だこの速さから放たれる引っ掻き攻撃は並じゃないはず。
ほんとは魔手化を使っておきたかったがあれは体力を意外と消耗する。
【エクス・リバース】なんてもっと消費するからなかなか使えないのは玉に傷。
でも持続時間が大会前に計ったら三十五分に伸びていたから結構使えるかなと思った。
そして攻撃を当てる。奴は紙で防御してきた。
紙で防御?何でもありだなほんと能力というのはよくわからんものが多い。
とに言う俺の能力も「逃げること」というよくわからん能力なのだがそれはおいといてこの獣手化や魔手化のほうがもっと謎だ。
美知はそうかな?わかりやすいと思うけどと言っていたが俺はいまだによくわからない気がする。
実際獣手化や魔手化は何を起因とした能力なのか未だにわからないのだ。
それでもって能力測定の時には引っかからなかった謎も有る。
とにかくまだわからないことだらけだ。
そして今は目の前のことに集中しないといけない。
相手が紙の切れ端を飛ばしてくる。
手裏剣のように。それを俺は躱している。
俺は反撃の隙を窺っている。
そろそろここいらでエンジンを上げていかないといけない頃合いかと思う。
俺はギアを一段階上げることにした。
魔手化!これで俺の右手はさらに攻撃的になった。
禍々しいオーラが放たれている。
「ならば紙剣藪霧!」
白い剣が現れた。奴の左手に持たれている。
「おらーーー!」
左手に持たれた紙の剣は俺に向かって斬りつけられた。
俺は咄嗟に躱す。
この一瞬の刹那に俺は次の行動を予測していた。
奴は次に剣をさらに出現させ右手に持ち二刀流をするはずだと俺は確信していた。
なぜなら一本よりも二本二本よりも三本と漫画に描いていたからだ。
ならば必然一本の剣は二本の剣になるはず。
俺はじっくり観察した。
そして奴は右手に紙の剣を持った。
予想通り!
「残念ながら四本だ」
「何!?」
こいつ俺の心を読んでやがる!?しかも四本だと!?
「しかも串刺しだ!死屍流投!」
四本の紙の剣はそのまま俺に向かって真っすぐ放たれた。
真っすぐとこちらに向かって飛んでくる。
しかも四本の剣はばらばらに飛んでくる不規則にこれでは一本避けた所でもう一本が当たりそうだ。
俺は剣が飛んでくる刹那考えた。
瞬間考えが浮かんだ。
これならいける。
俺は思いっきりしゃがんだ。
床すれすれのところでだ。
結果剣は俺を素通りしてフィールド外に出た。
そのまま壁に突き刺さった。
「ちっ外したか」
そろそろ俺から攻めさせて貰えませんでしょうかね?
俺は足にいっぱい力を込めた。
そのまま駆け出した。
その刹那相手は驚いた表情をしていたがすぐに余裕しゃくしゃくな表情に戻った。
そして奴も奥の手を出したようだ。
まだ何か隠しているように見えるが。
「紙吹雪!」
上砥の周りは沢山の紙……みじん切りされているような塵紙が奴の周りを囲んでいた。
これはヤバいと感じた。
このまま突っ込んだら大ダメージだと思った。
俺は緊急停止してそのままバックした。
しかし相手はそれを許してくれなかった。
「追尾!」
無数の塵紙は俺を追いつめる。
そのまま俺はリングの端に追いつめられる。
そこから俺は右手の魔手を盾にして強行突破しようとした。
しかし多少のダメージは受けないといけないと思ったがどのくらい喰らうか見当がつかなかった。
そして大量の紙吹雪が俺の魔手の右手に当たる。
細かい傷がズタズタと付く俺の右手。
しかしこのくらいのダメージは想定内だ。
俺の体力ゲージは76パーセントに8パーセントなら大丈夫だ。
そのまま突っ切る。行くぞ!俺の右手よ力を貸してくれ!
「魔人突き(エビルネス・スタングレネード)!」
流れる静かな時……このまま時が止まってしまうのではないかと思われるぐらい静かに時が流れそうになった。
俺は確かに奴の腹を突いた。
しかしそれでも手ごたえが微妙に感じなかった。
見えたのだ奴が咄嗟に紙を何重にも盾のように重ねて防御したところを。
「五重の紙盾だこれがなかったら俺はかなりダメージを受けていただろう……」
見ると相手の体力ゲージは86パーセント14パーセントしか削れていない。
俺は今ので気を少し消費したようだ。いつも以上の気合いを込めたのだから。
そして相手も直ぐに体勢を取り直してまた俺に対して攻撃の手を取ってきた。
「集合!」
塵紙が中央に集まるそして……
「突進!」
塊が俺目がけて飛んできた。
俺は自身の魔手化した右手に力を集中する。
さらに巨大魔手にする。
これで防御として使える。
目の前から飛んでくる紙吹雪を右手で防いだ。
そしてそのまままた俺は突撃した。
「アクロマ・サタデイン・クロマウ(闇魔界の黒狼牙拳)!」
クリティカルヒット!確かな手応えを感じた。
相手の体力ゲージは55パーセントだ31パーセントも削った。
さらに攻撃してやる。
と思ったのもつかの間相手の白井上砥も反撃に講じてきた。
「紙の大蛇鞭!」
まるで大蛇のような鞭がそこに現れた。
太いそして長いなんだこれは普通じゃない。
奴の周りを囲むように周囲に威圧感を放っている。
このままではじり貧だ俺は意を決して攻めることにした。
そうあの力を使って【エクス・リバース】!
俺はそうなるように念じる。
するとなれた左手には巨大聖手を携えている。
闇の魔手と光の聖手がバランスを保っているからこそ出来る大技だ。
来るぞ!大蛇が攻めてくる。紙とは思えないものが飛んでくる。
俺はそれを跳ね除けた。
そして右手と左手の同時攻撃が襲い掛かる。
「アルダンス・カリミティ・ダブルハンド(同時集中する衝撃の二極拳)!」
「神紙壁!」
激突する二者の技。俺の攻撃は届いた。
だが完全ではなかった。
僅かに壁に阻まれた。
しかし20パーセントは削った。これで相手の体力ゲージは35パーセントこれであとは攻めるのみ。
「ならば奥の手だ!神紙吹雪!」
塵紙が俺をまた襲うしかし【エクス・リバース】で全身にオーラを纏っている俺には効かないはずだ。
このまま突っ切る。
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
右手左手のラッシュで攻める。
そしてついに相手の体力ゲージを削りきった。
「勝負あり!竹谷竹男選手の勝利です!」
勝った。意外と楽勝だった。相手のレベルは後で調べたら4だった。
だから苦戦しなかったのかと思った。
残り32名の大会参加者。
俺はどこまでいけるかこの時点では考えていなかった。




