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17話 そろそろ大会が始まるようですよ

17-1「大会があるって?ならそれに向けて特訓あるのみですよ」


土曜日の昼下がり、俺は美知と拳法の特訓をしていた。

大名理流拳法は慣れが命毎日の特訓は欠かせないらしい。

「それにしても美知は動きにぶれが無いな」

「タケオはぶれがあり過ぎだよ……もっとキレがないといけないよ」

そう言って拳と拳がぶつかり合う。俺たちは組手を行ってた。

と言ってもいつも勝つのは美知のほうだ。俺が勝ったことは一度も無い。それだけ拳法に関しては美知の方が上だ。


そして無駄のない洗練された動き。まさに達人の域までいってるのだ。と言っても上には上がいるそれは美知のお爺さんだ大名理流免許皆伝の腕までいってるのはお爺さんだけだ。

そしてそれでもお爺さんは何かと忙しいらしくあまり美知の家に行ってもあまり会うことはない。この前会ったのはいつだったかな……一か月前のお正月の時ぐらいか?それ以来会ってない。とにかく俺は今は美知との特訓をするしかなかった。


特訓も一区切りついて美知と三時のおやつとお茶をたしなんでいた。


「そういえば美知俺ついに能力ファイトの保有ポイントが200を超えたんだ」

「へ~それは凄いねタケオそれじゃあ何かお祝いしないとね」


そう言ってごそごそと上の棚をあさる美知。そしてどう見ても秘蔵のお菓子「満月の塊」と言うおいしそうなお菓子を取り出してくる。いいのかそれ?

「お爺ちゃんのだけど良いでしょ別に……タケオのお祝いだと言えば怒らないよ」

「それもそうだな……」

そう言って俺たちは高級そうなお菓子をパクつく。そしてお腹が膨れたところで美知がそう言えばと……何か思い出したようでノートPCを見せてきた。

「これ知ってる?能力者ファイトの公式サイトなんだけど」

「えーと何々能力者ファイトの公式大会が今年も始まる?グラウンド・バトル・ファイト開催?」

それは大会の告知を告げるものだった。どうも毎年開催されているようだ。そしてそこに乗っている賞金の覧を見た。


なんと優勝者には一千万の賞金が出るらしい。二位でも五百万だ。三位は百万だ。これは出るしかないな。でも俺にここまで勝てる強さはあるのだろうか?レベル1だし。いやあの力【エクス・リバース】さえあるならどんな強敵にも勝てそうだ。


よしそれまで特訓あるのみだ。幸い大会までまだ一カ月はある三月十九日の日曜日だ。しかも大会に出る資格として保有ポイントが200以上あるもののみとなっている。


俺はちゃんと満たしている。これはラッキーだ。大会まで猛特訓できるぞ。


やはり【エクス・リバース】を使いこなせることが重要だと俺は考える。あの力は確かに強いが怖い。暴走する可能性もあるからな。


そして俺はその一か月まである大会まで【エクス・リバース】を完全に自分の物にするためにある人のところにやって来た。なお美知はすんごい拗ねてた。


「それで私に用ってだいたいわかるけど……何の用なの?」

朱家あけや しずくの所に決まってる。しずくは俺と同じ【エクス・リバース】を使えるので特訓にはもってこいだ。


「大会までの特訓相手が欲しいんだよ……【エクス・リバース】を完全に自分の物にしたいしな」

俺は自信満々に言った。そしてしずくの返答を待つ。


「なるほど……そんなところだと思ったわよ」

しずくは当たり前のように答える。そしてこう言った。


「それじゃあ練習試合と行きますか……準備は良い?」

しずくは本気の眼をしていた。

「え、え、え!?いきなり勝負か俺は特訓をしたいんだが……」

「実戦経験を積んだほうがいいでしょ?それに今回はファイトの中で私も【エクス・エボリューション】を使いますから心配しなくても大丈夫です」

「いやむしろだから心配なんだが……」

「タケオさんのために心を鬼にします、逃げないでくださいね」

そう言ってしずくは端末の練習試合の承認を押す。

俺も仕方なく承認を押す。まだ完全に力を使いこなしているとはいえないのだがしずくがやる気満々なのだ。


『それでは練習試合開始です』

練習試合の開始の合図が鳴る。試合開始だ。


17-2「しずくの本気が見られるかもしれない件」


試合が始まって既に一分が経過している。しずくは動かない。俺も動かない。というより完全に機会を窺ってる。そしてそんな状態がさらに二分続きついにしずくが動いた。


まずはブラッド・ナイフを生成して俺に向かって突っ込んで来る。

俺は元祖の能力「逃げること」を生かし敵の攻撃をかわす。


「喰らいなさい!」

「喰らうかそんなの」

俺はとにかく避けることに集中した。そして反撃の手段を考える。やはりこいつほどの力の持ち主には獣手化ケルベロハンドでは無く魔手化エビルハンドを使わないといけないか。


俺は禍々しいオーラを右手に集中させた。右手に禍々しい闇のオーラが集まってくる。

「ぐぬぬぬ……はああああああああああああ」

「まさか……それを使うのか」

俺はまだ【エクス・リバース】を完全に使いこなせない。なので俺はこの不安定な力を使わざるをえないのだ。


そして右手は禍々しいオーラに包まれた。魔手化完了だ。

「行くぞ!」

「!!」

その刹那俺は突撃した。そして魔手化した右手を振り上げて攻撃する主に伸びた爪を使う。

しずくはこの時ブラッド・ナイフを解除してブラッド・ソードに切り替えてくる。俺の攻撃は猛烈なものだった。なので簡単に受け止めるのは難しいと思われる。


そして俺の攻撃はしずくにヒットする。ゲージを82パーセントまで削る。しずくはしまったという顔をしている。俺はこのままどんどん攻めることにした。


一気に畳み掛けてやる。そう思ったんだがそう上手くはいかなかったのだ。しずくの動きが格段によくなった。血液の循環を上昇させるブーストを行ったようだ。


これで俺の攻撃は上手く当たらなくなった。そしてしずくは新たな血の武器を生成した。

「ブラッド・ランスロット(血の長槍)!」

「何……」

見たことも無い長い槍を生成したしずく。それを俺に向かって振り回してくる。俺はかわす。そのままの勢いを利用して後ろに下がる。そして俺は体勢を立て直す。攻撃に転じるため右手に力を込める。

「ぐおおおおおおおおおおおお」

「来るか……来るなら相手になってやる!」

右手の魔手の力を最大限上げてしずくに突っ込む。魔手は巨大魔手になった。それがしずくの槍とぶつかる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「くううううううううううううううううう」

長いこう着状態から先に届いたのは俺の巨大魔手だった。しずくの血の長槍を破壊した。そしてそのまましずくに攻撃が届く。吹っ飛ぶしずく。そのままガランゴロンと転がるしずく。


しずくのゲージは65パーセントまで減った。このままいけば普通に勝てそうだ。

しずくはなかなか立ち上がらない。俺は何をしてくるかわからないので少し様子を見る。


そしてしずくは立ち上がった。しかしその眼はメラメラと燃え上っていた。そしてシューと静かになったと思うほどの空気が張りつめた後急にざわつき出した波動が俺を襲った。


「エクス・エボリューション!!!」

ブオンと赤色の光が現れた。それはXの形だった。俺の【エクス・リバース】と同じであった。そのオーラは眩いほど輝きにまして空気が張り裂けそうなものだった。


そしてしずくが口を開いた。

「どう……これでやっと本気を出したわよ、これでいい気にさせないから」

「おいおいこっちは【エクス・リバース】まだなのにちょっとずるくないか?」

「悔しかったらそっちも使いなさいよ……【エクス・リバース】を」

そう言って俺に向かって血の塊を飛ばしてくる構えを取る。

「ブラッド・マシンガン!」

数多の血の塊が飛んでくる。俺はそれを全て巨大魔手で受け止める。ゲージは98パーセントになる。ちょっとダメージは喰らうみたいだ。


「ならこれはどう?ブラッド・スピア!」

血の投げ槍のようなものを生成して俺に向かって投げ飛ばしてくる。俺はそれを巨大魔手で弾く。


ゲージは減らなかった。さらにしずくは攻撃してくる。

「今度はこれよブラッド・ストライク!」

血の塊がしずくの上のほうでどんどん集まってくる。そして少し大きくなったら俺目がけて飛んできた。まるで流星のような形だ。そいつが俺を襲う。


すごい勢いだったので俺は巨大魔手で防御するしかなかった。俺のゲージは88パーセントに減少した。

さらに血塗られた狂剣を発動する。恐ろしいオーラに満ちた剣が現れる。しかも【エクス・エボリューション】で出力が何倍にも膨れ上がってる。しかも双剣なんと左手にも握られている。

「これぞ血塗られた狂双剣……これであなたを倒す……」

おいおいおい流石に不味くないか!?こんな恐ろしい気迫のしずくを相手にするのか?流石に無理臭い。

俺は右手の巨大魔手の力をさらに増大させる。巨大魔手はさらに巨大になった。

そして狂双剣を受け止めるのだが……しずくはこっちにまだ来ない。そして後ろからだと!?しずくは瞬時に後ろから現れて俺に斬りかかった。


俺はすぐさま後ろを向くが間に合わなかった。俺のゲージは55パーセントにも減る。大ダメージだ。俺は【エクス・リバース】をしないと勝てないと確信した。


俺は【エクス・リバース】をすることに決めた。左手に神々しい光のオーラを溜める。そしてXの交叉を交える右手の禍々しい闇のオーラを左手の神々しい光のオーラをそれぞれぶつけ合う。【エクス・リバース】は展開された。


「やっとなれたのねそうこなくちゃね」

俺は久々の本当の【エクス・リバース】をしていてなかなか不安定だった。

しかし力がみるみる漲る。これならやれるかもしれない。


俺は右手と左手からそれぞれ爪を出した。右手がネセサリウス・ギルネオス・ルマカクロウ(魔なる異形の獣の破壊闇爪)左手がプリューヒデント・ケルベロス・セイクロウ(神聖なる獣の再生光爪)だ。これでしずくの血塗られた狂双剣に対抗する。しずくはこれはやっかいねという顔をしてこちらの出方を待っている。


俺は【エクス・リバース】を使用している。これなら互角以上の闘いが出来るはず。そして攻撃に移る。音速の壁を超えると錯覚するほど速い世界に突入した。


まず俺は右手の爪でしずくのボディを狙う。しかしすぐさま左手に持つ狂剣で受け止められる。そして距離をとる。しずくが右手に持つ狂剣を俺に対して斬りつけてくる。俺は左手の爪でガードする。


そしてつばぜり合いになる。そのままこう着状態が続く。俺はそこから脱出した。そして背後に回り技を展開する。ジオテスク・ミヤカリヒ・ロクジュウソウ(縦横無尽の闇と光の六重爪)瞬間闇と光が交差して爪の衝撃が駆け巡った。しずくは血塗られた狂双剣を交差さして受け止めていたようだがダメージを受けたようだ。しずくのゲージは16パーセントまで減っていた。俺は勝利を確信したが、しずくはまだ諦めてはいない顔をしていた。

しずくは自身の持っている血塗られた狂双剣を解除して新たに別の武器を生成した。


千本の吸収残刀サウザンド・ドレイン・カッターを展開した。空中に無数のカッターナイフが飛んでいる。俺はあまりにも大量に飛んでいたので驚いた。これでは逃げ場がないではないか。俺は破壊闇爪と再生光爪で防御するしかないと思った。


「行くわよ……」

しずくは覚悟を決めて打ち出した。千本のカッターナイフが打ち出される。俺は全力で爪を上下左右に動かした。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

しかし何本かは刺さっていく俺の胴体にそして力が吸い取られていく。俺のゲージはみるみる減っていく。俺のゲージは25パーセントしずくのゲージは56パーセントに回復していた。このままでは勝てないと思い俺はまだ打ち出されているカッターナイフの雨あられの中をかきむしってしずくに近づこうとした。


「そうはさせない……ブラッド・ストライク」


血の塊が飛んでくる俺はそれを受け止めた。そのまま少し後退する。そして何度も大きい血の塊を飛ばしてくる。俺はそれをかわしたかったが追いかけてくるのでなかなか回避することは適わなかった。

それでも俺はあきらめない。ようやく千本のカッターナイフが打ち出されて俺は少し安心した。しかしそれでもまだ何かしてくると確信していた。そのまま俺はしずくに跳びかかっていた。しずくは血塗られた狂双剣を再び出した。そして俺と再びつばぜり合いになる。そのまま隙を突かれた。俺は斬られた。ゲージは2パーセントこのままでは負ける。と思ったのもつかの間また斬られた。ゲージは0パーセントに……俺の負けである。


全力を出した……のに負けたやはり俺はまだまだ実力不足のようだ。


「そんなに落ち込んで少しは元気出しなさいよ」

「お前は俺より強いからな……余裕だな」

「ちょっと危なかったけどね……もしかしたら私が負けていたかもしれないよ?」

「結果が全てだ……まあいい練習にはなったかもしれないが」

そうしてまたもやファイトを始めないかと言われる。いやもういいよと断る俺。それじゃあ特訓にならないと言われて無理矢理やらされる羽目にとほほ……しずく先生はスパルタですね。俺たちの特訓は始まったばかりだ。

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