14話 美知の過去話は闘いの連続であった
14-1「美知の人生相談受付中」
「それで、おれに相談したいことって何かな……」
俺は今美知に人生相談している。相手は俺より下の年齢だが、俺より思慮深く頭が良いからである。先日の襲撃されたことは伏せていた。ただばれたのは当たり前である。
美知のブレイン・リンクの前には隠し事は出来ないのである。
「しかし、謎の人物に襲撃されるなんて……タケオも災難だったね……誰なんだろう会ったらボッコボコにしてやるからな」
美知は武術に関しては達人クラスだ。多分相手が能力者でもそこそこ闘えるだろう。でも心配ではある。こんな小さな体をしているのだからその謎の襲撃者がただの力だけの超能力者とは限らないからである。特殊な系統の超能力者だとやっかいである。本当は美知には襲撃者の存在は隠したかった。でも俺が夜に逃げるように美知の家に来たとき質問された。
「どうして今日は来ない日だよね?なんで来たの?」
「それは……言えない……」
馬鹿正直にそんなこと言うわけだから能力を使われたわけだ。直ぐにばっればれな状態になったので俺はこいつを巻き込みたくなかった。その場でこいつは事件現場に行こうとした。俺は流石に止めた。とてもご機嫌斜めな状態になっていた。この前の違法武器の工場に潜入するときもおれを置いて行ってどういうつもりだよと怒っていたしな。
あのときも弁解するのがかなり大変だった。
「おまえが戦闘向きの能力を持ってないから連れていけなかったんだよ……わかってくれたか美知?」
「わからないよ……タケオがピンチの時は駆け付けるって約束を常にしているようなものでしょ?タケオとは運命共同体だよ?俺の拳法の腕前では足りないのかな……置いて行かないでよ……」
美知を置いて行ったわけではないのである。美知のことが心配なんだよお前はもともと俺の中では守るべき存在になってしまった。俺のポリシーに反する。美知の爺さんもこの前頼まれた。「お主はとても強き男だ……だから美知が無茶なことをせぬ様に見張ってくれぬか?」
もちろん美知にそのこともばれました。
「お爺ちゃん余計なことを……おれが無茶なことするわけないだろ……たしかにあの時はやり過ぎたけど……」
そのことは至って単純だった。美知のクラスメイトがいじめられていた。そいつ無視したり物を隠したりしていた。正義感が強い美知はそれが許せなかったのだ。そこでいじめグループの主犯格の少年に能力ファイトを挑んだ。美知が勝ったらもうこいつをいじめるのはやめるんだと言う賭けファイトを挑んだ。美知が負けた場合は俺が代わりにいじめられるからと言う約束で行われた。相手のいじめの主犯格の能力はテレポーターだった。よってどこから現れるかわからないでいた。しかし美知は自分の中の世界を知っているので敵の動きが手に取るように見えた、知りえた。よって後ろに瞬間テレポートされた時に後ろ蹴りを行い左手を掴み何度も踏みつけたらしい。なんどもなんども踏みつけた。土を抉るようになんどもなんども踏みつけてやったのだ。そう語るときの美知の顔は狂喜に満ちてた。あのときの感覚はとても素晴らしそうな笑顔だ。こいつはいろんな意味で歪んでいると思っていた。俺と似ているそんなとこがほっとけない。話がそれたがそして美知はいじめの主犯格を病院送りにした安全装置があったがそれを無視して打撲の怪我をさせた。どうも物理攻撃だと限界があるらしいということではなく試合が終わった後も踏みつけていたのが原因であるとのことをあとで知ったらしい。途中で担任の先生が止めに入らなかったら、もっと大怪我していたらしいとのことそのいじめの主犯格は病院と警察の両方のご厄介になったらしいが、美知もやり過ぎだと言うことで警察から厳重注意されたとのことそのときから美知はつまんない感じの毎日になったとのこと。完全に人生相談しているのがどっちかわからなくなった……これでは俺が美知の人生相談役ではないか。
しかし美知はやめない話すのを。その後不良グループに入って色々な犯罪をしてきたとの告白までされた、ただ美知は見ていただけでやってないと言った。
14-2「不良グループに入っていた時の話」
美知はついこのあいだまでアドライクと言う不良グループに属していたとのこと。でも暴力と金の二つを目的にしていたとこだったらしいとのこと。アドライクの活動は単純だ。脅してお金を奪うそれだけ……つまりこの前まではアドライクに居たので俺に対するカツアゲがノルマだったらしいのである。でも一度もそのノルマを達成したことはなかった。
そんな卑怯なことはしたくないのである。だから親の財布からお金を少し拝借していたりして何とかカツアゲしてきたことにしたのである。そしてそんなある日アドライクのリーダーにそのことを見抜かれたので能力ファイトをすることになったのだという――
――「美知……お前上納金を正規の手段で納めてないらしいな……お前が暴力で金を奪っているとこを誰も見て無いんだとさ、どういうことだ?ここでは暴力で金を奪うことがルールのグループだ。俺の島で最低限のルールも守れないようなら……お仕置きが必要だな」
「……別にいいだろどんな手段でも月に一万円奪って来ればいいと言ったじゃないか!俺は一万円を納めているこれなら問題ないだろ」
「お前な……わかってないな……俺達のグループは泣く子も黙るアドライクだ。一に暴力二に金だ。つまり金よりも暴力が大事だ。俺達のことを知らしめるためには暴力が必要なんだよ。だから能力ファイトで合法的にカツアゲをしているんだよそのあとに奪えば何の問題も無い……そうだろ?」
このとき美知は一方的な言い分ではあるがリーダーの言っていることに言い返すことが出来なかった。確かに能力ファイトは犯罪ではないが、その後にボロボロになった人から行うカツアゲは非合法な方法であるとこのとき美知は理解していたのである。
美知は怖かった、一度は入ったことが自分の反抗心を芽生えさせた時の快楽に溺れるのが良かったが、その後は下り坂であった。何をしても悪いことをしても満たされなかった。直接お金を奪うことだけはしなかった。ただ能力ファイトをして相手をボコボコにしたことは何度もあったが、それだけである。犯罪行為にまで手は染めてはいない。美知は暴力依存症になっていたのである。自分の中の暴力を行うということが快楽と言う名のアドレナリンが放出される瞬間になるのである。美知は闘うのをやめる日はなかった。だから負ける気はしなかった。よって美知からアドライクのリーダーに能力ファイトを仕掛けた。
おれが勝ったらもうおれはこのグループを抜けさせてもらうとの約束をした。負けた場合は俺の上納金を倍にしてもいいという賭けを行った。
まず美知は接近戦しかできないのでアドライクのリーダーは遠距離から攻めることもできないタイプであったのでガンガン攻めて行った。しかしそこに落とし穴があったリーダーも意外と格闘センスが良かったのだ。しかも男なのでリーチも長い美知は力では美知の方が上ではあるが、速さも美知が上ではあるが、ずば抜けた格闘センスのあるアドライクのリーダーは先手を打った。右わき腹に蹴りを入れてくる。美知はその攻撃をかわせなかった。痛い。痛い。うち慣れたはずだがやはり痛いものは痛い。お爺ちゃんの時とは違う本物の試合外傷なくしても痛みはある。美知のお爺さんはなんだかんだいって孫には手加減しているのであることがわかる。とにかく痛い一撃を喰らった。しかし美知はそんなことではいかないと思い、相手の左足を掴む。蹴られた瞬間にである。そのような臨機応変な対応ができるのである。そして大明理流合気柔術足上げ投げにより相手を投げ飛ばした。相手は着地に失敗する、そしてその間に距離をさらに詰める美知右踏みつけを連打する。
「おらおらおらおらっ!!これでどうだ……思い知ったか!」
強気な美知はこのままアドライクのリーダーを蹴り飛ばしていた。自分の残りゲージは90パーセントでアドライクのリーダーは75パーセントだこれで勝負を決めてやると思い。
大明理流連続乱れ突き拳で体力ゲージを一気に削りにいく美知。
立ち上がったアドライクのリーダーとの距離はニメートルといったところだ。この距離を一気に縮めていく。そして放たれる拳の連打。攻撃は軽やかで滑らかだ。とても隙が無いにも関わらず、美知の攻撃はわずかに届かなかった。
「くそっなんで届かないんだよ……最強の連続技なのに……」
「それはだな美知……お前が子供の体型だからなんだよ!」
放たれる右足からの勢いのある蹴り。美知の左肩に当たる。美知のゲージは86パーセントに減る。それでも猛攻をガードする美知蹴りの連続を受け流していく美知。ゲージは81パーセントまで減りを抑えたのである。確かに美知は子供体型である。よってリーチが短いいくら拳の威力が高くてもリーチが短ければ届かないのは明白である。
なので美知は相手を掴んで投げる投げ技を使用するか、掴んで逃げられない様にして殴り続ける、自分も反撃を喰らうかもしれない縮め戦法のどちらにするか迷っていた。
このままではリーチの長いアドライクのリーダーからの足技を受け続けてしまうのをためらったのか、美知は距離を縮められないでいた攻撃の瞬間だけ距離を縮めれば良いからだ。
攻撃は必ず当たらないと体力ゲージを削れないしかもガードされると減りがぐっと減る。パンチ一発が3パーセント減るところが1パーセント以下の0.5パーセントぐらいの減りしかない。それだけガードという行為も重要ではある。そうこれはただの喧嘩では無い。
試合であるのだ如何にして敵の攻撃を耐え忍んでその隙に敵の懐に潜り込んで攻撃を有効に当てるいわば能力ファイトとは相手の隙を突くスポーツのような武道でもあるのだ。
そして美知は考えた。一撃必殺の技、大明理流拳技【鋼の拳】を使う時が来たと。
まさに鋼の極みに固めた拳は岩をも砕く。この技を喰らって病院に行かなかった奴はいなかった。といってもこれは能力ファイトだ。遠慮なく打てる。安全装置が働いているためであるからなのである。これにより美知の考えは目の前の敵を打ち砕くことにのみ集中力が制限を超えていた、そして思いっきり敵に向かって飛び込んで行くのである。
「うりゃあああああああああああああ喰らえええええええええええええええええ」
「なんだと……速すぎて見え……くっ!?」
そして放たれる鋼の拳はゲージを一撃で30パーセントは削った。あまりにも強力な攻撃を腹に受けたため悶絶しているアドライクのリーダーがそこに居た。とても苦しそうにしているゲロを吐いている。それでも30パーセントの痛みだこれでも大明理流の拳技の中でも習得難易度は中級レベルしかない。あまり強い技ではないのである。至極単純であるからである、拳を鋼のように固くするイメージを頭に強く固定化するだけであるから意外と簡単にできると思われる。もちろん大明理家の人間がちょっと普通じゃないからというのが理由ではあるが。正確にネタばらしすると気の力の応用である。気の力を拳に厚く集中させて拳を本当に鋼の様に固くしているのである。大明理家では三歳の時から修行をさせられるので十年もしないうちに気の力が身につくのである。なおこの気の力は実は超能力者の持っているサイコエナジーと言うものと同じであると考えられている。つまり美知はサイコエナジーが普通の超能力者よりも豊富だということである。測定の時もいわゆる六項目のステータスタケオが
力:100速度:400技術:50スタミナ:200応用:100やる気:10
がタケオのステータスであるこの数値も約四か月前のものなので数値は多少上がっているのだが現在のタケオの数値はこれだ。
力:120速度:450技術:80スタミナ:300応用:150やる気:50
なかなか上がっているのであるが最近になって調べた結果だ。忘れていたよ……
そしてこちらが美知のステータスだ。
力:300速度:380技術:200スタミナ:1200応用:200やる気:200
……教えてもらって絶句した。何一つ勝ってるところがない……いや速度がわずかに俺の方が上だがスタミナ1200って……何この差……こいつただの女子中学生じゃないだろ……
なおスタミナは身体的スタミナとサイコエナジーの容量の二つの意味があるらしいとのこと。
話が完全に逸れたが美知はアドライクのリーダーにその後勝ちました。当たり前だろこんな武術の達人レベルの奴に勝てっこないし……そして美知はフリーダムに毎日毎日能力ファイトしてお爺さんの所に連絡が来ました。あまりにも病院送りにするから親代行のあんたがなんとかしてくれと主に学校での能力ファイトであったからだと言い訳する美知。
「本当に弱くってさ……学校の能力者なんておれの相手にならなかったよ」
「それはそうなんだな……お前がまさかそんなに強いなんてタケオお兄さんビックリだ」
俺達はそんな過去話を美知から聞いていた。美知って怒らしたら恐そうだな……今度から気をつけようと思う。




