12話 違法武器編後編
12-1「色々と確認しておきたいことがあるのは誰しも同じ」
まずシオウが語りだした、なぜ俺が戻ってきたかはもちろん俺のことが心配だからだと言ってきた。それにこれは俺が首を突っ込んだことだとシオウは言う。
そしてしずくがいる理由もシオウが説明する俺が頼んだと……つまり話はこうだ
シオウは自分のけじめは自分でつけると言ったがやはり心配だしかしシオウは瀕死の重傷でぼろぼろだそこで何とか足を引きづっていって歩いて10分ほどの所にある公正試合実行委員会の朋逆町にある第一支部に出向いたらしい。そしてたまたまそこにはしずくが居て訳を話したというわけだ。これによりしずくも公正試合実行委員会として見逃せないことだしタケオさんの監視を怠っていたことにより現地に出向かないといけないと……ってまてよ俺の心配じゃないのかよ!!と俺は突っ込みを入れる。
するとしずくは「あなたの監視は私の仕事ですので……ちょっとサボっちゃったのが悪かったんです一応8時間と時間を決めてますので……今度から10時間に増やしときますから」
と謎のストーキング発言をした。そんなことより一番の問題はテルネアスである。
なぜ彼女がここにいるのか?あの時会って確かにこの前もこの前も毎週金曜日には必ずではないが隔週で会うがそこでカレー談義で話は終わらずこの前なんてハヤシライス談義になったのだ……それはいいとして彼女みたいな可憐な紫陽花の花のような美しい少女がこんなとこにいる理由を俺は知らない。なので理由を聞いてみることにした。
理由を聞くとまるで紫陽花が一斉に咲いたような情景が見えるかのようなイメージが俺を襲う。とても心地良い匂いだ……って俺は変態か!と自分に突っ込みを入れている間にテルネアスは語りだす自分がここにいる理由を。
「たまたま通りがかって…………タケオの匂いがしたから来てみたら…………いたんだ」
「それだけ!?」
「ほんとにか~?」
「そうなんですか……」
俺とシオウとしずくはバラバラに返答した。
それだけに意外というかなんというか本当なのかわからないが匂いってテルネアスさんは犬かなんかかよそれともそんな能力がおありなんですかと聞くと
「私は否能力者です……匂いと言うのはなんとなくそう感じ取っただけで確証が合ったわけではありません…………なんとなくです…………」
だとしたらどんぴしゃである何とも勘が鋭い人だと思った。でも良く考えたら音とかが大きくて不審に思ったのかもしれない。それでもこんな危険な所に来るなんて……早く帰っていただかないと……
しかしテルネアスは首を横に振る俺の眼をじっくり見ながらだ……そしてその柔らかそうな唇から信じられないことを話し出す。
「私も協力する…………」
「えっ……テルネアスが……そんな危険だよ……君みたいな娘がこんな危険なことに首を突っ込んだらいけないよ……」
しずくも応戦する。
「そうです、あなたは否能力者なんでしょ!だからここは能力者の私たちに任しなさい」
「私は射撃の心得がある…………」
「それでも…………どうしても来たいのですか?」
しずくは慎重に返事する。最後の確認みたいに聞く。するとテルネアスは答える。
「足手まといにはならないから…………」
俺は答える。テルネアスの提案を飲んだ。
「わかったよ……テルネアスがそう言うなら……俺たちに同行させよう」
「ありがとう…………タケオ…………」
テルネアスは潤んだ眼でこちらをじっと視てくれた。とても美しい眼であった。
俺はこの子犬のような眼に魅せられた。そしてそこで土下座している科学者がいることに気が付いた。
なんでこいつは土下座しているんだろ……問い詰めてやるか。
問い詰めてみると、俺が違法武器作りに加担してたのは事実だけど本当はやりたくなかったらしいと言い訳してる。どう聞いてもノリノリで俺とシオウをボコリまくった癖に……良く言えるよ……シオウも「ここまでやっといてそれはないやろ……」と呆れていた。
怒る気も失せるほどだ。しかし俺たちはこの科学者の京太郎に負けた時に気になることを言ってたのを思い出す。
そう言えば……こんなこと言ってたよな~――
――「だって、仕方なかったんだよ……本当は違法武器なんて作りたくなかった!!俺の……俺の彼女が監禁されているんだあいつに」
「そうなんだよそいつの名は……言ったら俺の彼女が殺されるから無理なんだよもうおしまいだ……」――
「って言ってたよな……つまり本当にお前は脅されているのか?どうなんだ?俺の眼を見ろよそのへんは事実なのか!?」
俺は真に迫る勢いで科学者京太郎に迫る……しずくもシオウも見てるテルネアスは何故か俺を見てる……そして科学者京太郎は「本当です……嘘ついていません本当何ですよ神様に誓って嘘はついていません」と言った。
ならばそこに俺たちを案内しろと俺が言うと……そんなことしたらボスに俺の彼女が酷い目にあわされると……拒む。とりあえずしずくがこいつを警察に連行した。公正試合実行委員会は警察と協力関係にあるらしいので柔軟な対応がなされた。そして俺たちは今夜は家に帰って後日またある場所に集まることにした。
そしてシオウが科学者京太郎が最後に教えてくれたボスのアジトと呼ぶに等しい本研究所と違法武器を作っている工場を併せ持った場所は教えてくれた。科学者京太郎の連絡は二週間に一回しかしなくていいらしいともゲロッタ。この情報は前に俺と闘った警官からしずくを通して教えてくれた情報だ。
よって俺たちは俺の科学者との闘いから一週間後の夜7時にある場所で集まることにした。
そのときのメンバーはもちろん俺とシオウとしずくとテルネアスである。
美知はこのことを伝えたがあえて置いて来た。お爺さんも反対してきたからなでも俺だけなら行ってもいいと許可を貰った。そして俺たちは公正試合実行委員会として仮メンバーに入ることになった、なぜなら公正試合実行委員会には緊急時には警察と同じ権限が与えられるらしい。よって一般人の俺とシオウとテルネアスは一時的に公正試合実行委員会のメンバーにならないと捜査も逮捕権もないからなそして俺はしずくから仮の認証バッチを貰う。「全てが終わったら返して下さいよ」としずくに釘を刺された。
そして俺たちは黒幕のいると思われる違法武器工場に潜入捜査を仕掛けるのであった。
12-2「簡単に辿り着けたらそれはどう考えても罠と考えたほうがいいだろう」
時間は夜7時5分……ある工場と思わしき場所だ……しかしひっそりとしてパッと見工場には見えない……どうもここは車を作っていた廃工場のようだったらしいが……今でも動いてるようには見えない……何もないではないか……しかしテルネアスはあるものを発見する、地下への入り口だ。
まさかこんな端っこのほうにあるなんてしかも壁のある一か所を押さないと現れない仕組みだった。典型的な隠し扉だった。
そして地下に降りてみると迷路のように入り組んだ通路があった。カメラは可視できない。
よって監視の目は無いのか?しかし5分ぐらい歩いたらあの時と同じぐらいの危機感に襲われた……ガードロボだ……ただ今回のは前回のと違い攻撃タイプには見えない巡回用のロボットに見える。こっちににはまだ気が付いていない……十字路の左から右に行こうとしているヤバい隠れないといけないとっさに俺たちは死角に隠れた。するとなんとかやり過ごしたそして迷路のような道をさらに進んでいくと……ある扉の前に来たとても大きい扉だった縦15メートル横2メートルはするであろう巨大な扉があったそこを通りたかったが開かない。そこでしずくがブラッドソード(大)を出す。でかいなそれそして真っ二つに切り裂いた。お前はどこの五右衛門だと言いたくなるが。しずくもノリノリで「つまらないものを斬っちゃったな~なんて」やはりしずくは凄い能力者だと再確認したそして扉を壊した先の通路が二つに分かれていた。ここでテルネアスが凄いスピードで全力疾走……何やってんのテルネアスーーー!!俺の耳元でテルネアスは行く前に囁く。
「探してくる……囚われの姫を…………」
ああ科学者の彼女のことか……しかし姫って……テルネアスってロマンチストなのかなと俺は思いました。
しずくとシオウは驚いていたがもうこっちの道に行くしかないですねとしずくは直ぐに持ち直す。シオウは「大丈夫なんかテルネアスは……」と心配してた。俺はテルネアスならなんとか自分で切り抜けられそうだと思っていた。そんなよくわからない自信に溢れていた。テルネアスはここに来る前に愛用の二丁拳銃(改造)を持ってた能力ファイト用に改造した銀玉鉄砲らしいと火薬ではなくバネを利用しているとかなんとか……これで敵を倒しまくると意気込んでいた。テルネアスはこの潜入捜査の前に「ちなみに……私は結構強いよ…………」と自慢してた。本当のように思ったというか信じるしかない。
そしてついにバレタのかガードロボが沢山ミニサイズの戦闘用と思われるロボットが10体ぐらい後ろから追いかけてくる。このままでは追いつかれる……するとシオウがここは俺にまかせろ!とガードロボの前に立ちふさがる。「さあ行け!タケオ!しずく!ここは俺にまかせてくれ……頼む!」
俺としずくはシオウが飛ぶデコピンを放つ間にダッシュでその場を後にした。
そしてついに最後の扉?らしきとこに来たが、普通に開けることが出来た鍵も掛かってない。そして奥には一人の男が座っている……そして聞いてもいないのに自己紹介をしてきた。
「おめでとう……よくここに俺がいるとわかったな……どうせ京太郎が喋ったんだろうが……俺の名前は和正太人だ……一応脱法武器作ってる張本人だ……どうだ?それで俺を捕まえに来たんだろ……うれしいなやっと足を洗えるから……こんな商売もう懲り懲りだからな……」
「何が言いたい……んだ?お前は自首する気があるのか?ほんとに?」
しずくも答える。
「私もこいつが何を言っているのか意味がよく分かりません……抵抗しないとみてよろしいのですか?」
すると和正は答える。豹変したように
「嘘に決まってるだろ……くくくっ……お前らなんか俺のこの秘策のU武器さえあれば
いちころなんだよ……だ・か・ら……消えろ」
「さあ、動き出せ!キャラカルクラッチ・レボリューション!!」
そしてU武器「キャラカルクラッチ・レボリューション」が始動する。
U武器という見た目に反しそれは完全自立型のロボット兵器にしか見えなかった。
安全性など無視したそれはファイターの意向を完全に無視したものであると感じさせられるものであると感じた。右腕はロボロボしていて三本の鉤爪を装備しているのに対し、左腕は人間の手と同じ五本指を搭載したハンドを搭載してる。足は蜘蛛のように八本もあり、多脚だ。顔は完全に右のほうは普通のロボの表情で右目は丸いガラス?のレンズにして、左はピエロのような笑みをしている不気味なロボットだ。しかも全体的にスマートな作りで体長も二メートルぐらいしかないそれほど巨大なロボットではないのである。
俺たちはまず、というか俺より先にしずくが動いた。しずくは予めブラッドソード(中)を作り出しておいてそのロボットに斬りかかりに行っていた。しかし無情にもその攻撃は通らない。血の剣は砕け散ったのだ。しずくは落胆の表情を一瞬見せるがすぐさままた同じブラッドソードを作り出して一気に斬りかかる。
「もう一度これなら!さっきよりも固いわよ!!……喰らいなさい!!」
U武器のロボットこれからは通称キャラカルロボと言おうは左腕でガードした。
すると今度は剣は砕かれなかったが血の剣が受け止められたすぐさましずくは自身の血液の武器化を解く。そして今度は鉈のようなものを作り出していちいち叫ぶのである。
「ブラッド・ハチェット!!(血の鉈)」
そして今度は重くて威力ある一撃を左腕に一気に畳み掛ける。
血で作り出された鉈はとても強大な力を誇った。キャラカルロボは自立型のようであり、咄嗟に後ろに回避行動をとった。これにより左腕の五本指の小指だけを斬り落とすことに止まった。
和正はここでまた喋り出す。
「やるねえ~君の能力はなかなかなもんだね、どうだい?無理とわかってて承知で聞くけど俺の仲間にならないかね?給料は弾むぞ。」
「もちろん……お断りします!!」
そういって本体である和正に斬りかかるしずく。
その時のしずくは心底怖く見えた。眼を真っ赤に血走らせて血液が沸騰しているかのようだった。たぶんプライドを刺激させられて怒ったのだろう。
しかし和正は避けない。このままではしずくの攻撃をまともに喰らってしまう。
和正は余裕の表情で受け止めた。否、不可視の防御壁が存在したのである。
和正は余裕の表情で説明する。
「これが俺が開発した新システム……いや旧システムといってもいい対物理衝撃波吸収バリアだこれもUランクのアイテムだ。展開すると自身の半径五十センチメートルに不可視の対物理衝撃波吸収バリアが展開される。これによりどんな攻撃も大抵は防いでくれるわけだ、残念だったな」
「まさかそんなものまで作れるなんて……あなたはもしかして超能力科学研究所ノーズの元科学者なの!?」
しずくは当然の疑問を質問する。敵である和正太人に。聞きなれないことを言う、超能力科学研究所ノーズ?そんなものがあるのか、俺は和正の返答に注意して聞くことにした。
「ほお……よく俺がそこの元研究員だとわかったな……白状すると首になったから憂さ晴らしもあるんだよ。俺がこの世界の王に君臨するために犠牲になって貰うか……」
完全に頭がいかれてやがる……この元研究員の和正はしかもなんかどっかでこいつの名前を聞いたこと有るような……たしか、ええと……こいつ確かアイスサイコネスカンパニーの副社長じゃなかったか?俺の会社の取引先にあったから知ってたがたしかそうだったはず……俺はそのことを聞いてみると……なんだそんなことかという顔をされた。
「アイスサイコネスカンパニーの副社長ね……そんなのヘッドハンティングされたからとしか言えないね……しかも俺の好きなことはやらしてもらえなかった。ひたすら、大量生産品の武器アイテムの設計をさせられたよ……つまらなかったよ……だからこんなことしてしまったのかもしれない……」
アイスサイコネスカンパニーは武器アイテム製造メーカーの一つだ新製品を日夜作り出して世に出している。たしか他にも武器アイテム制作会社は三つありフレイムエスパーナノカンパニーと風桐異能武器研究所とサンダーグレネードカンパニーの大手四つが主流だ。
俺の持っている武器アイテムノーライガスの爪はメーカ名は新製品研究所とだけ書いていた。どうやらマイナーなメーカーらしい。
そしてそんな使うかわからない設定会社を出している間にキャラカルロボは俺たちに向かって蜘蛛のように動いて突っ込んできた。右の三本の鉤爪を俺たちに振り上げる。
俺は回避に成功する。しずくは少し遅れたがすぐさま傷を修復している。しずくは血液を操る能力者なので止血も容易く行えるとここに来る前の作戦会議の時に言ってたことだ。だからシオウの怪我を早くに直していたのだ。完璧では無いらしいが……
そして来る……今度は胸に搭載された針のように細い鋭利な腕が現れる。指は十本はある。これで串刺しにしてこようとする。
その刹那……おれは最悪なミスを起こした。回避行動を起こそうとして回避しようとする瞬間転んだのだ……足元のロボの攻撃によって破壊された瓦礫に躓いてしまったのである。
俺は終わったと思った。この瞬間の時間の流れがゆっくりと流れる感覚だ。このまま俺の人生はここで終わるのかと思われた。
しずくが俺の前に立ち、身代わりとなってくれた
しずくは傷を自身の力で直そうとするが止血しても止血しても血が流れていく……俺のせいでしずくが死ぬ……?しずくは十本の鋭利な針の手に串刺しにされていた。しかも鳳凰丸戦の大火傷がまだ完治していないのが最悪な状況に勢いを増した。
「大丈夫だから……私が死ぬなんて思わないで……私は意外としぶといよタケオ……」
血液の流出が止まらない。どうしようこのままでは……しずくが死ヌ?
ドクンッ……ドクンッ……ドクンッ……
まただこの感覚は俺が俺でなくなるその瞬間がくる俺のために瀕死の重傷を負ったしずくを助けたい!いつもとは違う慈愛なる感情が湧き出ている。
俺達ははこの時光に包まれた――
12-3「謎の光に包まれた先にある未来」
――今までにない感じだ……これはなんだ……しずくの怪我が治っていく?
そして俺の体全体からX線状の光が帯びている。そして俺の体が禍々しいオーラのある右腕と光り輝くオーラを宿した左腕がそこには存在した。
まるで闇と光が融合したかのような力を感じる。力が溢れている……
この状態なんて言うんだろうな……俺は少し考えた。
よし、この状態の名前を【エクス・リバース】と名付けよう。
なんとも捻りのない名前であるとこのときの自分は思っていたが。
やはり名前がないとと思い名付けてみた……俺はいつも以上の自身に満ちていた。
しずくは後ろの壁に置いている。傷が治ってもあまりの痛みに気絶してしまったのだろう。俺がこいつを破壊する。
いくぞ
【アクレイロス・セイギガウス・ルマカハドン・ニヒャクジュウケン】(交差する闇と光の境界線からの二百回の重攻撃)――
――目の前にあった機械は塵と化した。粉となってしまった。俺はたった二百回攻撃しただけである。その動きは十秒もかかったが一秒二十回と考えると想像できない。手は勝手に動いたといってもいい。俺はその時眼を瞑っていたのでわからないが頭に情報が入っていた。二百回の禍々しい右手の巨大魔手と輝いている左手の巨大聖手が自動で動いてくれた。なお右手百十一回左手八十九回らしい。頭に攻撃後の数字浮かび上がっていた。
なおまだ俺はXの光に包まれていた。
和正はあわわと言った顔で青ざめている。
俺は近づく右手と左手は相変わらず禍々しいオーラと輝きのオーラに守られているし、体全体も闇と光のオーラを放っているのかなと?思うほど普通ではない状態であった。
「くっそ……が……こんな奴に俺は殺されるのか……はははいい人生を送れなかったぜ」
「お前……何か勘違いしてないか?俺はお前を殺す気はないからな……そんなことしたら犯罪者になるからしないだけだ」
「……ふっはははははは……お前は俺を許せるのか?最近起きていた凶悪事件の犯人はU武器を使って行っていたんだぞ?俺がその変のやつに高値で売りつけたんだよ……どうだ憎いだろ俺が……殺せ!!」
どうやらこいつは全てが終わったので死にたいみたいだならば引導を渡してやるカ……
まて!俺はそんなつもりはないぞ……クソッまたこれか……自分の意思とは関係なく人を殺めようとするのか……
俺の右手の禍々しいオーラが巨大化していく……そしてXの光は闇に包まれていく。闇の重圧が俺の体に押しつぶされそうになる。力が入らないが右手が可笑しいのだ。より魔獣のそれと化していく……そして左手の輝きがどんどん薄まっていく……
このままでは……俺は本当に化け物になってしまう……どうすればいいのか。
タケオは右手から禍々しいオーラが体全体に広がっていった。異形なる魔獣のような姿に黒い影が覆っている、まるで闇のオーラに包まれているタケオがそこにいた。
しかしここで思わぬ助けが入る、しずくが目を覚ましたのである。そしてゆっくり近づいて、しずくも光り輝いていた状態になっていたのである。Xの光はしずくを包み込んでいた。そしてしずくは暴走したタケオを止めるべく、頭のネジを一本意図的に外した。
【血の抜けた機械の様な自動人形】(アネミック・モンスターマシンドール)を発動させた。
眼はいつもの血走ったものではなく生気が無いものに変化した。
これは自身の体を機械のように自動化状態にして、全てのあらゆる可能性を考慮して動きとするものである。これによりとても効率の良い動きを行える。タケオが魔獣の右手で攻撃を行ってきたが、それを簡単にあしらう。そして右後ろ回し蹴りを喰らわす。そして効率化されたその動きは達人のそれを超えており、美知のお爺さん心条さんに匹敵する動きを見せていた。しかも血の抜けたと技名には添えられてはいるが、実際は血の抜けた状態とは逆の状態であるのが実際のしずくの状態だ。血液の循環が常人の倍以上となっており常に火事場の馬鹿力を出している状態になっているのだ。よって自身の体にダメージこそあるもののタケオの化け物のような状態を食い止めるのは意外と余裕であった。
そしてこの猛攻は一時間も続いた。そして――
――「さあ、タケオさん正気を取り戻して下さい!いきますよ、【ブラッド・ドレイン・アロー】(吸血の弓矢)」
放たれた吸血の弓矢は血で作られたものであったが確かにタケオを捕えていた。
そして刺さるタケオの体に。タケオの生命エネルギーが吸い取られていくのである。
そしてタケオはゆっくりとその場で倒れた。
タケオの体から放出されていたXの形の闇の波動もこの時に収まった。
それと同時にしずくもXの形に形成された光の帯を解除する。
タケオと同じものであるであろうその力を……
大火傷はまだ残っていたが刺し傷は完全に綺麗さっぱりなくなっていた。
そしてしずくは警察を呼んだのである。
ただそこにいたはずの今回の事件の容疑者である和正太人の姿はどこかに消えていたのは気づくのはすぐ後のことである――
――「はあ、はあ、やっとあの化け物集団から逃げてこれたぞ……今回は失敗したが、こんどこそ新しいU武器決戦兵器を完成させてやるからな~あんな奴らは無視して逃げろ逃げろとな」
和正太人は必死に秘密の地下通路から逃げていた地上のある場所に繋がっている秘密の迷宮路を逃亡中であった。
しかしそこには意外な客人が現れた。
「逃がさない……」
放たれた鉄球は直径二センチメートルほどであったが威力は意外とあった。
そして和正太人のこめかみに命中した。
「あふん!」
一発で気絶した。その鉄球は特製バネ式拳銃から放たれた。
持ち主はあのテルネアスである。
人質救出に尽力を尽くしていたところ偶然怪しい人物を発見したので発砲したのである。
結果的に成功であった。なお人質ではなかったもよう……
「にゃあ~」
「うふふ、あなたも嬉しいの……じゃあ帰ろうねあなたのご主人の元に……」――
――事件は解決した違法武器であるU武器を作っていた和正太人は逮捕された。
そしてしずくは何があったかまつり先輩に色々聞かれたので仕方なくこっそりまつり先輩だけに事の本末を教えた。
タケオの覚醒のことを念入りと説明する、それを聞くとにっこりと笑顔になり「わかりました、そのことはしずくに任します。あなたが教えてくださいねあの状態になれる人同士仲良くしなさい」と丁重に頼みますよと言いたげな目でしずくを見ながら言った。
しずくは「はい、わかりました……まつり先輩が言うならそうします……」と素直に返答する。
タケオは意外と平気であった……自分の体に起きたことを覚えているのにだ……そしていつも通りに会社に行っていた。
美知の爺さんともいつも通りに会社帰りに修行を開始する。
これが俺の日常なんだなと戻ってきたなと感じ取れるのが俺の今までにない実情だ。
脅されていた科学者心石京太郎はどうなったって?どうやら重い罰は免れたが罰として公正試合実行委員会の雑用係に任命一年間ほぼ食事代だけしか出ない実質ボランティア研究員としての雇用が決定した。これからはしずくやまつりや電工達のために武器アイテムや能力アイテムを作ってもらうことになった。
本人は愛猫のシュレンが帰ってきて泣いて喜んでいた。まさか和正太人も猫を人質ならず猫質にするとは……科学者の考えていることはわからないな。
俺はいつも通りの日常を過ごしている……いつまで続くのか分からない日常が続く。
なお能力ファイト禁止期間は約三週間も残っている。
俺のいつもの日常はまだまだ先になりそうだ……




