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六話 ドM

「街、か」


 目に飛び込んで来たのは、全体的に石造りが印象的は場所だった。

 シャインティアと出会った場所より、物騒な格好をした人が多い気がする。

 例えば、大きな剣や、弓、短剣を二つ持った奴とかがうろちょろ居る。

 なるほど。ここがギルドの近くの場所か。

 なら話は早い。


「すいません。ギルドに登録しに行きたいんですけど、ギルドの場所分かりますか?」


 そこら辺を歩いてるなるべく美人な人にギルドを尋ねるのみだ。

 街中だし、変な生物に襲われる心配もないだろう。


「あぁ……私は今から教会に行くのだけれど、その後でよかったら案内しますよ?」


 にこやかな顔でこちらに振り向く。


「……女神様に直してもらえればいいですね、その顔」


 ゴッチゴチのゴリラだった。本当に引くわ。

 俺はゴリラに現実を吐き捨てて、逃げた。


「……?なんのことかしら」


 呟きが微かに聞こえたんだけど、自分の顔面戦闘力を理解してないが恐ろしくてならなかった。

 よし、次はあの人にしよう。

 さっきの経験も踏まえて、顔も確認してきた。


「すいません。少し時間はありますか?」


「教会に行く予定があって、その後でなら大丈夫だが?」


 青い髪が風に靡く。振り向いたその顔は微笑が浮かんでいて、端正な顔立ちに見合った細身のスタイルだった。携えている短刀も高そう。


「あ……はい。お供させていただきます」


「わかった。そこの教会なんだけど」


 そう言って、彼女は白い大きな建物を指し示す。教会の概念は大差ないようで少し安心する。


「あれですか。ちなみに、どんな神様を信仰で?」


「え、知らないのか?この辺の宗教は エール教 で有名なんだが……」


 意外そうな顔で答えてくれるが、墓穴を掘った事に違いはない。なんせ、異世界出身なんて事、バレて損はあっても得はないのだから。


「いえ、自分は田舎者なもんで」


「ふむ……まあ、細かい事はいいさ、早く巡礼を済ませて君の用件を聞こう」


 顎に手を当てて、思考する素振りを見せたが、彼女は詮索をすることもなく、教会へと入っていった。


「エール教て……ロリ神様じゃねえか!」


 ……こんな近くに居るんだったら、もうちょっとオーバーステータスにして欲しかったな。




「それで、何の用だったんだ?」


 巡礼を済ませたらしい。彼女はそう問うてきた。それにしても……。


「凄い汗ですね、何してたんですか」


 まるで激しい運動をしたかのように汗だくだ。


「……まあ、舞踊……だな」


 苦い顔をして言葉を濁すが、バレバレなので詮索してみよう。


「どんな?」


「うっ……激しい、かな」


「踊り、見せて欲しいなあ」


 少し口調を砕けさせ、懇願の姿勢をとると、彼女は頬を赤らめる。

 ……なんで?


「こ、こんな所で、あのダンスを……!し、仕方ない、やってやろう……」


 尻すぼみになりながら、頬を真っ赤にして呟いている。この人の性格がだいたいわかった。ドMだ。


「あ、やっぱりいいです」


「ええっ!?……くぅ……!そうか、これも一種のプ」


 ブツブツ言ってるけど、無視しておこう。


「どうでもいいんですけど、ギルドの場所って分かりますか?」


「え、ああ。私も今から向かう所だったんだ。なにせ、今日が試験日なのでな。正規会員になるために今まで努力してきたんだ、今回こそ受かってやる!」


 試験があるらしい。本当に面倒臭いが、貰えるものは貰っておこう主義の俺的には捨てられないイベントだ。


「あ、じゃあ都合がいいですね、ついて行かせてもらっても大丈夫ですか?」


「構わんぞ。そういえば自己紹介がまだだったな。私は ライニス・ラモナード だ、改めてよろしく頼む」


「ユウガ・アキミヤです。よろしくお願いします」


 俺は許可を得て、ライニスさんの後をついて行った。



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