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第91話 部活探し

友達ができ、以前と比べて不機嫌な顔をあまりしなくなった雨音お嬢様。問題となっていた滝上家との縁談も解決して順風満帆な日々を過ごしている。

それもこれも全部、俺のおかげだ。俺すげーよね。ここ最近の活躍はもっと称賛されるべきだ。昇給という形あるもので評価してほしい。


そんな陽登きゅんには休息が必要だ。給料が上がらないのならせめて休みをくれ。

だがしかし、目の前の人はそれを安易に許してはくれない。


「陽登君に新しいお仕事を言いますねー」


さらには仕事を言い渡そうとする始末。凛とした端麗な顔と塗り固められた微笑みには見慣れてきたどころか見飽きてきたすらある。内容を言われる前から俺は溜め息が止まりません。


「お嬢様にも遂に友達ができました。とても喜ばしいことです」


「そーですね」


「せっかくなので部活にも入ってもらおうかなと思いました」


「そーで、部活ぅ?」


口が歪み、細目になり、眉間にシワが寄る。俺の顔面のパーツ達よ、さすがだ。部活という単語を聞いただけでこの拒否反応。


「部活と聞いただけですごい反応をしましたね」


そりゃしますよ。部活だなんてクソみたいな言葉だからね。

説明しよう、部活とは青春の園である。スポーツに打ち込み、仲間と絆を深めて友情を育む。汗と涙の結晶。あとは、あー……説明めんどい。要するに青春ってことだよ。俺には眩しくて失明するレベルだ。部活ぅ? 消えろ!


「まさかお嬢様に部活をしてほしいと?」


「そうです。多感な高校時代を無駄にしているお嬢様です、何かやってほしいんですよー」


「……だから俺は同行して部活選びを手伝えと」


「陽登は勘が良いですね~」


はいはい仕事内容が見えてきましたねファーック!

ファック、ファックだよファック&ファック。もうね、何度もファック言ってきたけど今回はマジでファックだ。今年度ベストファック賞!


「んなもん入る必要ねーですよ」


部活とかクソ食らえだ。例えば野球部。一年生は雑用ばかりで練習は素振りやノック練、ベーランばかり。辛い練習の日々で公式試合に出られるとは限らず、それでも一致団結して甲子園行こうとか夢ほざいて一回戦敗退、そこから「もっとお前らと野球したかった……!」と涙を流す。

はーい、ファックですね。暑苦しい。


他にも文芸部やインドア系部活。特に厳しくないけど一応目標を決めて皆で楽しくやろうと謎の連帯感を出し、陰キャのくせして無駄にはしゃいで最後は「この三年間楽しかったよ」っていかにも充実していたと曖昧な呟きを漏らして感傷に浸る。

これもファックでーす。マイナーな部活だけど僕らは楽しんでいるよ的なアピールすんな。


「随分と部活に嫌悪感を持っているようですね」


「あれま、今の声に出てましたか?」


メイドさんは縦に首を振る。その顔は何とも言えない、哀愁に似たものだった。なんですかその、こいつもホント人間終わってんなーといった表情は。余計なお世話ですよ。

メイドさんは一つ咳払いすると綺麗な瞳でまっすぐ見つめてくる。では引き受けてくれますね、と告げていた。こうなっては俺に拒否権はない。抵抗したところで母さんの名を出されて結局は従わされる。


何度もツイートしてきたけどさ、天水家はクソだわ。ブラック企業と遜色ない鬼畜っぷりなのでは?

現に俺が盛大なため息を吐いて顔をしかめてもメイドさんはニコニコ笑うだけ。笑顔とは良い響きだが、向かい合う俺からすれば何をも寄せつけない鉄壁だ。


「陽登君を信頼しているからですよー」


「……尽力の限りやります」


ここ最近の俺は頑張り過ぎだ。さすが俺、マジすげーよ……。

本気で鈍器の購入を考えながらメイドさんに一礼して部屋を後にした。


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