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第8話 一日目・アホでクズな転校生

「それでは今日はこれで終わりです。委員長、号令お願いします」


……あ゛ー、やっと終わった。

一年以上ぶりの学校生活、記念すべき反吐が出る高校生一日目だったわけだが、もう最悪だ。

当然である。勉強と学校が嫌でニートになった俺がそう簡単に高校生活に馴染めるわけがなかった。

あまりの辛さに脳はノイローゼ状態。長時間を机に拘束されて全身も拒絶反応が出まくり。見てごらん、肌が荒れてきたよ。洗顔ネットをください。それと休みを五十年くらいください。

……この苦痛が三年間続くのか。はは……夢なら覚めてくれマジで。


「う゛、う゛おぇぇー」


「や、やっぱあの転校生、頭おかしいよ……」


周りがうるさい。奇人を見る目をしやがって。

仕方ないだろ。久しぶりの学校なんだから嗚咽の一つくらい出るさ。嗚咽が出ちゃう、元ニートだもん。


辛いなぁ。キツイなぁ。

はぁ……受け入れるしかないのね。

俺のニート生活は本当に終焉を迎えたんだ……俺はもうニートではなく、元ニートなんだ。


「さ、帰るか」


嘆くのはやめてさっさと帰るべ。

行きは車だった。となれば帰りも車だろう。つーか帰りだけ歩きとか意味分からん。

てことで雨音お嬢様の元へ向かう。


「お嬢様、帰りましょー」


「……」


うわ、睨んできたよこいつ。

昼休みからお嬢様のすこぶる機嫌が悪い。やっちまったな~、芋助。

そりゃ赤ちゃん言葉で告白されたら鳥肌立つくらいキモイだろうけども、あーやだやだこれだから女はキメェ。


「いつまで怒っているんすか。こっちまで気分が悪くなるんでやめてください」


ざわっ。

まだ教室に残っていたクラスメイト達が一斉に黙り、息を飲んだ音が重なった。

お嬢様のせいで淀んでいた空気がさらに冷えて重苦しくなった気がする。


「い、今あいつ……」


「嘘だろ。空気読めないのか……?」


「ひ、土方超える馬鹿が現れた」


小声で何やらヒソヒソ喋っている。

もしかして俺のこと? ったく、本人がいる中で陰口とは感じの悪いクラスだな。こんなクラスは学級崩壊してしまえ。そして俺のニート暮らしに貢献しろ。


「……」


「どうしたんだよ早く帰ろうぜ。お嬢様が帰宅部なのはジジイの朝の献立より容易に想像つく」


「……ジジイは朝何食べるのよ」


「玄米と味噌と少しの野菜じゃね?」


「全国のお爺ちゃんと宮沢賢治に謝りなさい」


そう言った後、溜め息を吐いてお嬢様は席を立つ。手に持った鞄を俺へ突きつけながら。

帰りも持て、と。はいはい。


「はぁ、もう嫌だ。なんでこんな馬鹿が新しい使用人なのよ」


「元気出そうぜお嬢様。今日の晩飯はエビフライ、だったら良いのになぁ」


「願望かよ」


「あぁ、玄米」


「げんなりみたいに言うな!」


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