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第3話 最初の一週間 一日目・最初のお仕事

朝起きると早速仕事を頼まれた。俺がこの家でする最初の仕事だ。

掃除とかだったらテキトーに手を抜いてやったのだが、どうやらそういった類の雑務ではない。

だが、面倒くさい。死ぬほどメンドイ。


「あ゛~クソが」


執事服に着替え、とある部屋の前に立つ。

扉に掛けられた可愛らしい猫さんの形をしたネームプレート。そこには丸っこい水色の文字で『あまねのへや』と書かれていた。


最初の仕事、あのクソ女を起こすこと。


「失礼しまーす。雨音お嬢様、起こしに来ました」


コンコンと二度ドアを叩く。が、反応は帰ってこない。

さっきメイドさんから話は聞いたけど……マジなのか。


「雨音お嬢様、朝です。早くしないと学校に遅れますよ」


先程より強めにノックする。が、部屋の中から返事が返ってこない。

……全然起きねぇ。

屋敷に勤めるメイドさん曰く、あのクソ女は朝に弱いらしい。寝起きが悪く、起こすのは困難を極めるそうだ。

そんな仕事を新人の俺に任せる辺り、いかにメイドさんが起こすことにうんざりしているか分かる。そして俺はもううんざりしている。


「おい起きろカス、いい加減にしないと部屋の中に入るぞ」


それでも返事はなく、シーンと無音の時間が続く。

上等だよ、だったら遠慮なく部屋の中に入ってやる。俺が部屋の中に入る勇気がないと思うな。遠慮や躊躇なんて全然しねえよ。


ドアを開ける。そこは大きな部屋、天井と薄いカーテンが付けられた大きなベッド。

なんだこれは、マジでお嬢様の部屋って感じだな。


「お、いた」


呆気に取られている場合じゃない。ベッドの傍まで近づけば聞こえてくる小さな寝息。


……ベッドには天使がいた。

不覚にも、その寝顔にドキッとしてしまった。


なんだこいつ、本当にあの生意気な雨音お嬢様か?

枕に頭を沈め、毛布に包まれ、安らかな寝息と目を閉じた姿は正直可愛かった。

ん、まぁ、性格はブスでも顔は良いのは認めるよ。それだけな。性格は最低最悪だからな。


「お嬢様、朝です」


ここまで接近しても起きない。肩を揺らしてみる。やはり起きる気配が全くない。


「おいっ、さすがに起きろよ。お前の嫌いな男が部屋に入っているんだぞ。分かってんのか?」


だが起きない。はぁ!?

思いきり肩を揺らしても目を開こうとしない。微かに「ぅ~ん」と鳴き声を出すだけ。

ほ、ほーん? やるじゃねぇか。ここまですごいとは。

こりゃメイドさんの言っていた通りだ。起こすのは簡単にはいかないか。


だが引くわけにはいかない。初仕事を成功させたい気持ちがあるし、何より早くこいつ起こして俺がゆっくりしたい。これに尽きる。

朝はのんびりしたいんだよ。いつまでもこいつに時間を取られてたまるか。何が何でも起こしてやる。


「おい! マジで! 起きろ!」


上体を起こさせて大きく前後に揺する。……目を開けてくれない。ある意味すげーよ、才能だわ。

じゃあ次は、


「オラァ!」


思いきり振りかぶって奴の頬をビンタ。


……しようと思ったけど、さすがに女の顔をビンタするのはマズイよな。うんそれくらいは分かる。いくら俺がクズでもやっちゃいけないことくらい分かるよ。


さて、一体どうすれば起きるんだ?


あ……そうだなー。


「お嬢様ー、起きないと色々大変な目に遭わせますよー」


耳元で囁いてみるが反応なし。

あーあ、これは仕方ないね。俺ちゃんと忠告したもん。起きなかったこいつが悪い。


いやさ、性格ブスでも顔は可愛い女の子が目の前で寝ているわけじゃん?

これって……チャンスだと思うんだわ。


つまりさ、ちょっとくらい手を出してもいいと思う。うん。


「それじゃ失礼しますねー」


大体メイドさんも悪いよ。男の俺に起こしに行かせるって駄目だろ。てことで俺は悪くない。手を出してしまうのは思春期のせいだー。


今から俺が何をするか。

胸を揉みしだく。そりゃもうモミモミだ。揉んで揉みまくってやる。

見た目は良し。性格の悪さは寝ている今なら無問題。なんという好条件だ。エロ漫画なら『お嬢様』『睡眠』『寝込み』といったタグがつけられる。


昨日顔を合わせたばかり。仮にも主人と使用人の関係。

だから何? 知りませーん。てことで毛布を剥ぎまーすっ。


「さあ早速いきま……ん……んん……!?」


毛布を剥ぎ、ではモミモミタイム。

躊躇わず実行する気満々だった俺は硬直してしまった。

なぜなら、お嬢様は……巨乳だった。


え……で、デカイ。これかなりデカイぞ。最近の女子高生ってこんなに大きいの? 俺が田舎でニートしてた間に高度経済成長よろしくバストの全国平均サイズが大幅に上がった? いや、違う。

こいつがデカイんだ。こいつがすごいんだ。

顔だけではなく胸も素晴らしいものをお持ちだったお嬢様。豊かな双丘が寝息の度に上下する。うーわ、すげぇってこれ。アニメの女子高生かよ。

これ程の大物を揉めるとは思ってもいなかった。棚からぼた餅だ。餅のように柔らかいのだろうか。グヘヘ。


「すー……すー……」


そんでまだ寝ている。

ではいきましょうか。グヘヘ。グヘヘへ。


手を伸ばし、掴む。スマホを。


まずは撮影だ!


「あー、いいよいいよー。すっごく良いよ。その角度イイネ~」


カメラマンみたく連写しまくり、お嬢様の巨乳を撮っていく。真上から、真横から、アングルを変えて撮る。パシャパシャと。それだけで涎がドバドバと。


「ふーっ、使用人最高っ」


およそ百枚近くを撮り終えて俺は息をつく。何この山を登ったかの如く高揚感は。俺の股間の山も大きく、おっと下ネタ出ちゃった。


ではいよいよ、メインディッシュだ。

片手を開き、お嬢様の美しいお胸に近づけていく。や、ヤベェ、興奮MAXだ。

パジャマのボタンを外そう。そんで解放された生乳をこの目に焼きつけて撮影して、そして思う存分に揉みまくってや……。


「んー……んっ…………火村……?」


お嬢様と目が合う。というか、お嬢様が目を開いた。

涙で潤んだ瞳が俺の方を見て、弱々しく俺の名前を呼ぶ。


そんな俺は片手にスマホ、もう片方の手はお嬢様のおっぱいに触れる数ミリ手前。


…………あ、ヤベェ。


「ぇ……な、な、ななな何を……!?」


「……お嬢様、おはようございます」


ニッコリと微笑み、朝の挨拶を述べる。


「きゃあああぁ!?」


そんな俺は思いきりビンタされて吹っ飛ばされた。

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