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第20話 三日目・お屋敷に帰宅

休憩した後も一時間程ウィンドウショッピングに付き合わされてお屋敷に帰ったのは九時になった。


「ご苦労、黒山」


俺がドアを開けてお嬢様が降りる。

俺はその後について行かず、運転席の方に回って運転手さんの元へ。窓が少し開いてそこから飴とチョコレートが出てきたので受け取る。


「お、勝ったんですね~」


「へへ、牙狼スペ爆当たりでした」


「今度俺も連れて行ってください」


運転手の黒山さんは嬉しそうに微笑むと一礼して車を走らせる。

俺は車が車庫に入るのを見届けてからお嬢様の後を追う。


「早く来なさいよ」


「すんませんでしたー」


お嬢様がインターホンを押して玄関上の監視カメラがウィンウィン動く。今にもレーザービームを放ちそうだ。遠い昔、遥か彼方の銀河系での戦いに登場するやつね。


と、ドアが開く。


「お帰りなさいませ。雨音お嬢様、陽登君」


メイドさんが頭を下げて迎えてくれた。さすが本物のメイドさん、きちっとしている。

この人三つ編みしてくれねーかなー、たぶん似合うと思う。個人的に三つ編みを掴んで乱暴したい願望があるので。ムスカみたいに「これはこれは、王女様ではないか」とか言ってさ。


「寄り道されたのは運転手から聞いております。ですがあまり遅くならないでくださいね」


「んー」


至極まともな注意をするメイドさんに対してお嬢様は曖昧な返事をする。

それはイエスかそれともノーなのか?

テキトーな返しをした後にお嬢様はハンカチの入った袋を持って自分の部屋へと歩いていく。


「ちゃんと手洗いしてくださいねー」


「んー」


あいつ本当に聞いてるのかよ。

けどメイドさんはいつものことだ、と言った顔をして今度は俺の方を向く。


「陽登君もお疲れ様でした。昨日は帰ってこなくてビックリしましたー」


「俺も置いてかれてビックリしました」


「昨日はどこへ?」


「お屋敷への帰り方も分からなかったのでクラスメイトの家に泊まりました」


そうでしたか、と言ってメイドさんは両手を差し出す。

……ん? 綺麗で白い指ですね。爪も綺麗に手入れされていてピカピカしてる。

意味が分からないのでとりあえず握手してみた。女の人と手を握るなんて久方ぶりだ興奮しちゃうグヘヘ。


「陽登君? お嬢様の鞄を渡してもらえますー?」


ニコッと笑うメイドさん。

あぁ、そういうことね。


「どうぞ。てっきりメイドさんは握手がしたいのかと」


「次やったら犬小屋ですからねー」


この程度で!? いやいや少し間違えただけですやん。

このお屋敷、ちょっとしたミスでペナルティがキツ過ぎるよ。お嬢様を襲ったのはちょっとではないけど。


「シェフは帰られました。今から料理を温めるので少々お待ちください」


「俺今日はステーキの気分ですね」


「陽登君も手洗い忘れないでくださいねー。私も今から手を洗ってきますー」


「それはあれですか俺と握手したからですかだとしたら傷つくんですけど」


「牛乳石鹸最高~」


スタスタと歩いていくメイドさん。

無視&無視。一日ぶりなんだからもう少し喋りましょうよ。次は「俺は母乳石鹸の方が好きです」って返すつもりだったのに。

ま、とりあえずは一応俺の家? 帰るところに帰って来れて良かった。住みついてまだ数日だけどね。

関係ないけど、いつか帰るところってフレーズ良いよな。あの名作を思い出す。

ちなみに俺のいつか帰るところは田舎の祖父母の家だ。またあそこでのんびり過ごしたい。


二階へと上がりクソ長い廊下を進んで一番端の物置部屋の扉を開く。

そこが俺の部屋だから。酷い。次やらかしたら犬小屋ってのも酷い。わしゃ犬か、なんでやねん。なんてね。


「あぁ、やっぱ自分のベッドが一番だわ」


鞄を放り投げて制服のまま自身もベッドに倒れこむ。

飯の準備が出来たらメイドさんが呼びに来てくれるだろう。それまで寝る。

目を閉じれば簡単に睡魔はやって来た。

今日も疲れました。おやすみなさい。ぐかー。

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