第125話 オイルマッサージ
透き通るスカイブルーの海、目を瞑ってしまう程に眩しい砂浜、パラソルの下で白いテーブルに置かれたハワイアンなジュースをくるくる巻のストローで飲む。
素晴らしい。最高ですよ海。しかもただの海水浴場ではない。ここ重要。いいか、すごいこと言うから心して聞くがいい。
ここは……天水家のプライベートビーチだ。
「財力ヤバすぎない?」
絶賛夏休みの今、メイドさんの提案で連れて来られた場所は庶民の俺では考えられない楽園だった。
どこかの孤島らしい。この島は天水家が所有しており、巨大な別荘も建てられている。何より、見渡す限りに広がるビーチ全てが私有地。この圧巻の光景も全て天水家が独り占めしているのだ。
何度も思ってきたがその度に改めて感じる。金持ちってすげー。孤島でバカンスできるとか超セレブじゃん。これにはさすがの俺も震えあがった。
他に人がいないプライベートビーチで綺麗な海と心安らぐ波の音を堪能出来るのだ。一生に残る思い出になること間違いなし。
「暑い。陽登、別荘に戻るわよ」
せっかくの素敵で優雅なひと時を味わえるのに、ウチのお嬢様はアホなことをほざいてやがる。貴様は馬鹿か。アーユー馬鹿?
俺はビーチチェアから起き上がると文句を言う雨音お嬢様を睨みつけた。
雨音お嬢様は水着を着ている。パレオタイプの水着で色は青色。濃い青の水着はお嬢様の健康的できめ細かい白い肌を際立たせる。透明感ある色白の美しさ、真夏の日差しを浴びて輝く姿はグラビアアイドル顔負け。
何より、グラビアアイドルにも負けていないのはそのプロポーション。見事なくびれによって強調される雨音お嬢様自慢のおっぱいに目が奪われる。胸がエロイ、エロ過ぎる。水着から溢れこぼれそうな胸の谷間は深くて思わず生唾を飲んでしまう。
でも爆乳ではなく大き過ぎない形の良いおっぱい、キュっとひきしまったくびれ、ハーフタレント並みの長くスラッとした足、全体を見た時のバランスは完璧なる黄金比。
はっきり言おう、素直に感想を述べよう。雨音お嬢様の水着、最高です。こんなん見惚れるに決まってるやん。
ただし水着になっても性格の悪さと引きこもりな思考は相変わらずらしい。もったいない奴め。
「せっかくのビーチじゃないですか。もっと堪能しましょうよ」
「アンタなら暑いダルイ帰りたいって言うと思ったのに」
「そりゃ冷房の室内で寝るのは大好きですがね。でもこんなすごいプライベートビーチ見せられたら味わいたいって思いますわ」
海水浴場や市民プールだと他の客がウザイがここには誰もいないんだぜ? 最高以外に言うことあるかよ。
金持ちのあなたはこれが普通かもしれませんが庶民の俺にとっちゃ現世はおろか来世でも叶わないような場所なんです。今日ばかりは外で過ごしたい。
だがお嬢様は納得してくれない。不満げに俺を小突いてくる。
やめろ馬鹿。いや、やめないでいい。動く度に胸がぷるぷると揺れている。ヤベェ、オーシャンビューより絶景だ。
……ふとテーブルに目を向ける。ハワイアンな飲み物の横には日焼け止めオイル。考えろ俺、上手くいけば、上手くいけば……!?
「お嬢様、聞いてください」
「何よ」
「俺にとっては貴重な体験なんです。この素敵な孤島でお嬢様と過ごせる幸せを味わせてください」
「わ、私と……?」
「はい。俺、お嬢様と一緒に海で遊びたいです」
「陽登がそこまで言うなら……し、仕方ないわね」
ニヤリ。
「ありがとうございます! では海に行きますか。一緒に泳ぎましょう」
「しょうがないわね~。憐れな使用人に付き合ってあげるわ」
「あ、海に入る前に日焼け止めを塗りましょう」
素早くオイルを手に取って蓋を開ける。この手のエロ動画やエロ漫画は見てきた。やり方は分かる! 分かるぞ俺!
「別にいいわよ。それに陽登に塗らせるとか……えぇ……」
「何言ってるんすか! お嬢様の美白なお肌を焼かせるわけにはいきません。美しいお嬢様のお肌は繊細なんですから日焼け止めは必須です!」
「う、美しい? そ、そう? ……えへへ」
「さあ早く横になってください」
「じ、じゃあお願いするわ」
お嬢様は照れながらも素直にシートの上に寝てくれた。うつ伏せになったお嬢様。背中のラインも細くてシミ一つもない。
そしてお尻、うっわエロイ! ぷにぷにしているんだろうなぁ、げへへへ。
いや待て。最初はやっぱあっちだろ。俺は尻より、おっぱい! おっぱい派だ!
日焼け止めのオイルを両手に馴染ませてお嬢様の背中に塗る。そっと優しく赤子の尻を拭くように!
「塗っていきますねー」
「んっ」
背中を触っただけで興奮してきた。スベスベの肌はいつまでも撫でていたくなる。顔も良ければ体も抜群だ。お前マジでアイドルになれるぞ。
おっと、塗るのに集中しなくては。お嬢様の警戒心を解くために最初は普通に塗っていく。女性が過敏に拒絶反応を示さないであろう背中や腕を塗っていき、マッサージもしていく。
「肩こっていますねー」
「ん、その辺気持ち良いわ」
お嬢様が声を震わせる。意外な発見、俺マッサージ上手いかも。指で肩を押すとお嬢様がリラックスしていき、次第に体の固さがとけていく。
……頃合いかな。さぁやってやろうじゃないか。いくぜ、マッサージ系動画で覚えた知識をフル活用するんだ。
背中を撫で、ゆっくりと下へと手を滑らせていく。
「んー、陽登ー、綺麗に塗ってね」
お嬢様は気づいていない。お気楽ムードだ。自分が今から何をされるかも知らずに。
遂にきた。この時がきた。
お嬢様の、この豊かな、ふにょふにょな胸を……俺は今から触る。
手のひらにはオイル。これを水着の隙間にヌルッと入れ、一気に揉みしだく。
ぜってー気持ち良い。間違いない。そんでものすごく楽しみだ。や、ヤベェ、涎が止まらない。
さ、さあ……いくぞ……俺はお嬢様のお胸を触るぞー! 巨乳、そして生乳、ふにょふにょでたっぷんたっぷんなおっぱいを揉
「陽登くーん、何をしているのかなー?」
「っ!? め、メイドさん……?」
ギギギ、振り返れば……メイドさんが仁王立ちしていた。その顔は無表情、冷たくて真っ黒な瞳に睨まれて俺の体温は一気に下がった。
「お嬢様、騙されてはいけませんよ。そこにいるのはクズでカスの最低野郎です」
「へ……?」
目を閉じ、隙だらけだったお嬢様は我に帰る。
すぐに俺と目を合わせ、俺がどこを触ろうとしていたのかを察する。
「は、はは、陽登……!? っ、アンタまさか私の胸を……!」
「陽登君、覚悟は良いですかー?」
メイドさんが金属バットを取り出した。脳がヤバイと叫び続ける。
「あ、いや、俺も魔がさしたというか……あ、ヤバ」
でも視界はそこで途絶えた。頭を襲う尋常ではない激痛と共に、意識は真っ暗な世界へと落ちていった。