表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺をエースと呼ばないでくれ  作者: たちまちいさか
7/40

分け合えないってことも寂しくなるわけですよ

「いくらオレでもこれは吐くわ!」


目の前の光景がグラグラとブレ続けている。

機体が速度限界を超えている状態だった。


少しずつだがダメージも入っている。


宙域ボス<ク・ラヴ・バラム>の腕の戻りにアンカーフックをかけたオレは横向きに引っ張られる形で移動していた。


ボスまではあと数秒。

オレはなんとか機体を立て直し、ボスに機首を向ける。


この速度ならいくらボスでも衝突は一瞬。


つまり、遅くとも一秒後にはボスを貫通しているはずなのだ。

能動的防御(シールドパリィ)の有効時間内にボスを貫通すればこちらは無傷でいられるはず。


-その場合、貫通した相手はどうなるんだ?


今回初めて衝突攻撃(アサルト)でボスに対して垂直にアプローチした。


腹をくくる。


守備力残量(ヒットゲージ)が機体限界を超えた速度の衝撃でジリジリと減っていく。

「もってくれよ<クタナ・ハルファス>!」


<ク・ラヴ・バラム>の巨体がグングン迫ってきた。

朱色の意匠(サイン)が明滅するその迫力に思わず唾をのむ。


「行け!」


ボスの影に目の前が真っ暗になり、ついにオレの機体が宙域ボスに衝突しようとしたその瞬間。

能動的防御(シールドパリィ)


一瞬でオレは彩り鮮やかな宇宙(そら)の中にいた。


ゴ!ゴウン!


地響きのような音ともに背後で巨大な爆発が起きる。


爆炎に追いつかれてオレの機体は光の渦に包まれた。

それもまた一瞬で通り抜ける。


しかし、オレの中では何秒間もの長さに感じられた。


若干耳鳴りがする。

集中しすぎたときに時々体験したことがあった。


貫通した。

オレは見事に賭けに勝った。


宙域ボス<ク・ラヴ・バラム>の胴体をオレの機体が突き抜けたのだ。

入ったダメージはゲーシ約一本分。


衝突エネルギーは十万ほどのダメージを作り出したのだ。


「よっしゃーっ!」


一時間以上のボス拘束(しばり)からの解放に思わず大声が出てしまった。


ふと我に返り、慌ててチャットウインドに書き込みをする。

支援感謝(サポサンクス)


見えない味方からの返事はなかった。



興奮は翌日、目が覚めてからも冷めなかった。


というのも、翌朝には<ソルブレイド・オンライン>史上初ソロプレイボス撃破の公式サイト記事掲載のメール打診が入ったからだ。


それは丁重にお断りして、見えない支援機がいたこと正直に返信した。


記事の内容は「ボスを機体貫通(ペネトレーター)で撃破」と変わり、その様子はベストファイト動画の再生回数ランキングトップになった。


シューティングゲームである<ソルブレイド・オンライン>では衝突攻撃(アサルト)自体が無名だったため、機体貫通(ペネトレーター)はインパクトがあったようだ。


実際、チームプレイでボス攻略中、まっすぐ入りすぎて特攻状態になる機体もあるようだが、速度が全然足りないことで、能動的防御(シールドパリィ)中にボスを通り抜けられないため、衝突した時点で質量負けし爆砕するパターンばかりだったようだ。


客観的に自分のプレイを見ると、<ク・ラヴ・バラム>の両腕をかいくぐってアンカーフックをかけ、それに引かれて機体を立て直すところなど、ロボットアニメのいちシーンの様だった。


ここまで騒がれると、気にかかるのは、静かにオレに狩場をゆずった「見えない味方」のことだ。


オレはあの後、ボス撃破により恐ろしい額のボーナスポイントと見たこともないドロップアイテムを獲得していたのだ。


その扱いを相談したくても相手がわからなければどうしようもない。

ボス戦を「エフェクトの見えない謎の遠距離攻撃」で支援してくれたのは誰だったのか…。


しかし、学校に行ったオレはすぐにその手かがりにたどり着くのだった。

ここまでお付き合いいただき

ありがとうございます。


なんとかボス戦勝利です。

次はいよいよ新キャラ登場です。


なにとぞ続きをお読みください。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ