娘の見舞いに来る男子って家族にどう思われてるんだ
「ごゆっくり~」
「ねえねえ、晴子さんいつもよりハイトーン」
玉城家で内弟子をしている安里宗輔さんはアイドル顔を輝かせている。
「いやね、うふふふっ」
夕方の玉城家を訪ねると、夕飯前だというのにちょっと戸惑うほどの大歓迎だった。
「宿理ちゃんに男子のお客さんなんて…アガるよねぇ」
「ね~っ」
「いやいやいや…そういうんじゃないっスから…」
お茶菓子を置いていくと、玉城家の上品な家政婦、晴子さんは変な汗の出たオレに
ウインクまでしていった。
「この家でキミを歓迎しない人はいないよ。飛騨クン」
「あの光海ちゃんだって、宿理ちゃんを運んだ時の頼もしさや
礼儀正しいとことかほめてたよ」
「恐縮です」
瀬名波光海さんは、同じく内弟子で先輩のお姉さんみたいな人だ。
-口調なんかそのままだったしな…。親戚だから顔も似てるし。
「まあ、師匠はどうかわかんないけど、何せお父上なのでね~」
「できるだけ鉢合わせしないようにします…」
「そういえば、先輩のお父さん、家にいらっしゃらないんですか?」
「そうなんだ。棋士を辞めてもあの方は多忙でね…。それでも宿理ちゃんが
倒れたと聞くと、出張先からでもすぐに電話があるんだ」
ウチも食事の時間が合わなくなってから、父親とは疎遠な感じになっている。
人の事は言えないな。
「ところで、今日は宿理ちゃんのお見舞いだけって感じじゃないけど…」
-なにやら最近、知り合った人たちはみんなスペック高くて戸惑うばかりだ。
「スゴイですね…宗輔さん。折り入って頼みというか…玉城先輩にとって
大事なことを話しに来ました」
オレはできるだけ玉城先輩視点で<ソルブレイド・オンライン>で月イチで
行われる<旅団戦>に参加する重要性…。
そして、オレたちチーム<超急戦>が、学校の高速通信網の
上位使用権をキープしなくてはならない理由を説明した。
玉城宿理を『王城マルチ』の永久思考の呪縛から
解き放つためのAI開発。
それだけでなく、金田部長の言う『最高の勝利』による満足な眠りについて説明した。
「まさかまさか、宿理ちゃんたちが<ソルブレイド・オンライン>をやっていたとはね…」
オレは初めて宗輔さんのシリアスな顔を見た気がする。
「しかもしかも、学校のネットを使って、そんな並列思考型AIまで開発してたなんて…」
宗輔さんのかわいい顔の眉間にシワまであらわれた。
「…金田クンって…本当に高校生なのかな?」
「…オレも…たまにそう思います」
宗輔さんの一番の不安がそこなのかと、心の中でつっこんだ。
「事情はだいたい理解できたよ。確かに宿理ちゃんがこのタイミングで意識不明は大問題だ」
「あ、今、わざと『意識不明』と言ったけど、寝たくて寝ているのと違って、
自分の意思と関係なく眠っている今の状態は言わば『意識不明』だと思うんだ」
宗輔さんは指を立てて、いかにも解説してますポーズをとる。
「宿理ちゃんは『不眠症』といっても、貫徹しているわけじゃなくて、
数時間しか眠れてないから、たまに意識がなくなるわけで、
眠りは浅いし、体はちゃんとした睡眠の時のように休めていないらしい。
井上先生は『睡眠障害』と言ってたけど…」
「つまりね。宿理ちゃんはこんな大事な時だから、意地でも起きると思うんだ」
「オレも、そんな気がします」
「あとねあとね、なんとなく飛騨クンがボクに何を頼みたいのか、わかっちゃったよ」
「宗輔さんすみません。一緒に叱られてください…」
「確かにね、今のタイミングでゲームをさせたら、光海ちゃん怒るだろうな…」
宗輔さんの表情で、想像の中の光海さんに何を言われているのかわかった。
「実はね、光海ちゃん、師匠のお供で出張中なんだ。ツイてるね」
「今、叱られるとすれば晴子さんだけど…あの人も宿理ちゃん最優先だから…
なんとかなるかな」
「よろしくお願いします」
「任せてね。飛騨クン」
ニッコリ微笑んだ宗輔さんの顔の周りだけ、なぜだか明るい感じがする。
-あとは、玉城先輩次第だけど。間に合ってくださいよね。
オレはさっき見た眠る玉城先輩の顔を思い出した。
そして、意識を失う前にオレの服をつかんだ彼女の手を…。
続けてがんばりました。
ここまでお読みいただきましてありがとうございます。
さらに評価もいただいてありがとうございました。
宗輔さん、アイドル顔でパソコンに詳しく、
プロの棋士で、大学生で、ゲームにも詳しい。
ハイスペックです。うらやましいです。
話し方が幼くて、少し変なの以外は。
本編には書きませんでしたが、
<ソルブレイド・オンライン>も知っていたので
あのセリフです。
執筆がんばらねば。
引き続きよろしくお願いします。




