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俺をエースと呼ばないでくれ  作者: たちまちいさか
34/40

娘の見舞いに来る男子って家族にどう思われてるんだ

「ごゆっくり~」


「ねえねえ、晴子さんいつもよりハイトーン」


玉城家で内弟子をしている安里宗輔(あんり そうすけ)さんはアイドル顔を輝かせている。


「いやね、うふふふっ」


夕方の玉城家を訪ねると、夕飯前だというのにちょっと戸惑うほどの大歓迎だった。


宿理(しゅくり)ちゃんに男子のお客さんなんて…アガるよねぇ」


「ね~っ」


「いやいやいや…そういうんじゃないっスから…」


お茶菓子を置いていくと、玉城家の上品な家政婦、晴子さんは変な汗の出たオレに

ウインクまでしていった。


「この家でキミを歓迎しない人はいないよ。飛騨クン」


「あの光海(こうみ)ちゃんだって、宿理ちゃんを運んだ時の頼もしさや

 礼儀正しいとことかほめてたよ」


「恐縮です」


瀬名波光海(せなは こうみ)さんは、同じく内弟子で先輩のお姉さんみたいな人だ。


-口調なんかそのままだったしな…。親戚だから顔も似てるし。


「まあ、師匠はどうかわかんないけど、何せお父上なのでね~」


「できるだけ鉢合わせしないようにします…」


「そういえば、先輩のお父さん、家にいらっしゃらないんですか?」


「そうなんだ。棋士を辞めてもあの方は多忙でね…。それでも宿理ちゃんが

 倒れたと聞くと、出張先からでもすぐに電話があるんだ」


ウチも食事の時間が合わなくなってから、父親とは疎遠な感じになっている。

人の事は言えないな。


「ところで、今日は宿理ちゃんのお見舞いだけって感じじゃないけど…」


-なにやら最近、知り合った人たちはみんなスペック高くて戸惑うばかりだ。


「スゴイですね…宗輔さん。折り入って頼みというか…玉城先輩にとって

 大事なことを話しに来ました」


オレはできるだけ玉城先輩視点で<ソルブレイド・オンライン>で月イチで

行われる<旅団戦>に参加する重要性…。


そして、オレたちチーム<超急戦(ちょうきゅうせん)>が、学校の高速通信網の

上位使用権をキープしなくてはならない理由を説明した。


玉城宿理(たましろ しゅくり)を『王城(おじろ)マルチ』の永久思考の呪縛から

解き放つためのAI開発。


それだけでなく、金田部長の言う『最高の勝利』による満足な眠りについて説明した。


「まさかまさか、宿理ちゃんたちが<ソルブレイド・オンライン>をやっていたとはね…」


オレは初めて宗輔さんのシリアスな顔を見た気がする。


「しかもしかも、学校のネットを使って、そんな並列思考型AIまで開発してたなんて…」


宗輔さんのかわいい顔の眉間にシワまであらわれた。


「…金田クンって…本当に高校生なのかな?」


「…オレも…たまにそう思います」


宗輔さんの一番の不安がそこなのかと、心の中でつっこんだ。


「事情はだいたい理解できたよ。確かに宿理ちゃんがこのタイミングで意識不明は大問題だ」


「あ、今、わざと『意識不明』と言ったけど、寝たくて寝ているのと違って、

 自分の意思と関係なく眠っている今の状態は言わば『意識不明』だと思うんだ」


宗輔さんは指を立てて、いかにも解説してますポーズをとる。


「宿理ちゃんは『不眠症』といっても、貫徹しているわけじゃなくて、

 数時間しか眠れてないから、たまに意識がなくなるわけで、

 眠りは浅いし、体はちゃんとした睡眠の時のように休めていないらしい。

 井上先生(おいしゃさん)は『睡眠障害』と言ってたけど…」


「つまりね。宿理ちゃんはこんな大事な時だから、意地でも起きると思うんだ」


「オレも、そんな気がします」


「あとねあとね、なんとなく飛騨クンがボクに何を頼みたいのか、わかっちゃったよ」


「宗輔さんすみません。一緒に叱られてください…」


「確かにね、今のタイミングでゲームをさせたら、光海ちゃん怒るだろうな…」


宗輔さんの表情で、想像の中の光海さんに何を言われているのかわかった。


「実はね、光海ちゃん、師匠のお供で出張中なんだ。ツイてるね」


「今、叱られるとすれば晴子さんだけど…あの人も宿理ちゃん最優先(ファースト)だから…

 なんとかなるかな」


「よろしくお願いします」


「任せてね。飛騨クン」


ニッコリ微笑んだ宗輔さんの顔の周りだけ、なぜだか明るい感じがする。


-あとは、玉城先輩次第だけど。間に合ってくださいよね。


オレはさっき見た眠る玉城先輩の顔を思い出した。


そして、意識を失う前にオレの服をつかんだ彼女の手を…。

続けてがんばりました。


ここまでお読みいただきましてありがとうございます。

さらに評価もいただいてありがとうございました。


宗輔さん、アイドル顔でパソコンに詳しく、

プロの棋士で、大学生で、ゲームにも詳しい。

ハイスペックです。うらやましいです。

話し方が幼くて、少し変なの以外は。


本編には書きませんでしたが、

<ソルブレイド・オンライン>も知っていたので

あのセリフです。


執筆がんばらねば。


引き続きよろしくお願いします。

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