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俺をエースと呼ばないでくれ  作者: たちまちいさか
20/40

JKがみんな会話レベルで文字打てる訳ではないそうです

『くそったれっ、結局、また機体貫通(ペネトレーター)で決められてしもた』

「黒木くんの釣り餌…いや、協力のおかげだよ」

金田部長がオープンチャットに入る。


『ちっ、こんな時だけしゃしゃり出やがって』

黒木先輩の声が不機嫌になった。


『クロ先輩はいい餌でした。集団戦としては理想的です。次もお願いします』

『次てなんや、アンカーフック、マジで吐くで。お前もやれ』


『エストラポイント、デカすぎや。結局、対戦結果も負けやな』

『終了処理に入りますので、それではまた…』

総合ポイントはザコ撃墜数で負け、ボスへの攻撃で若干の勝ち。

撃破(エクストラ)ポイントで逆転しての結果だった。


『ちょい待て。金田、聞いてるか?』

「なんだい?」


『飛騨のチートの秘密がわかったで、障壁無効(シールドエラー)やな?』

「ほう、あの一回で…さすがだね」

-え、金田部長、言っちゃうんですか?


『<ク・ラヴ・バラム>の腕とぶつかった時に状態異常(ステータスエラー)が出とったが、履歴を見たら障壁無効(シールドエラー)やった』

そう言えば確かにぶつかっていた。

黒木先輩、ボスに好かれてたもんな。


『ボスの戦利品(ドロップアイテム)でアレと似たような能力(スキル)を持ったモンが出たんやろ』

「<防御無効(シールドブレイカー)>という。せいぜい気を付けたまえ」

-金田部長、わざわざ本当に言っちゃうんですか?


『アンカーフックと<防御無効(シールドブレイカー)>か。ええ土産になったわ』


「また()ろう」

『首、洗っとけ』

<赤>のふたりがログアウトした。


「これはどういう状況?」

ヘッドマウントディスプレイを外した純樹(あつき)がジト目でオレを睨む。

この間、オレは角野睦美(すみの むつみ)に顔を持たれたままだ。


「見つけました。私の英雄様…」

「英雄?」

彼女はハっとしたように慌てて手を放す。


「そ…その…あの…」

メガネを両手ではさむように直すと、携帯を取り出し何やら書き始めた。


『緊張で声になりません。私の英雄様。まさかあなたに会えるなんて。光栄です。私、角野睦美です。一年生です。』

「あ、ああ、どうも。飛騨です。二年です。キミ、文字打つの早いね」


『そんなことないです。ヒダさんとおっしゃるんですね。文字は飛騨ですか?』

「そうだよ。あってる」


『下のお名前は?』

「マサトオだよ」


「マー兄ちゃん、なんで小学生と話してるみたいになっちゃってんの?」

純樹が思わず突っ込む。

すまん、オレの対女子スキルは小学生の親戚仕様なのだ。


「か、香駒くん。…その『兄ちゃん』って?」

「ボクとは話せるんだ。マー兄ちゃんはお隣さんで、幼馴染なんだ」


「マイヒーローのお隣さん!香駒くん尊敬です」

「それで尊敬されてもボクは嬉しくない」


「角野さんは<ソルブレイド・オンライン>をやってるの?」

「はひ…は…」


『はい。半年前くらいからやっています。機体はクタナ・フォラスです。英雄様と同じ機体に乗りたいとも思ったのですが、英雄様が隊長機で私がその部下みたいにしたくて。機影が少し丸いフォラスがちょうどそんな感じになるので。もちろん、二枚盾です』

角野さんは興奮気味に書き綴った。


「二枚盾なんだ。スゴイね」

『すごくないです。恐縮です。真似事です。機体貫通スゴくかっこいいです。まさかライブで見られるとか、幸せすぎて、変なスイッチ入ってました』


「なんだかスゴイね。マー兄ちゃん。こっちでもファン作っちゃうとか」

純樹がなんか面白くなさそうにしている。


え?もしかして、この()のこと好きだった。

-いかんな、千成ちゃんが感染してる。


-はっ!そういえば、桂間先輩は…。

あああ、両手口に当てて、キラキラした目でこっち見てた。

ニヤニヤが止まらない状態だ。

絶対、変な事たくさん考えてる。


「香駒くん、『こっち』とは何のことですか?」

「マー兄ちゃんは去年まで野球部のエースだったんだよね」

-エースって…。この野郎!


「エースとは、投手ということですか?」

「うちの学校の甲子園初出場、それと一回戦勝利に貢献した投手だったんだ。そこは本当に尊敬してる」

-純樹。お前。


「その時、肘を痛めてたのに黙って続投して、野球がしばらく出来なくなって、転入したクラスに馴染めなくて、ウジウジ図書室に逃げてくるような人ですが」

-純樹。お前~。


「ボクの自慢の兄ちゃんでさ。不器用で困った人なんだよ」

「純樹。お前…」


『甲子園、スゴイです。憧れます。野球よくわかりませんが、本で勉強して今度、応援に行きます』

「それが…、高校の間は復帰は無理なんだよね。今はこの将棋部で世話になっているというか。入部してないんだけど」


「とりあえず、チーム<超急戦(ちょうきゅうせん)>には入隊してもらったのだよ」

「え?<超急戦>って、<白の旅団>一位のですか」


「うん、将棋部(ここ)が<超急戦>の正体だよ。私とは話せるんだねえ」

「はい、緊張するのはマイヒーローだけです」


『飛騨さんは、飛騨先輩は、その…飛騨先輩でいいですか?』

最早、文字ですら緊張してるのね。


「英雄様はちょっと恥ずかしいから、飛騨先輩と呼んでもらうのがいいかな」

『飛騨先輩、飛騨先輩。飛騨先輩。いいですね、飛騨先輩にします。飛騨先輩は超急戦でプレイするんですか?』


「ああ、そうなってしまったみたい」

『私もご一緒していいですか?邪魔にならないようがんばりますので』


「オレに許可を求められてもなあ。金田部長?」

「私から玉城に話は通すよ。大歓迎さ。ついでに将棋部の方も検討してほしいね」


「それは保留でお願いします」

「本当にハッキリ言うね」

ここまでお読みいただき

ありがとうございます。


妄想系残念美少女、角野ムーちゃん

フルスロットルで登場です。


図書室のモブだと思った方。

無口系と思われた方あれはブラフです。


「飛騨先輩、飛騨先輩。飛騨先輩。いいですね」は自分で書いてて、この娘らしい、ちょっと

危うい妄想部分があふれてて気に入ってます。


次回は、マニアックな話です。


お付き合いくださいませ。

よろしくお願いします。

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