あのときの事を思えばみんなチートですよ
『って、おいコラ!どんな魔法つかっとんのや。おかしいやろ!』
ボスの守備力残量の減りを見た黒木先輩が怒っている。
『こっちも行ったれ!』
<赤の三連撃>がボスを貫いた。
こららも合わせて三万以上を削る。
残る<ク・ラヴ・バラム>の守備力残量は三本半。
『か~ここからやと、これで限界か。もっと前に行くで』
ボスが再びファイアボルトを発射して弾幕を張る。
ザコの<ナグ・クロケル>も集まってきた。
「香駒。次は徹甲弾で行こう」
金田部長がまたメモを取りながら指示を出している。
黒木先輩たちは次の爪攻撃までじりじりとボスまで前進して、また盾を開いて爪ビームを待つつもりだろう。
爪が重なるところなんかに陣を引けば四枚盾でも持つはずがない。
さっきは、爪が光学兵器阻害で切れるか実験もしていたな。
恐らく、爪ビームを耐えられるギリギリを計算しているのだ。
オレはさっきとほぼ同じ場所に戻って、ザコ狩りを続けて爪モードを待った。
ギンン
待っていたボスの意匠が発動する。
ところが、機獣の武装面はオレに向かって回転した。
-なぜあっちを狙わない?
腕のような部分を交差するように構えビームを出す。
クロスするように爪ビームが振られ、オレに向かって伸びてくる。
オレは機首をボスに向けて、爪の間をくぐる準備をする。
「今度はこっちが後攻か」
<グドラー・ゼパル>の荷電粒子砲がボスに向けて発射される。
それに合わせて黒木先輩の<トトゥカン・アガレス>が飛び出していた。
荷電粒子砲がザコを一掃してこじ開けた通路をボスに向かっている。
「純樹。回復弾用意。今から突っ込む」
オレは決断し、爪ビームに向かって加速をかけて接近する。
二本目の荷電粒子砲が発射された。
<トトゥカン・アガレス>はその中を加速してボスに向かっている。
これで、数十秒は荷電粒子砲の発射はない。
爪ビームのぎりぎりのところをオレはすり抜けた。
いつもより余裕のない距離で爪に入ったので、干渉波に切り刻まれて<クタナ・ハルフィス>の守備力残量が八割以上持っていかれる。
二枚盾は正面には強いが、爪ビームの干渉波は横からも食らってしまう。
オレが爪に入ったのを見て、純樹の回復弾が着弾する。
絶妙なタイミングでもう一発の回復弾。
一発目はオレが爪をくぐるのに必要な守備力残量を供給し、二発目で通過後の機体を全回復する神業だ。
「何それ。スゴーイ!」
千成ちゃんが思わず叫んでいる。
「さすがエース」
オレは加速を重ねて、最高速まで持っていく。
距離の関係でオレの方がボスに早く到着できる。
「接触までテンカウント!九…」
オレはなんとか体制を整えて、<ク・ラヴ・バラム>へアプローチする。
「飛騨くん接触は一回だけだ」
金田部長の指示がはいる。
「今!撃て!」
<ク・ラヴ・バラム>をかすめると、アンカーフックで減速し、機体を反転させる。
純樹の超電磁砲が連射で入り、それに合わせてオレも兵装を開いて、ホーミングミサイルと30mmバルカンをボスに叩き込む。
オレの攻撃は大したダメージにはならないだろうが、<防御無効>の有効カウントが『0』になるまで入れ続けた。
「おっと今度は少し落ちたね。七万ほどだ」
最初の攻撃の二倍強の量。
「どうやら<防御無効>と相性がいいのは炸裂攻撃だね」
金田部長は何かの試験をしているようだった。
『また、チート攻撃や。こっちもスゴイのかましに来たで!』
<トトゥカン・アガレス>はボスの周りにグレネードを撃つ。
例の光学兵器阻害だ。
『このボス見た時から、コレやってみたかったんや。行くで!』
ボスの胴体に光学兵器阻害の玉がくっついているようになった。
そこに<グドラー・ゼパル>の荷電粒子砲二連撃が着弾する。
<ク・ラヴ・バラム>を貫通したビームエフェクトは光学兵器阻害の鏡の中でとどまり、更にダメージを与えている。
ボスの守備力残量を四万五千以上削り取った。
<トトゥカン・アガレス>はボスの足元の方に移動していた。
エンジン推力を切り、慣性のみでの移動だ。
胴体部の荷電粒子砲が圧縮炉加速のエフェクトで青白く発光している。
超荷電粒子砲の充填体制だ。
スラスターを使って機体を反転させると、迫って来る<ナグ・クロケル>もろともボスを真下から撃った。
縦方向に複数の当り判定があったらしく、単独でも一万持っていける超荷電粒子砲で、<ク・ラヴ・バラム>の守備力残量が六万以上減った。
ゲージを一本分失った<ク・ラヴ・バラム>は、意匠を赤色に変えて膨張する。
ギンンンンン
ダメージを大きく与えたものを標的とするらしく、<トトゥカン・アガレス>の方へ九十度倒れていく。
動かないと思っていたから、意表をつかれ大迫力だ。
『うお~っ、鬼が睨らんどるわ。コワっ!』
慣性で移動している黒木先輩は超荷電粒子砲の放熱シークエンスで身動きが取れなくなっている。
「行きかがりか」
オレは通り過ぎざまに<トトゥカン・アガレス>にアンカーフックをかけると、スウィングバイして、すぐ放り投げた。
『うわーっなんやコレは!』
黒木先輩の機体がマンガのようにクルクル回りながら飛んでいく。
剣の腕がすごい勢いでオレの機体の横をかすめて通り過ぎていく。
間一髪だった。
「ゲージまだ二本あるけど、怒りモードらしいよ」
純樹の言う通り、これはあの剣のような腕を発射してくる最後の攻撃形態だ。
ここまでお付き合いいただき
ありがとうございます。
さて、がんばってます。
大ダメージ攻撃オンパレードです。
バスターランチャーと
メガバスーカランチャー。
ビーム系はまずはふたつ。
次回はいよいよ対戦も決着です。
なにとぞお付き合いくださいませ。




