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俺をエースと呼ばないでくれ  作者: たちまちいさか
17/40

チートなんて言ってくれますが下積みあってのモノなんです

「黒木先輩。ボスについては?」


『お前の動画はチェックした。<ク・ラウ・バラム>の攻撃パターンは把握しとる』


宙域ボス-<ク・ラヴ・バラム>-が武装面を旋回させ始めた。

このボスは機獣の中でも足がないだけで人型に近い。


『そやから言うて互角(イーブン)ちゅう訳やないで、そっちは撃破の経験があるからな』


オレの<クタナ・ハルファス>は修繕素子(リペアマテリアル)が絶賛修復の真っ最中だ。

守備力残量(ヒットゲージ)は七十五パーセントまで回復している。


『ちゅうワケでや。お互いボス戦ではヘタな手出しはナシにせえへんか?』


オレは金田部長の了解を得た。

「いいですよ。その代り助けたりもしませんけどね」

『金田の毒がまわってきとるで』


ギンン


ボスの意匠(サイン)が再び膨張する。

この間も散々やったがこれは何かデカイ攻撃が来る前兆だ。


『オプテロン。四枚盾(スクトゥム)展開!』

『了解』


機獣の武装面が回転し、オレと赤弓削くんたちの<グドラー・ゼパル>を捕えると大きな腕のような部分を交差するように構えた。


<グドラー・ゼパル>は四分割して胴体に沿うように収納していた四枚盾(スクトゥム)を細身の専用腕(マニュピレーター)でクルリと回しながら構える。

それを組み合わせて、機体正面をスッポリ隠した。


ボスの腕に巨大な爪の様なビームが左右に4条生える。


それをクロスするように振った。

爪ビームはランダムに間隔を変え、1キロメートル以上伸びて、横凪ぎに飛んで来る。


オレは機体を反転させて爪の間をくぐる準備をする。


四枚盾(スクトゥム)を展開した<グドラー・ゼパル>はまともに動けない。

そこを爪ビームが横凪ぎに直撃した。


更にビームはオレの機体の上下をスゴイ勢いで通り過ぎていく。

数百回は繰り返した作業だが、あい変わらず下腹にグッと力が入る。


避けきれないところでは能動的防御(シールドパリィ)を当てに行く。

せっかく回復した守備力残量(ヒットゲージ)は半分まで減少した。


『クローハマー。こちらオプテロン。状況クリア。想定のマイナス5パーセントです』


爪ビームの直撃に耐えるとか四枚盾(スクトゥム)ハンパねぇな。


『上出来や。回復するからちょい待っとけ』


黒木先輩の<トトゥカン・アガレス>が合流するが手出ししない約束だ。

オレはオレで早速、圧縮炉加速(イオンドライブチェーンバースト)をかけて愛機を<ク・ラヴ・バラム>に突進させる。


この攻撃を皮切りに、ザコ敵の<ナグ・クロケル>も戻ってきた。


純樹(あつき)支援(サポ)たのむ。あと、オレが衝突攻撃(アサルト)で初手を入れたらボス本体にも攻撃だ!」

「了解。まずは通常弾試すよ」


「何コレ?飛騨くん、よく見たらおっさんやん」

クローズチャットで開いたオレのアバターを見たであろう千成(ちなり)ちゃんから文句が出た。

今夜あたり、さっそく銀嶺(しろがね)先輩から『調整』が入りそうだ。


「行くぞ!」

気を取り直して機体をボスの胴体に斜めに入れる。


ガガン


能動的防御(シールドパリィ)でこっちは無傷(ノーダメージ)

しかし、質量差でこっちが一方的に弾かれる。


ゴゴゴゴンッッ!


合わせて純樹の超電磁砲(レールガン)がボスに着弾する。

自動連射(フルバースト)でも使ったのか連続して着弾音がした。

オレは<防御無効(シールドブレイカー)>のテンカウントが終わらないうちに、もう一度機体を当てる。


防御無効(シールドブレイカー)>効果中の超電磁砲(レールガン)の攻撃力が高く、ボスの守備力残量(ヒットゲージ)が一気に三万ほど減った。

合わせ技とはいえ一回の衝突攻撃(アサルト)で数日前の百倍だ。


<ナグ・クロケル>が衝突で減速したオレの機体に追いついてくる。


「十秒持ちこたえて。いま銃身(バレル)加熱処理(オーバヒート)中」

「いつもながら、やきもきやな。コレ…」


「こんなこともあろうかと。今週中に二十連射(ダブルバースト)の効く新銃身(ニューバレル)が完成予定だ」

金田先輩が生声で告知する。見えないがメガネクイが目に浮かぶ。

コレわざと話題になるまで秘密にしてないか。


オレは<ナグ・クロケル>を釣ってボスから離脱する。

釣り損ねた<ナグ・クロケル>がオレの背後に回り込むが、その頃には<ガドール・レラジェ>の超電磁砲(レールガン)が復帰して始末してくれた。


釣った方の二機の<ナグ・クロケル>をアンカーフックを巻き上げて軽くぶつけた。

衝突した二機が減速して下がってきたところにオレの<防御無効(シールドブレイカー)>が待ち構えている。

すれ違さざまに能動的防御(シールドパリィ)でぶつけると、二機は絡むようにきりもみして爆散した。


「なんか今、斬ったっぽかった」

拡大モニターしていたらしい千成ちゃんが感心する。

「盾ではなく、もはや剣だね。それは…」


「部長。弾、変えましょうよ?」

「そうだね。<防御無効(シールドブレイカー)>で貫通力はいらないから、まずは炸裂弾(ヒート)でいってみようか」

金田部長が何やらメモをしながら指示を出した。


この宙域ボス-<ク・ラヴ・バラム>-の守備力は約五十万。

五行にわたってゲージが表示されているので、ゲージ一本は十万ポイントだ。


さっきの攻撃の合計が三万ほどあったので、確かに弾種を変えればもっと稼げる。


<ク・ラヴ・バラム>が機雷のように漂う極端に遅いファイアボルトを発射する。


オレはとにかく距離を取って、ボスの爪ビームに備えた。


そこにボスを貫くビームエフェクトが伸びた。

周囲を飛んでいたザコの<ナグ・クロケル>も巻き込まれて爆散している。


黒木先輩の超荷電粒子砲(メガ・バズーカランチャー)はボス相手でも圧巻の攻撃力だ。

単独で一万以上削った。


『出遅れたな。って、なんや!さっきの攻撃、チート級やな。ボスのゲージめっちゃ減っとる』


続けざまに荷電粒子砲(バスターランチャー)の二連撃も入る。

恐らく、この後チームは次の射撃位置に移動するはずだ。


拡大モニターで見ていると、四枚盾(スクトゥム)を収納している<グドラー・ゼパル>に黒木先輩の<トトゥカン・アガレス>がグレネードを撃ち込んでいる。


「純樹。アレ何やってるんだ?」

「確かにソロには縁がないね。回復弾(リカバリーブレット)だよ。修繕素子(リペアマテリアル)を撃ち込むんだ。ウチにもあるから緊急なら声かけてよ」


「試しに今、一発くれるか」

「これは<黄の旅団>の特殊武装だよ。榴弾を扱える実弾兵器で使用可能だ。通常購入なら別旅団の武器はポイント三倍だが、最近は旅団間の物々交換(トレード)がオーケーになったからね。ウチも手に入れやすくなった」


「マー兄ちゃん速度のそのまま」

すぐに弾の当たった効果が現れて、<クタナ・ハルファス>の守備力残量(ヒットゲージ)は半分から完全回復した。


「スゴイなコレ。回復魔法じゃないか。SFでいいのか?」

「<黄の旅団>は確かにファンタジー色あるやんな」

いつもお世話になっている修繕素子(リペアマテリアル)たち。

他旅団(よそ)から来た子たちとも仲良くするんだよ。

オレもつられて変な妄想をする。


「すぐには弾倉交換できないから、早めに言ってよね」

「了解した」


後ろからボスの放ったホーミングレーザが迫ってくる。

ボスの攻撃パターンが変わってきた。


バレルロールでそれらを避けて、できるだけ黒木先輩たちと離れた場所を陣取る。

てきるだけ爪ビームをおしつけたい。


<グドラー・ゼパル>がさっきよりボスに近い場所で、四枚盾(スクトゥム)を展開して陣を張った。

黒木先輩の<トトゥカン・アガレス>も後ろに控えて後衛を務め、近づくザコを撃ち落としている。


ギンン


ボスの意匠(サイン)が膨張する。


機獣の武装面が回転し、<グドラー・ゼパル>の方を向く。

チャンスだ。


「純樹。すぐ仕掛ける。援護だ」

「弾倉交換あるから<防御無効(シールドブレイカー)>までカウントダウンよろしくね」


ボスの腕に巨大な爪の様なビームが左右に4条生える。


オレの方を向いていないから無視して、加速(バースト)をかけて<ク・ラヴ・バラム>に突進する。


『こっちが囮になっとるがな』


爪ビームが間隔を変えながら伸びいく。

黒木先輩は横凪ぎに迫るビームに向けて、グレネードを発射した。

光学兵器阻害(ビームリフレクター)の球体が爪ビームの一部を引きちぎる。


『しもた、コレはこっちが撃てん』


これはちょうど好都合だ。

防御無効(シールドブレイカー)>の効果中にあちらに撃たれたらボスを撃破しかねない。


「接触までテンカウント!九…」

オレは体制を整えて、<ク・ラヴ・バラム>へアプローチする。


「五…四…三…」

かすめるように<ク・ラヴ・バラム>に接触するとアンカーフックを撃ちだして、ボスを軸にスイングバイを仕掛ける。

「今!撃て!」


ドガンッッゴボボボン!


着弾と炸裂音の二重奏がこだまして、ボスが振動する。

そこに、再び衝突攻撃(アサルト)を仕掛けて、三回ほどぶつけた。

防御無効(シールドブレイカー)>の効果時間がぶつかる度に『9』に更新される。


光学兵器阻害(ビームリフレクター)の効果は?」

「まだ残っとる」

銃身(バレル)加熱(オーバヒート)中。十秒待って」


ほとんど速度のなくなったところから、再加速で離脱する。

ちょうど、<防御無効(シールドブレイカー)>の効果切れと重なった。

心の中でカウントダウンする。


「これはスゴイね。九万ほど削ったよ」

最初の攻撃の三倍の量。ゲージがほぼ一本なくなった。

金田部長も口笛を吹く勢いだ。


「よっしゃーっ!」

みんなの歓声が響く中、オレも叫んでいた。

アップのパターン変えてみます。

今日もがんばってます。

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