ありさのキモチ。
私はありさ。今すっごく眠いです・・・・。
今日もいつもの教室をでて、授業の30分前からあのハイテンションのかたまり人間の待つ教室へ行く・・。
もう、最近朝から集まれーとか、ゆりなも随分身勝手だよなあ。
教室のドアを開けるまで、なんだか時間がかかった。
いや、だって今思ってたこと全部ゆりなに聞かれたら・・・・読まれたらやだし。
よし、さっきまで思ってたことはすべて忘れよう!うん。
ガラガガラガラ―
「おー!ありさ遅いよー!集合時間より3秒遅い!」
3秒ぐらいいいでしょ・・ここに入るまでに結構心を無にしてたんだから。
ゆりなは朝からハイテンションだなあ。ゆりな、寝起きがないんじゃない?
「やだなあ~、私だって寝起きはテンション高くないよ~!朝起きるのが早いだけ!」
「えっと、ゆりなちゃんは何時に起きてるの?」
ああ、いつきちゃんきてたんだ。ってことは、あとはまりんちゃんだけ。
まりんちゃんはたぶんまだまだこないだろうなぁ。
「えーと、たしか今日は新しい悩み人探しの日だから張り切って4時に起きちゃった!一度起きたらなかなか二度寝できなくて、ランニングして、野良猫と遊んで、公園のゴミ片づけて、暇になったからちょっと散歩してたんだー!あー気持ちよかった!」
4時って・・・。
やっぱゆりなにはかなわないよ。そのテンションとその行動力、誰も真似できないよ。
「いやー散歩の途中でね。すっごいきれいな音色が聞こえたんだよね!早起きはサーモンの得っていうし、ほんときれいな音色だった!」
三文の得ね。
「細かいことはいいでしょ?その音色、ピアノの音だったんだけど、きれいな音色だった。でもなんか、引っかかっててね・・・。」
ん?ゆりな・・?
「あー!今日日直だった!日誌とりに行ってくるからちょっとそこで待ってて!」
また廊下走ってる・・。
「ありさちゃん、ゆりなちゃんちょっと変じゃなかった?」
いつきちゃんも気付いてたんだ。
「うん。私もちょっと思ってて。ゆりな、時々テンションが低くなるというか、いつものゆりなじゃなくなるというか。」
ゆりな、私たちに隠してることがあるんじゃ・・・。
「ありさ、いつき。もう来てたのね。」
いや、まりんが遅いんでしょ。
「さっきすごい勢いでゆりなが走っていったけど、どうしたの?」
「えーと、なんか日誌をとりに行くって。」
「そ。もう少し遅く来ればよかった。」
あはは・・・さすがのやる気のなさ・・。
「ねえ今日は新しい悩み人を探すんだよね~。わたし、新しい友達ができると思うと、すごいうれしいの!」
いつきちゃんは何にでも興味を持てる幸福な人間だね。私は全然嬉しくない。
勝手にゆりなの手伝いをやらされて・・・。
「2人は、ゆりなちゃんに出会えてよかったって思わない?ゆりなちゃんに相談したら、何でも解決してくれる。ゆりなちゃんは誰よりも優しいと思うの。」
・・・いつきちゃん・・。
「それもそうよね。」
・・・まりん・・。
「まあ私たちがゆりなに付き合ってるのも、そういうゆりなが好きだからだもんね。」
2人は私の言葉に頷いた。
ゆりなは時々めんどくさいしいきなり行動するけど・・・・。
私たちはそんなゆりなについていくのが、結構生きがいなんだよね~。
なんでだろう?ゆりなには振り回されてばっかりだな。
ゆりなが転校したときから。
「今日は転校生を紹介します。なかよくしてあげてくださいね。」
転校生っていうと、新しい環境で、恥ずかしがっていたり、落ち着いていたり、そういうイメージがあった。
でも、去年の小5になったあの日、私のクラスに転校してきたのは、全然創造とかけ離れたハイテンション少女だった。
「では、七石さん、自己紹介を―」
「ハイハーイ!七石ゆりなでぇーす!皆と友達になりたいから、気軽に声をかけてくださーい!あ、まって大丈夫!私が全員に声かけるから、今日からみんな友達だよ!私に会った時点で友達確定ー!」
弾幕のように自己紹介を早口で言い切ったゆりなは、なんだかすごい涼しい顔をしてた。
初めての場所で、初めて会う人しかいないのに、ゆりなはその日のうちクラス全員にフレンドリーに声をかけてくれた。
次の日になると、隣のクラスへ出かけて行ったりしたから、たぶん隣のクラスにも挨拶をしに行ったんだろうな。
ゆりななら、一週間で学年全員と友達になってる気がする。
たぶん・・・いや絶対一ヵ月で学校中の生徒と友達になったんじゃないかな・・。
「へーありさちゃんっていうんだ!不思議の国のアリスみたいでいいね!不思議の国のありさ・・・・なんてね!」
「あはは・・・よく言われるなあ。ゆりなちゃん、すごい元気だね。私話しかけにいこうと思ったんだけど、まさか先に話しかけられるとはね・・・。」
光の速さで友達を作るゆりながちょっとうらやましかったな。
私、友達作るの苦手っていうか、ちょっと友達と付き合うのがうまくいってなかったから、友達なんてすずくらいだったんだよなあ。
ゆりなは私のだめなところろか、すべて受け止めて友達をしていたんだろうな。
なんだか、ゆりなって他人思いというか・・逆に自分のことはどうなんだろう・・・。
「たっだいまあああー!ねえねえありさありさ、もしかして私のこと考えてた?」
え?ああ、まあ。
「もう!思ってること伝わるからって、心で会話しようとしないでよね!私、ありさの声もききたいから。ね?」
ゆりなは私に顔を近づけてウインクした。
「はいはい。わかったよー。もうゆりなったら。」
ほんと、ゆりなといると楽しくなるな。