表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キモチ相談所  作者: ぐみ
4/7

友達って、いつから?

「廊下は走らないように!」

遠くから担任の中田先生の声が聞こえた。やばい・・めっちゃ怒ってる~。今日は奥さんとケンカしたらしいね~、え?なんでそんなことでケンカになったの?って、そ、そうだった・・。さなのところにレッツゴー!だった。歩きながら・・・。


「ごめんねまりんちゃん、ゆりなが早すぎて見失っちゃったよ・・。」

はあ、ほんとゆりなは早いんだから。廊下中に【廊下は歩こう!】ってかいてあるのに。きっと今頃先生に怒られて、先生の気持ちでも探ってるんだろうなあ。まりんちゃんは後から落ち着いて歩いてきた。

「ううん。べつに大丈夫。ほら、そろそろ2組よ。」

ということは・・・。

「ゆりな。やっぱり先についてたんだ。」

「えへへっ!なんか先生に怒られて途中から歩いてきたんだけど・・。あ、まりんお願い。さなをよんできて。」

すると、まりんちゃんは、少しくもった顔で言った。

「でも、さなとは話しづらいっていうか。」

「だいじょーぶ!友達っていうのはね、話さないとなれないんだよ。私はこの学校中の人と友達だから。それも、学校中の人とたっくさん話したからなんだよ~。」

え!そんなにいたの!?ということは・・1年から6年まで全員と友達ってこと?一学年5クラスで一クラス20人。ってことは、ろ、600人!一体、どうやって・・。

「600人ぐらい簡単だよー。みんなとおしゃべりすればバーッてできちゃうよ。」

もしかして私の心読んだ?

「うん。私にとっては丸見えだよ!まりん、さなはお人よしだから、まりんが普通に声をかけても大丈夫!さなと友達になりたいんだよね。それにごめんなさいって言いたいんでしょ?」

「それはそうだけど・・・。わかった。とりあえず話してみるわ。」


「じゃあまりん、頑張って!」

まりんはうなずくと、教室に入った。ありさはさっきからずっと600人って100人が6つだよ?とか、学校中ってことは先生たちとも友達なんじゃ、とか、とにかくテンパってるのか・・な。あははは・・。

「さな、ちょっと来てくれるかしら。」

「うん。」

さなって本当にお人よしだな~。

【また何かやられるのかな。まりんの気晴らしになるのなら。】

「どうしたの~まりん。また何かやるの?今日は何やるの~?」

あちゃ~。クラス中の子がまりんたちに興味津々。よーし!

「ありさ、そんなこと考えてないでさ、クラス中の子を全員違う方向に注目させて!秘書でしょ。」

「それはゆりなが勝手に決めたんでしょ。ええと、よし。はーー、」

ありさは息を吸って教室の窓のほうを指さしながら言った。

「あー!あんなところに空飛ぶ雲がー!」

「え、どこどこ?って、それ普通じゃん。」

クラス中が窓じゃなくてありさに注目!この瞬間にわたしは一瞬教室に入ってまりんたちの手を引っ張った。

「まって、ゆりなー秘書を見捨てないでー。」

そうは言ってもね・・。空飛ぶ雲って・・。

 私たちは女子トイレにとーちゃーく。

「よーし、ここまで来れば安心。さ、まりん。」

まりんはさなの目をみて言った。

「さな、ご、ご、ゴリラ、あだ名はゴリラでいいかしら?」

「うん。いいよ。」

まりん・・・。意味わかんないよ。

「ちがうそうじゃないの。ご、ご、ごごめ、ごめええめええ。めー、羊ってあだ名もいいわね。私の悪かったテスト羊だから食べてもらおうかしら。」

まりん、それはヤギだよ・・。

「そういうことじゃない。あだ名とかどうでもいいし。だから、ごめ、ごめ・・ごめめ。」

「無理して言わなくていいよ。まりんの気持ちわかったから。」

「え?」

さなの今の声と今の表情は・・。

【ごめんっていいたいんだよね。私わかってるから、まりんが本当は優しい子だって。】

そっかー。まりんがさなにあたってたのは、さながおひとよしであたっても受け止めてくれるからだったのかも。

キーンコーンカーンコーン

わっ。予鈴だー。

「さあ、教室戻ろう。」

さなは笑顔で2組のほうに―。

「さな!ご、ごめんなさい。今までひどいことして。無理かもしれないけど、友達なってほしい!」

「何言ってるの?私たち、もう友達だよ。」

まりんはごめんなさいの時に下げていた頭を、今あげた。

「たとえひどいことをされていても、私たち、いつも一緒だったでしょ?」

「いつも、一緒・・・。」

【確かに。移動の時、荷物を持てっていったり、帰る時も荷物を持たせて私の家までついていかせたこともあった。でも、それでもさなは嫌がらなかった。それって、私を友達と思っていてくれていたから?】

まりんの心からは、いろんなことが見えてくる。

「友達って、自然にできるものなんだね。仲良く話さなくても、一緒にいるだけで友達になれるってことだね。話さないとなれないのが友達ってことじゃないのかも。」

「ありさ!いつの間に!ていうか、ごめん忘れてたー。」

「ひどい~。そうだ。さっきから思ってたんだけどさ~、ゆりなって去年転校してきたんだよね。それで600人も友達作るなんてすごいな。前の学校は何人と友達になったの?小1のときから6年生とかと友達になったりしてたの?」

「え?あ、ああ、そーだね。よ、よーし!まりん、キモチ相談所メンバーになるよね?」

「まあね。ゆりなのおかげで気持ちを伝えられたのだから、恩返しの一つぐらいね。」

じゃ、次は3組へゴーゴー!と、その前に。

「5時間目始まるー!」

私たちは【廊下は歩こう!】の貼り紙の横を何度も通りながら、それぞれの教室へ走っていくのだったー。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ