ゆりな登場!
私はありさ。今悩んでることがあってね。
「あ、おはよう!すず!」
私はまっさきにすずに挨拶した。
「おはよう・・・。」
やっぱり。私が挨拶するといやな顔をしているような気がする。でも、時々いやな顔をして、時々笑顔を見せる。これって私のことを嫌っているのかべつにそうでもないのか、よくわかんない。
「ねえねえ、すず、今日も一緒に帰ろ!」
少しでも距離を縮めないと友達でいられなくなる。
「うん、いいよ。」
すずはやさしい。でもよくわからない。さっきはいやな顔していたのに、今は気をつかっているのか、変に笑顔。
「ねえ、休み時間なわとび大会の練習しよ!もちろんしてくれるよね!私一人だと心細いし、友達だもんね!」
「え?あ、うん!一緒にやろ。」
ん?さっきいやな顔した?気のせいか。
「じゃ、私かばんかたずけないと。」
すずが振り向いた瞬間、私の体を押し倒した。だけどすずは気付かなかったように自分の机に向かった。すずって私のことどう思ってるんだろう?
キモチがしりたい・・・。
「よーし!今日も学校がんばるぞー!」
私はゆりな。テンション高いっていわれるけど、私だって秘密の一つや二つぐらいあるんだから!
「一組よろーと。」
真っ先に気になったのはありさの顔色。
「どっうしったの!?」
「あ、ゆりな。ううん何でもないなんでもない。ははは。」
いっけん元気そうに見えるけど、私にはお見通し!人の心を知りたいんでしょ?とは大声でいえず。
「ねね、ちょっと授業始まるまで時間あるから来て!」
「え?どこに?」
「なるべく人がいない廊下!ささ、いこいこー!」
私はありさを引っ張り出してひとけのない廊下についた。
「ねえ、ありさって、誰かの気持ち知りたいときあるでしょ!?」
どきっ!私の心の中で痛むような弱点をあっさりゆりなに言われてしまった
「な、なんで?」
「うーんと、そういう目をしてたからかな?」
「え?どうして目だけでそんなことがわかるの?」
「秘密だよ!私簡単にいえばスパイだから!」
はあ・・・。
「冗談もよしたら?私もっとすずと話して、仲良くなりたいの。」
「ふむふむ。それが原因か・・・。」
は?急に何そのまじめな顔・・。私はだんだん本当にゆりながスパイなんじゃないかなって思えてきた。
「今、もしかしたらゆりなスパイかも!っておもったでしょ?」
急に明るい笑顔に戻った。
「スパイなんかじゃないにきまってるじゃん!そもそもこの時代の小学5年生にスパイとかありえなすぎっ!」
・・・だまされた。
「じゃあまず本題にはいろうか・・・。ここからはまじめな話。私、実は人の心を読める力をもってるの。だからといって心が見えるわけでも聞こえるわけでもないけど。ま、音楽で言うところの絶対音感ってのと同じ感じ。一回しった感情はすぐ覚えて、顔色や声色だけで他人の思ってることがが読み取れるの。」
そんな人いたんだ。
「あ!今そんな人いたんだって顔した!」
「ど、どうしてわかったの?」
「だから言ったでしょ。私はそういう力を持つの。そして、その力を生かして私はキモチとの向き合い方を悩んでいる人に教えてるってわけ。今日がはじめてだけど。スパイという言い方は間違ってはないんだよね。私は相手の気持ちを探るんだから。相手にはないしょでね。」
「すずの私に対するキモチもわかるの?」
「もっちろん!ただ、相手の気持ちを自分でも考えないといけない。私以上じゃなくていいけどね。まず、」
自分の発言が正しいのか常に考える!
まずそれを言われるのが自分だとどうか考えたりする。
「これはどう?」
う~ん。特に無いと思うな。人を傷つける言葉はつかってないはず。
「うん、その顔色なら大丈夫ってことだね!んじゃ、次!」
うっとうしいほど話しかけないこと!
その言葉を聞いて私はちょっと心当たりがあった。
『もちろんしてくれるよね!私一人だと心細いし、友達だもんね!』
なんだか次々と相手の聞く暇もなく話し続けちゃったかな。
「相手の聞く暇もなく話し続けちゃったって顔・・・。じゃ、次ね!」
相手の話を聞こうとしないで勝手に話を進めないこと。
またさっきの言葉が頭の中に入ってくる。
「どうやら同じ言葉が頭に入ってくるのね。じゃあ、最後」
絶対きてくれるよね?などという相手への信頼の言葉を強くかけないこと!
私、だめなことばかりやってる。今日だけでもこんなに当てはまるのに、それを毎日なんて。
「でも、相手に嫌われてるかまだわからないでしょ?私が今からキモチを探り出すから、放課後になったらまたここに来て。」
ゆりなの瞳は輝いていた。