VRMMOの錯覚
箱から出して手にしたモノは、今流行のゲーム機。
弟の話では、かなり面白いらしい。
自慢したがりの弟が「ネタ割れになるから」といって我慢して話さないところを見ると、本当に面白いのだろう。
私としても直ぐに始めたかったのだが、それなりに実生活が忙しいのでそう言うわけには行かず、ゲーム機を買っても始めることが出来なかった。
だが、いろいろと珍しいことが続いたお陰でゲームをする時間がとれるようになったので、ここは一つ、このゲーム機を始めてみようと思った。
このゲーム機、実は一つのゲームしかできない。
VRMMO「アドヴァンスファンタジア」。
それはどんな内容かよく解らないけど、弟の簡単な説明で言えば「指輪物○みたいな世界にRPGゲームで色付けした」ようなものだそうだ。
個人的には指輪○語という方向性だけは理解できるのだけれども、RPGといわれると困る。
私の経験は弟の横で見学していた程度しかないのだ。
これってペーパードライバー? と弟に聞いてみたら笑っていたけど。
其れはさておき、このゲーム機を始めるときには予め弟が一報をくれと言っていたので「LI○E」してみると、即座に「俺も入るから、三分待ってくれ」と返信があり、どたどたと廊下を走る音がする。
なんだ、家にいたのか、と笑いがこみ上げてきたけど、まぁいいかと説明書を読みつつ時間を待った。
程なくして弟から「準備OK」というトークがきたので私も熟読したマニュアルを閉じてゲーム機のセットを始める。
弟曰く、家のことでいろいろと世話をかけてる替わりに、向こうでは世話をするとか言ってる。
そんな接待プレイなんて面白くないんだから、楽しくやろうね?
ログオンチュートリアルの後、いろいろと考えて「テクニック」を初期装備でそろえる。
これは職業を構成する重要な選択だってマニュアルに書いてあった。
つまり、このゲームでやりたい職業をするために、「テクニック」を自分で考えて構成すると言うこと。
本当に面白くて自由なゲームだと思う。
とはいえ、「テクニック」が無くても出来ることがあるそうなので、その辺は頑張ればいいとか。
どう頑張るかも自由というのが楽しい話。
だから自由自在に取得した。
「では、《アドヴァンスファンタジア》の世界をお楽しみください」
「はい、長いことありがとうございました」
「いえいえ、こちらも大変楽しませていただきました」
チュートリアル担当の方に深々と礼をして、私は光に包まれた。
うん、これからゲームが始まるのかと思うと、なんだかわくわくする思いだった。
俺の待ち人のキャラクター名は「ねい」。
ログインを同時にしていろいろと教えてあげようと思っていたが、よくよく考えればチュートリアルがあったのを思い出して苦笑い。
あの人は律儀だから、たぶん全力でチュートリアルを進めているだろう。
あの手のチュートリアルはやらなくてもゲームに支障ないモノなのだが、律儀すぎるあの人は誠心誠意頑張ってしまうことが理解できる。
そんな感じで、はじめの町で待つこと10分。
ログイン用のポータルが光のを見て俺は歩み寄った。
現れたのは予想通りあの人。
つうか、見た目に全く修正を入れていない、リアルなままのあの人だった。
「・・・もしかして、ゆーくん?」
「もしかしなくても、祐司だよ」
「うわぁ、派手な格好だねぇ。あと見た目がちょっとまっちょだね。細身なリアルに不満があって?」
「そういう『ねい』さんも、なんか背が高くないか?」
「うー、ちょっとぐらい修正はいいでしょ?」
初期装備のままふくれっ面の『ねい』さんは、実のところ照れてる。
多分、キャラ名で呼ばれることになれていないから、だろう。
「じゃ、まずはこの町でも案内する?」
「うんうん、こういうVRMMOって初めてだから五感で感じたいよね」
「りょうかいりょうかい、屋台でも巡るか」
「おー!」
普段にはない無邪気なハシャぎように苦笑いしつつ、着々と届くメッセージメールの量に頭の痛い思いの俺だった。
事の起こりは、ユウジがゲーム内デーとしているという話が掲示板に上がったこと。
外のネットで其れを見つけた俺たちは、超急いでログインしてはじめの町まで急行した。
確かに今日から何日か前線からはずれるって言う話を聞いていたけど、それがネット内デートが目的とあっては、俺たちのギルド「孤児」の規律に関わる悪事だといえたから。
そんな怒りの行軍には「独立独歩」「男清同盟」「寛恕」などのギルドも加わり、もうPvPじゃなくて個人排除だ、と言うレベルまで膨れ上がった人員が町を包囲したときにその光景が見られた。
はじめの町の草原で、きゃっきゃうふふと狼狩りをしている「ユウジ」と美女の姿を!!
「・・・ころす」
サブマスが前線装備のままの強化弓を構えたが、俺は止めた。
「まて、真相はまだ分かっていないんだ。殺るのはその後だ」
「・・・チッ」
本当に吐き捨てるように舌打ちをするサブマスを押さえて、どろどろと渦巻く黒い感情を垂れながす自分の心に蓋をして、どうにか笑顔で二人の空気に楔を入れた。
「よ、ユウジ。こんなところでデートか?」
ぶ、と吹いたのユウジ。
そしてなぜか怒りの美女。
なに? と首を傾げたら、なんと・・・
「私は祐司の兄です!!」
「「「「「えええええええええええええ!!!!」」」」」
俺どころから周辺に隠れていた全員が現れて、驚きの声を上げていた。
キャラ名「ねい」さん。
ユウジの「お兄さん」だそうだ。
それも、リアルスキャンで修正なし。
どんだけよ!? と驚きの声が挙がる。
なにしろ、これがリアルなら、化粧だけで女子校に転入しても怪しまれないレベルだ!!
「もう、そんなわけないでしょ?」
「「「「「あるあるあるある!!」」」」」
とまぁ、ネット内デートは誤報だったわけだが、それ以上に驚愕だったというわけだ。
が、実は、事件は始まっていなかったのだ。
ある程度VRMMOの気分を味わった「ねい」さんは、まだギルド登録していないというので登録窓口に行ったのだが、そこで大騒ぎが起きた。
曰く、ギルド登録契約書が無茶無茶な内容がかかれている、というもの。
見せてもらった内容は、なんと初期状態で報酬の半分がギルドの取り分で、そのさらに半分を受付嬢のモノにすると言うもの。
えー、と周囲を見ると、驚いているのは男性職員達ばかりで、女性職員は荷物をまとめ始めた。
これは何かあると感じた男性職員が取り押さえると「痴漢」だとか「強姦」とか叫び始めた。
その騒ぎを聞きつけたらしいギルドマスターが書類を確認すると、騒ぎは一気に広がった。
実は俺たちプレイヤーの契約書は、始めの契約段階で偽物にすり替えられていて、報酬の半分以上を搾取されるか達でイジられていたという。
もちろん契約内容を見ればギルドも噛んでいるかのように見えるが、実際は女性職員達の独断であるという。
なにしろプレイしはじめで現地文字を読めるような強者は一人もいないわけで、カモ扱いだったらしい。
が、『ねい』さんはプレイ方針の関係上『言語学』なんていうクズ、ではなくて希少テクニックを取得していた上に町の中を観光した際に読み書きのレベルもあげた関係上、契約書類も読み下せたというレア中のレア。
それ故に、過去にさかのぼるプレイヤーの契約書の改竄を発見し糾弾に至ったわけだ。
どうにも報酬が少ないと思ってはいたが、こういうからくりだったとは思わなかった。
これに関わった女性職員は「全員」衛兵にしょっぴかれてゆき、ギルドマスターからの正式な謝罪が行われ、不当に搾取された報酬は全て計算して返金すると言うことになった。
しかし、こんな事件を発見した「ねい」さんにはギルド加入前だという事で報酬も報償も一切無いという話には俺たち全員がキレ、ギルドマスターに直談判したところ、向こうとしても何かしたいので加入後に用件を別途で立てて報酬に充てると言うことになった。
ねいさんは気にしなくていいのに、と笑っていたが、「アドヴァンスファンタジア」の通貨単位感覚を一変させるほどの事件だったことに気づいて欲しいわけで。
必死の説得で大きな事をしたんだと理解してもらったが、どこまで本気で信じてもらえたか解らない。
「なんつうか、ねいさんってリアルでもああなのか?」
「ああ、うん」
視線を逸らすユウジに当初おぼえていた嫉妬は消え去った。
しかし、あんな「兄」がいては真っ当な恋愛にはほど遠いよな?
「うっせー」
ログインしたときのアナウンスで、私たちは「自由」の意味を取り違えていたことに気づいた。
だって、まさか、ギルド職員が勝手に自分たちの報酬を横取りするための詐欺行為を仕掛けてきていただなんて誰が気づくというのだろう?
いや、気づいた人間がいたからこそ、このメッセージなんだろう。
『システムクエスト:悪徳ギルド職員の悪意を破れ がクリアーされました。これにより、全プレイヤーの報酬カットが無くなります。また、カットされていた分の80%までは返金されますが、それ以上はギルドの存続を揺るがす問題ですので返金されません』
しょうじき、金返せよ、と思ったけど、それでもまぁこれからはカットされないのだから良いとした。
良いとしたんだけど、最寄りのギルドによったら・・・
「ひでーよ、メイラちゃんもシスカちゃんも捕まっちまったよ・・・」
「つうかこの町の女職員も噛んでたって事かよ!」
「女子全員いないとか笑うしかねぇ」
「「「あはははははは・・・」」」
詐欺行為に女子職員が噛んでいたって言うけど、まさかギルドの女子職員全員ってわけじゃないわよね?
そう思って受付に座るイケメンに聞いてみたら・・・
「疑わしいモノ全員とらえたところ、全女子職員の80%、退職したモノも含めますと92%が捕らえられています」
大変ご迷惑をおかけしました、と頭を下げる男子職員は全員目麗しいんだけど、どこまで信用できるモノやら。
ともあれ、男連中にはガス入れとくか。
「犯罪者で返金能力がなければ、奴隷落ちよねぇ?」
「「「・・・・!!!!」」」
燃え上がる「男」ども。
まぁ、ギルドは信用できなくても、こうやってカネが回れば、そのうち世間が忘れてくれるでしょ?
つうか、さっきまで裏切られた、とかグチってたけど、いくら奴隷にしたからって安心できない相手だって理解しているのかしら?
私は理解したわよ。
絶対奴隷女が自由になるために主を殺すだけの「自由」がこのゲームにはあるって!!
「「「メイラちゃん、シスカちゃん、君たちは俺たちが助けるからねぇ!」」」
はぁ、本当に男ってバカばっか。
ログイン初日、なんだか大騒ぎになってしまいましたが、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
はじめは何が起きるのかと思いましたが、弟のお友達はみんな楽しいヒトばかりで、気を使ってくれるのが有り難い。
歓迎会みたいなモノを開いてくれたんだけど、お金はギルドマスター?さんが持ってくれたそうで、もの凄く盛り上がりました。
本当にゲームの中なんだろうか、って疑問も感じましたけど、ログイン前にセットしておいたアラームが聞こえて現実感を感じました。
「・・・楽しかったですけど、そろそろ向こうに帰る時間ですので」
「そうか、うむ。正式な登録を後日したいと思ってくれるなら責任を持って私が処理する。明日以降いつでも来てくれ」
初老で背が低い叔父様と握手して、ログアウトしたんですけど、ゲーム機をはずした後もその感触はリアルに感じられました。
翌日、家事を終えた私がログインしてみると、もの凄い数のメールとフレンド登録要請? が来ていました。
あの場所にいた方々とはフレンド登録しているのでほかの方々だと思うのですけど、なんで見ず知らずの私と? と思って。
首を傾げていると、見知らぬ方に声をかけられました。
「あ、あの、もしかしてあなたが『ねい』さん?」
「はい、私がねいですけど、誰さんですか?」
「うっわーーーー! まじ男!? 噂通りじゃん!!」
ぺたぺたと触ってくるので、不快に感じたら・・・
『ハラスメント行為を確認しました。即座に中止しなければ強制ログアウトになります』
というアナウンスとともに青い鳥が何羽も現れます。
「やべ、ごめん!! 本当にごめん!! 反省するから、反省してるからぁ!!!」
べったり土下座の女性をみて一応気分を直したところ、青い鳥は女性の上をぐるぐる回って何かを言って去りました。
「いやぁ、まじで異性ハラスメント警告がでるって事は男なんだねぇ」
全く懲りていない笑顔でこっちを見るので、思わず眉をしかめると、再び土下座。
「いや、いやいやいや反省してるの本当!」
とりあえず心底の反省を引き出せたという事で話を聞くことにした。
彼女の名前は「ジェンス」。
自称中堅どころのプレイヤーだそうだ。
「いやー、掲示板でも大騒ぎの新人プレイヤーが目の前に現れたんで、思わず手で触れちゃった」
「それを男の私が女性にしたら、リアルにまで追いかけられるようなセクハラなんですけど」
「・・・ごめん」
曰く、掲示板には「男の娘」がそのまま成長して「OTOME」に成ったかのようなリアル美女ともいえる男だと評判になっているとか。
「実物はこの程度ですよ」
「いや、噂以上!」
鼻血でも出るんじゃないかという興奮のジェンスさんだった。
で、彼女もフレンド油性メールを出している一人だとか。
「でも、見ず知らずの人とフレンド登録って、あり得ませんよね?」
「耳が痛いなぁ・・・」
とはいえ面白そうな人なので、フレンド登録をしたんだけど・・・
「で、ねいちゃん。このあと何するの?どこか行くの? 行くなら任せてよ! 新人がいけるところやいけないところ、全部まっぴんぐずみだから!」
「あー、実はあの事件のせいでギルド登録していないので、これから登録にいく予定です」
あー、と視線を逸らして苦笑いのジェンスさん。
「じゃ、面白そうだからついて行っていい?」
「いいですよ?」
というわけで、ジェンスさんと二人でギルドに行ったんだけど、なぜか見知らぬ人たちがゾロゾロとついてきていた。
なんだろう、何かイベントでもあるのかな?
いやぁ、驚いたわよ、ねいちゃん。
まじ女の子。
というか本気で美女ね、あれ。
ギルドに行くすがら色々と聞いてみたんだけど、女子力高すぎ。
料理洗濯掃除は当たり前で、手裁縫とか機械裁縫とかも得意中の得意というんだからもう、ねぇ。
現在、海外出張中の両親の替わりに家の一切を取り仕切っているそうで、大学にも休学を許可されているそうだ。
なによどこなの? 家政女子じゃないでしょうね?
「@@大です」
・・・国立の一流所でした。
で、その女子力満点なねいちゃんだけど、やっぱり色々と忙しくて、弟と一緒に買った「アドヴァンスファンタジア」を今までプレイできていなかったという。
なんという損失。
その弟は割腹すべきだわ。
「あー、弟も大変でしたから」
苦笑いの美女にしか見えないねいちゃん。
この顔を見て、プレイヤーもNPCも関わらず、ふらふらついてきてる。
なんかやばいわ、これ。
「あ、ギルドですね。・・・こんにちわぁ」
「「「「「!!!!」」」」」
気軽に声かけで入っていったねいちゃんをみて、ギルド職員が全員こわばった顔をしている。
うわぁ、ねいちゃんがシステムクエストクリアーしたの本当だったんだ。
すげぇ。
というかこのギルドでも女子職員いねーわ。
こりゃ、本格的に大騒ぎ決定。
「ねいさまですね。ギルドマスターがお待ちです。ところでその女性は同行者ですか?」
「あー、単なる野次馬。気にしないで」
私の言葉を聞いて一礼したイケメン職員は、ねいちゃんをつれて奥に行ってしまった。
それを見ていた背後の野次馬達も深いため息。
うっわぁ、男なのに傾国の美女ってかぁ。
つうか、リアルでも見てみたいわ。
こりゃねいちゃん待ちしてみようかなぁ?
土下座から始まった会見で、一応私がギルドにはいることと、その際の報酬なんかのはなしがまとまりました。
その報酬は非課税?でギルドの天引きはないそうです。
まぁ、お詫びの報酬までギルドの取り分があったらおかしいですしね。
それはさておき、ランクは最低から始まることは間違いないそうですが、今回のギルドへの貢献度を考えれば即幹部というレベルなのだそうで、早く経験を積んでくれとギルドマスターから深々と頼まれました。
とはいえ、私は討伐とか向いていない気がするので、そのへんはゆっくり関わらせてもらいます、と言ったところ、もの凄く困った顔でがっくりしたギルドマスターでした。
そんなこんなで会見を終えてギルドのフロアーに戻ると、なぜかジェンスさんと見知らぬ方々が待っていて、私の姿を見つけた瞬間に拍手をしてくれています。
「えー、っと、ジェンスさん、何事?」
「いやぁ、ほら、ねいちゃんが今回のシステムクエスト打破の立役者だって聞いたやつらが感謝したいと集まってきて大騒ぎで」
ほれ、と私を前に出したジェンスさんは声を上げました。
「ここにおわす方こそ、女NPCを駆除した我らが女神、ねいさまだぁ! 崇めたてまつれぇ!!!」
「「「「「ははーーーーーーーーー!」」」」」
なんとものりがいい人たちばかりみたいで、フロア全員で膝立てで祈り始めました。
するとなぜかシステムメッセージ。
『護民官の称号を得ました』
『女神(男の娘)の称号を得ました』
『信仰を受けるもの称号を得ました』
なんでしょう、この称号というモノは?
手っ取り早くオンラインヘルプを見てみると、大多数が認める功績に対して発生するシステム補正だそうだ。
大多数、ねぇ?
よく解りません。
「えーっと、私はそんなに偉い人間ではありませんが、このゲームにこれたことはとてもうれしいので・・・」
思わずノリで指を鳴らすと、なぜか弟が私の隣で片膝をついた形で現れました。
「ゆーくん、みなさんにお酒を。私のおごりで」
「イエス、マム」
まむじゃないでしょ、とつっこみを入れたかったんだけど、無駄に素早い弟はすでにギルドに隣接している酒場まで飛んでおり、祈っていた方々も歓声を上げて立ち上がりほほえんでいます。
うん、良いことですね、楽しいことですね。
「うっわぁ、ふとっぱらだねぇねいちゃん」
「まぁ、私の幸運のお裾分けですよ」
そう言ってジェンスさんにほほえんだところ、なぜか真っ赤になって倒れてしまった。
え、え、なんの状態異常なの!?
「ふ、ふわぁぁぁ、幸運の女神ばんざーーーーい・・・」
つぶやくように言ったジェンスさんの言葉がなぜか周囲に伝播して、
「「「「「幸運の女神にかんぱーーーーい」」」」」
と妙なノリになっていた。
まぁいいんですが。
ユウジとジェンス、攻略の要的な二人がしばらく前線にでていない。
加えて「孤児」「独立独歩」「男清同盟」「寛恕」なんかも人員不足気味だ。
そのせいで打撃力が不足していて困っている。
何が起きているんだと本人達に質問メールを出したところ、真相が知れた。
なんとあのシステムクエストをクリアーした人物がユウジの兄で、ゲームのことなど全く解らない素人で、さらに言えばおもしろい人間なのでみんなでかまいつけているのだそうだ。
確かにあのシステムクエストクリアーは助かった。
うちのフラウンも、あの返金でハウスを持てたわけだし、攻略アイテムの購入も楽になった。
というか、私たちって四分の一しか金をもらってなかったんだと絶望したのは間違いない。
このゲーム自体すらやめてやろうかとも思ったけど、続けるのもやめるのも自由、というメッセージを見て、ログアウトメッセージを見て続けることにした。
で、私も気になったのでその「兄」を見に来てみたのだが、全く見つけられなかった。
どこのどいつだ、ということで、ジェンスをとっつかまえて誰か聞いてみたんだけど・・・
「え、この子よ?」
そういって肩をたたいたのは、目麗しいたおやかな美女。
胸はないけど超スレンダー系のいい女。
あふれる女子力がバリバリ感じられる系。
って、まじ?
「はい、初めまして。ねいともうします」
おどろいた? と聞かれたからには答えるけど、
「嘘でしょ? うそでしょぉ! むちゃくちゃ美形で不自然さがない顔つきで・・・って、もしかして無修正!?」
「えーっと、モデリングは難しいので手を出していません」
赤くなって答える姿も、萌える、萌えるわぁぁ!
「結婚を前提につきあってくだぁぁぁぁぁい!!!」
思わず飛びついちゃったわ。
で、速攻で強制ログアウト。
やばいわ、これで判明決定。
あの男の娘、ぜったいにリアルでもおつきあいするわ。
えー、私は当然初めてですがジェンスさんも始めてみたそうです。
女性による男性へのハラスメント行為での強制ログアウト。
目撃した人全員で決議して「エロクイーン」と言う名で呼ばれることになりました。
あと「エロ女勇者」。
で、この強制ログアウトは死亡と同じ扱いなのだそうで、経験値の一定割合のロストとランダムでストレージアイテムの一部ロストがルールなのだそうです。
「で、この残ってるお金、どうしたらいいんです?」
「慰謝料で良いわよ、もらとときなさい」
「えー?」
なんというか、女性プレイヤーが扇情的な格好をしている理由の一端を知りました。
いわゆる誘いだったのです。
恐ろしい話でした。
ともあれ、このまま貰ってしまうのは怖かったんですが、慰謝料と言われれば手がでないわけではないので、手に入れました。
でも・・・
「この武器はいりませんよ?」
「まぁ、私が預かっておいて、買い戻させるから」
「お願いします」
とまぁ、臨時収入はさておいて。
問題が発覚しました。
初日のように初心者用の狩り場で経験値を得ようとしたのですが・・・
「・・・」
えーっと、狼さんが目を閉じて目の前で身を横たえました。
何も出来ないでいると、そこにウサギさんやらイノシシさんも身を横たえます。
まるで進んで身を差し出しているかのように。
これを倒せるほど異常な神経をしていないので、どこかに行けばいい、と起こしてあげると、インフォメーションが。
『女神の祝福:イビルウルフはホーリーウルフとなりました』
『女神の祝福:ソーンラビットはホーリーラビットとなりました』
『女神の祝福:スモールボアはホーリーボアとなりました』
・・・えーっと、つまり。
「ねぇ、ねいちゃん。このモンス達、みんなマーカーが青になって友好種族に成っちゃたんだけど、何が起きてるの?」
「えーっと、ホーリーって種族になったみたいです」
「・・・へぇ」
真っ白になったジェンスさんでしたが、この子達のつぶらな瞳にやられてモフモフ大会を開催です。
「うはぁ、たまらん。・・・でも、ねいちゃんのレベル上げが出来ないよね?どうする?」
「えーっと、まぁ、討伐は無理だって思ってましたんで、生産系で頑張ろうかと」
「そうか、うん、じゃ、生産系のクエストでもやろうか?」
「はい!」
というわけで、武器を作ってみました。
見よう見まねで弓矢の矢を作ってみたのですが・・・
『ホーリーボルト:女神の祝福を受けた矢。聖属性』
「ナンカできました」
「ふわぁ・・・」
ジェンスさん驚きの結果となりました。
ついでに弓も作ってみろという話だったので作りましたが、出来た弓も弓矢も攻撃力は大したことがなかったのですが・・・
「すごい、初期装備の武装程度の武力なのに、レイス系がバタバタ倒れるわよ、すごい」
とまぁ、聖属性と言うことでそう言う系統には無類の力を発揮しているようです。
加えて言えば、
『女神ねいの加護』
というモノが発揮されているようで、私が作った武器でジェンスさんがモンスを倒しても、私にも経験点が入ってきているようです。
ジェンスさんも初期マップで経験点が入ってきている事実に驚いており、おいしいとか笑ってます。
「いやぁ、効率厨にはたまらんアイテムだわ、これ」
「なんでしょう、このモヤモヤ感」
「まぁ、本人は倒せないんだし、いいんじゃない?」
「「「♪」」」
と、ジェンスさんとホーリートリオもうれしそうな感じなのでいいんですが。
そう、当初ホーリー化させた三匹ですが、なぜか『使徒』というくくりで私のパーティメンバー化していて、どこでも一緒状態になってます。
「これなら幸運の女神のお守りとか作れば、ねいちゃんは経験点が入ってうれしいし、お守り持ってる人はねいちゃんとの接点が出来てうれしいって、Win-Winの関係が出来そうだねぇ?」
「いやいや、一方的な搾取ですよ、それ」
「絶対売れるって!!」
売れるとか売れないとかじゃないんですが。
「最近、ねいちゃんのお陰でみんな金回りが良いから、逆に持て余し気味だし。お布施として献上させるべきよ~」
「ジェンスさん、目が銭色です」
「あはははは~」
兄、ねいがすでにログインしていた。
家のことを完全の終わらせている関係で文句もないが、二日目にしてどっぷりハマっている事実がうれしいかうれしくないか微妙だった。
部の会議で遅くなったのだが、同じく遅くなったはずの奴らもすでにログインしているのが悔しい。
適当なネット喫茶から入っているのかもしれないが、その情熱はどこか別のところに持ってゆけといいたい。
奴らの目的は、間違いなく「ねい」だ。
目麗しい兄とお近づきになりたいという感情は理解するが、リアルBLなんか許せるはずもない。
『あ、ゆーくんログインしたね。ちょっと試して欲しいモノがあるから、はじめの町の鍛冶場に来てくれる?』
ログインして直ぐにウィスパーが飛んできた。
なんだか「ねい」さんも、色々となれてきているようだ、と笑いがこみ上げてきた。
それはさておき、初日のような狩りではなく鍛冶場か、とその広い感性に驚きを感じたが、鍛冶場ではもっととんでもない驚きが待っていた。
「・・・ねいさん、これは?」
「うん、私の仲間達」
「「「♪」」」
初期のモンスター、モンス達がなぜか町中にいて、さらに言えば友好種族の青ネームになっている。
識別してみると、三体ともに『女神ねいの使徒』となっており、兄が飛んでもプレイ中なのが伺える。
「でさ、ユウジ。これ試して欲しいんだわ」
兄の隣にいたジェンスから、ミサンガが渡された。
識別して・・・噴く。
『女神の加護ミサンガ:幸運値×10』
どこの課金アイテムだぁ!?
「あははは、そう思うよなぁ、うん」
なんでも、最初は「女神の加護」ってステータスのチェックのために色々作ってみたそうだ。
が、作れて出来た内容がバラバラだったため、それなりに判別するために一定の能力で作れる何かを、となったという。
で、リアル能力である裁縫関連で、ということで作ったのがミサンガ。
出来たのは安定の「幸運値×10」。
はっきり言えば、恐ろしい。
一応重複装備は出来ないそうだが、一個つければ十分だ。
「・・・で、この似非課金アイテムの結果を知りたい、と?」
「んー、まぁ幸運値よりも加護のほうかな、知りたいのは」
「そうなんよ、ユウジ。最初に作ったこっちもな・・・」
とジェンスから渡された、素人臭い弓矢。
識別して膝から落ちた。
だって、
『ホーリーアーチャー:聖別された弓と矢』
『女神ねいの加護:聖属性で討伐された対象を聖別する。これにより加護された経験点が使徒と女神に与えられる』
おいおいおい、使徒って何だよ!
そう思って識別して・・・、そうかこの兄の作ったモノをつけてると『使徒』扱いか。
なるほどなるほど。
「・・・おおよそ理解した。じゃぁ、ちょろっと前線に行ってくるわ」
「たのんだ、ユウジ。場合によっては、ユウジ活躍がねいちゃんを守ることになるんだからね」
「おう!」
いつも以上に兄を身近に感じるこのアイテム。
もう手放せそうもない気がするのは気のせいだろうか?
やべぇ、このミサンガやばすぎる。
これを装備したあと、絶賛停滞中の「ゾンビ迷宮」に行ってみたんだが、低階層のゾンビは一撃で沈む。
かなりの確率で発生している武器への「呪い」は発生していないし、ゾンビを倒してドロップするアイテムもレアばかりだ。
ありえねぇ・・・。
腐った骨、腐った鎧、腐った短剣、てな定番ドロップが、新鮮な骨、新鮮な鎧、新鮮な短剣。
おい、運営、なめてるのか!?
それはさておき、あまりの臭さに長時間活動不能という状況の「ゾンビ迷宮」の深層まで一人出来てしまった俺は、ミサンガのデオドラント効果に感謝しつつ、どうしても開かなかったというボスエリアに入ることが出来た。
これも「ねい」様効果だろうかと首を傾げていると、空気が変わった。
これは何度も経験した「ボス」登場の感覚。
ゾンビ迷宮の主に一人でアタックとかありえねぇ、と思わなくもないが、ファーストアタック成功の大切なデータともいえるわけだ。
まぁ、動画でも撮りながらパターン研究としますか、と思っていたところで、なぜか現れるメイド。
一応、ネームは「赤」。
しかし顔は、なんか感に堪えないと言う感じ。
あれか? 殺しに耐える敵がきて感動ってか?
ということは、ヤンデレ系。
うわぁ、プレイヤーの精神を壊しにくるゾンビ迷宮でラスボスがヤンデレ系って、どんだけ悪質なんだよ、運営!!
『・・・あなたですね、外のゾンビを破壊したのは』
にっこりほほえむメイドだけど、ナンカ怖い。
まじ暗黒の気配を感じるわ、うん。
『ああ、ああ、あの醜く臭くおどろおどろしい魔物を退治したのは、あなた、ですね?』
やべ、まじで魔王クラスの何かを感じる!
『・・・このお礼をいかなようにすればよろしいかしら?』
ぶわっと空間全体に広がった「やばい」空気。
勇気を振り絞るために戯言を叫ぶ。
「これでもニワカ使徒でね、女神の加護ってのを見せたまでだ!」
いくぜ、女神ねい!
そう思って一歩踏み込んだ瞬間、なぜか「それ」が消え去った。
「あれ?」
小首を傾げるとなぜがシステムメッセージ。
『とらわれの巫女迷宮、解放されました』
とらわれの巫女迷宮?
それって、このゾンビ迷宮か?
え? なにそれ?
何が起きてるんだろう、と事態把握してみたが不明。
一応正式なクリアーだったらしく、ポータルも出たので帰還したが、クリアボーナスとかそう言うのも一切なし。
なんだか肩すかしな感じで、実験結果を報告にいったら・・・
「ゆーくん、彼女ってだれ?」
『お帰りなさいませ、使徒どの』
「え?」
ねいさんの隣には何故かゾンビ迷宮の主がいるじゃありませんか。
「ゾンビ迷宮のボスが、なんでここに?」
「「「「「ええええええ!?」」」」」
ねいさんがいるギルドロビーで絶叫が響きわたる。
「あらあら、もしかしてボスさんですか?」
『いいえ、私は巫女。女神ねいに御遣えするために生まれた、生まれ変わった巫女でございます』
「・・・こう仰ってますけど、ゆーくん言い訳は?」
とりあえず、録画した動画と併せて説明したところ、一応納得してくれた。
が
「なるほど、彼女を誘導したのはゆーくん、と」
『はい、女神様。あなたとの出会いを導いてくれた使徒殿に感謝を』
というわけで、なぜかねいさんに巫女が付き、ゾンビ迷宮は単なる洞穴に変わってしまった。
「なぜだ!?」
「ゆーくん?」
ログイン三日目。
昨日もなんかスゴいことになってましたが、今日もひどいことになってます。
まず、昨日付けで私の「巫女」になったメイドのレティンシア。
弟曰く、ゾンビ迷宮のボスエリアにいたメイドだそうです。
初見は「赤字」の敵対種族だったそうですが、私の隣に瞬間的に現れたときにはすでに「青」でした。
曰く、私に遣えるために生まれたとか。
一応、ホーリー達と同じだろうかと思っていましたが、彼女はもう少し斜め上のようでした。
なんと始まりの町に神殿を建ててしまいました。
どうやら彼女のいたダンジョンの構成要素をそのまま持ってきて再構築したとか。
その影響でゾンビ迷宮はただの洞穴に替わり、そこにいたモンスゾンビは、そのまま何故か私の神殿の職員になっているそうです。
「なんで?」
『女神ねい様の御力にございます』
まずいですね、レティンシア、話通じない系です。
こういう人って一般社会でも結構いて、アルバイト先とか大学のゼミとか、本当に迷惑。
とはいえ、本人は私のためにって動いてくれているモノだから何とも。
で、この神殿、システム側でも認めたモノらしい。
形態は「クラウンハウス」。
いわゆるプレイヤーが作った集団の家みたいなものだそうで。
構成人員は私とレティンシアだけかと思いましたが、メンバーリストが無茶苦茶並んでいます。
というかメンバーリストの欄に「所属クラウン」となっていますが、二重登録可能なんでしょうか?
『はい、女神様。いいえ、二重登録ではなく、みなさんは信徒です。別カテゴリーですね』
信徒、ですか・・・。
その信徒の中でも貢献度で階級が変わるとか、寄進だけの信徒は一般信徒とか色々と分類が書いてあります。
中でも弟は「一級信徒」「四大使徒」とかかかれてますが・・・
『はい、四大使徒とは、聖兎、聖猪、聖狼の三使徒に弟殿を加えた呼称です』
ホーリー組と同じ扱いですか、弟は。
『はい、女神様。女神謹製の聖具を身につけた弟殿は、すでに神に準じる存在であると我らは解釈しております』
痛い痛すぎだよ、うん。
単なる課金アイテム的な何カナだけなんだけどなぁ。
で、なぜかログインしたばかりの私は、ドンドンレベルが上がっている。
というか「女神ねい:女神Lv12」ってなにさ!
テクニック欄にも「祝福」「浄化」「背光」「幸運」とか色々とよく解らないモノが追加されてるし!!
『では、女神様。本日謁見を願う信徒が押し寄せておりますので、一声おかけください』
えー、っとなんでこんな事になってるのかな?
引っ張り出されたバルコニーにはプレイヤー・NPC関係なしで山ほど集まる人が見えた。
「女神様だぁ!」「うぉぉぉ!幸運幸運!!」「きたぁ!聖男の娘ぉぉぉぉ!!!」「女装美女キタコレ!!」「きれいなおねえちゃぁぁぁぁん!!」
巻き起こる歓声というか欲望まみれの怒声というか。
雪崩のような声援に、私が片手をあげると、なぜか一斉に声が止まる。
ちょっと何を言おうか考えて、追加テクニックを連続使用。
「背光」「浄化」「祝福」
注目が十分集まったところで一言。
「あなた方に幸大からんことを」
瞬間、歓声が大復活。
耳が砕けるばかりの声が響きわたり、そしてメイドの声が響く。
『これにて拝謁を終了します』
その声を背中で聞きながら、思わず肩を落とす私。
何でこうなったのかな?
というか謁見っていったり拝謁っていったり、結構ぶれぶれだね、この子。
ペナルティ開けでログインすると、あの男の娘が女神になっていた。
いやいや、何をいってるのか解らないけど。
ログインの際に「神敵認定されています。謝罪しますか?」とか出てきたので迷わず「Yes」にしてよかったわよ。
で、はじめの町で出来たばかりの神殿の拝観があるというので行ってみたら、あの男の娘が女神様として登場。
熱狂で迎えてしまった。
大興奮の中女神の祝福がされて、なんと、マジで「祝福」効果が出たわよ!!
なんと幸運倍増!!
今日一日続く効果と言うことで、急いでゾンビ迷宮の攻略に出向いてみれば、すでに攻略済み。
致し方なくゴーレム迷宮に攻め行ってしまった。
結果は、ボス前まで攻略完了。
驚くべき幸運倍増効果。
どうにかうちに誘えないものかと考えたところ、急に祝福が消えてしまった。
なんとぉ、と思わず驚いて迷宮から撤退してしまった。
で、迷宮の外でメッセージを送ってみると、驚くべき事実が判明した。
あの祝福、女神の意向にあわない思いをすると失われるらしい。
それも速攻で。
つまり、うちに誘うという行為がお気に召さないと言うことだろう。
くぅ、物欲センサー付き女神ってかぁ!?
「ほしい、絶対ほしいあの男の娘!!」
祝福なしでもいいから私の嫁に成ってくれぇ!!
VRMMOの中でも当初中堅と呼ばれていた「アドヴァンスファンタジア」。
が、正式公開後に追加されたシステムが好評となり、続々と専用VR端末が売れて行っている。
それはガチャでも課金アイテムでもない。
女神と呼ばれる存在から祝福を受けることが出来ればかなりの確率で活躍できるという、妙なもの。
祝福を受けること自体は簡単。
定期的に行われる集団祝福を受ければいい。
しかし、維持することは簡単ではない。
身勝手な行為やマナーを考えない行為、NPCへの兵と行為などの他のVRMMOで避難されるような行為を少しでもすると祝福が消失する。
さらに、その祝福を幾度も消失で失うと二度と祝福を受けることが出来なくなるのだ。
これは祝福の何を借りた強制だ、と訴えたプレイヤーがいたが、運営は真っ向から否定した。
この祝福にはシステムの医師は一切はいっていない、と。
ならばこれは何か、と問われれば、1プレイヤーの無償の行為である、と。
そのプレイヤーの名はシステムから明かされることはなかったが調べれば直ぐに分かる話。
『女神ねい』
男性プレイヤーらしいのだが、その見た目と空気のせいで「女神」と認識された希有の存在。
最初はネカマ野郎と罵倒していた者達も、その声を潜めて様々な集団に身を寄せることになる。
○私設聖教騎士団。四大使徒を頂点とした女神ファンクラブであり、直接的に守護している聖弟は聖具を身につけているという噂が名高い。そして構成員の大半は男。女性もいるが、聖教騎士団と言うよりも「もふもふ」団であることに疑いはない。
○私設聖弓護衛団。初めての聖具「聖弓」と「聖矢」を団旗に掲げる武装護衛集団。遠距離からの攻撃を得意としており、そして望遠鏡や遠視テクニックで監視護衛をしていることから「はぁはぁ腐女子団」とも言われている。構成員のほとんどは女。実は内部組織での派閥があり、「兄×弟」「弟×兄」など様々な要素があるらしいが詳しいことは語られない。
○無加護団「女神はわしの嫁」。度重なる破廉恥行為の末に加護を受けることが出来なくなっても破廉恥な結びつきを望む変態集団。掲示板常連や重度の腐女子、そして直結厨の大半はこの集団の一部と見なされている。男女比率は半々だが、この集団の男女は仲が悪い。
マニュアルにも書かれていない定番がドンドン定着してゆく「アドヴァンスファンタジア」。
この自由なゲームは、どこまで続くのか、それは誰も知らない。
「そろそろ私も狩りとか行きたいんですけど」
『モンスに相手にしてもらえない時点で、狩りと言うより勧誘ではないでしょうか、女神様』
「えぇ・・・・・・?」
現在女神陣営のホーリー種は増加中。
というわけで、思いついたので一気に書きましたw
まぁ、何処にでもある、それっぽい話を神代風にしました、ということでw