成長
「レベルがどんどん上がる・・・」
ユーキはレベル30になっていた。付与魔法により戦闘能力が倍増し、本来のレベルでは太刀打ちできない高レベルモンスターを次々に倒し続けている。更に成長速度まで倍増しているのだから、レベルアップは当然の結果だ。
「やっと俺はレベル18。このフロアのモンスターは強すぎて倒せない・・・」
ユーキは無傷だがミロンは何度か攻撃を受け、致命傷は受けていないが何箇所か巻いている包帯に血が滲み痛々しい。現在のフロアは地下6階。このフロアは竜牙兵と呼ばれる剣と盾で武装した人型骸骨がうろついている。
レベル18の人間が戦える場所ではない。
「ミロンは私の後ろで付与魔法と回避に専念して欲しい。骸骨どもは私が倒す!」
ユーキは自分の弱さを嘆き、力を求めてこの島に来ている。今までも強くなる為、毎日剣を振り続け、魔法に必要な精神修行も・・・自分の弱さを怨みながら、人の何倍も鍛錬をこなしてきた。毎日、悔し涙を流しながら・・・
レベルがどんどん上がり、体に力が溢れてくる。自分の力に酔い、欲しかった力に歓喜し、修羅の如く敵を倒す。
「残念だ。この部屋には敵はいないか」
倒すべき敵を求め次の部屋に入った直後、部屋全体からギシリと不穏な音が響く。ギシリギシリギシリと不穏な音の間隔が短くなり。
・・・床が崩落した。
轟音と共に足元の床が崩れ、無数の岩盤とミロン、ユーキは地下7階へと落下した。
ユーキは付与魔法で防御力が上がっていたこともあり、落下による痛みで全身が悲鳴を上げていたが立ち上がることはできた。崩落による土煙で視界が悪い。「ぐっ・・・ううっ」近くでミロンの呻き声が聞こえる。
「ミロン!無事か!」
土煙が収まりミロンを見つけることができた。ミロンは巨大な岩盤に下半身が潰され、血まみれで倒れている。
岩盤を退かし怪我の様子を確かめるが、両足が完全に潰れ治療のしようがない。出血も激しく当たりは血の海だ。
死んでしまうのも時間の問題だろう。
「すまん・・・ミロン。力に溺れた私の慢心が原因だ。巻きこんでしまった君を守ることを最優先にすべきだった・・・」
「・・・ユーキ・・・全部、自分の性にするのは悪い癖だよ・・・落とし穴で怪我をした俺が悪い・・・だから、自分を責めないで・・・ダンジョンは寒いね・・・疲れたから、少し寝るよ・・・」
ユーキは自己嫌悪で思考停止に陥りそうだったが必死に思考を続けた。ミロンは赤ちゃんの頃に死にかけたが、スキルを使いシロさん進化させ助けてもらったと言っていた。今回も同じことが起これば助けることができるのではないか・・・
推測でしかないが今は何にでもすがりたい。ユーキは鎧を脱ぎ、インナーをまくり上げ、大きくはないが張りがあり、形の美しいおっぱいを露出させた。意識を失ったミロンの口に乳首を含ませると無意識だろうか?チュクチュクと吸い始めた。
・・・徐々に周囲が淡い光に包まれ始めた。2人を中心に魔方陣が現れる。光は徐々に強くなり、ユーキは眩しさに目がくらみ一時的に視力を失った・・・
光と魔方陣が消え、視力が戻ったユーキは自分に溢れる力と魔力に気づく。とりあえず、乳首に吸いつき続けるミロンを外し、ジョブカードを確認した。
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ジョブカード
名前:ユーキ クラス:勇者 レベル:50 筋力:A 体力:A 敏捷:A 魔力:A
スペル:回復魔法ランクB 名称:大ヒール
効果:通常ヒールの10倍の回復力。どんな怪我も治癒する。
スペル:雷魔法ランクB: 名称:大サンダー
効果:通常サンダーの10倍の威力。麻痺の追加効果あり。
スキル:ランクS 名称:勇気の象徴
効果:全能力2ランク上昇、全ての特殊攻撃、魔法に対する耐性(大)
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「ぐふっ!」おっぱいをしまうのも忘れ、ジョブカードに見入る。
(勇者は何百年に1人生まれる伝説のクラスだったはず・・・レベルと能力が倍増した・・・ランクBスペル2つ、ランクSスキルを習得か・・・何だこれは・・・)
いつまでもジョブカードを眺めていたかったが、ミロンが痙攣を始めたことで現状を思い出した。
「大ヒール!」
ユーキは試しに覚えたばかりの回復魔法を唱えた。効果は絶大でミロンの潰れた両足が元通りに再生した。意識は戻っていないが顔色も良くなりスヤスヤと寝息が聞こえる。
「私はついに伝説の勇者の力を手に入れた!ふふっ。救世主たる勇者の力。凡愚共を導く力か。ふふっ」
ユーキのクラスチェンジ(とミロンの命を救った)喜びが一区切りつき、とりあえず丸だしのおっぱいをしまうことにした。
「何っ!?」
鎧の胸当てを付けようしたが入りきらない。何度やってもムニュムニュと収まらない。インナーの中を改めて覗いてみたが、かなり大きくなった双丘がプルンと動く。胸当ての留め具が止まらなくなったが鎧の防御力以上のものが手に入った。
「ミロン、グッジョブだ!」