ダンジョンへ
ユーキは飛びかかってくる小型の動く石像ガーゴイルの攻撃をバックステップでかわしロングソードで一撃で粉砕した。これで10体目だ。ガーゴイルは石像と見分けがつかない。不意打ちを受けやすく、石の体は斬撃に強く剣での破壊は困難なはずだが無傷でガーゴイルを撃破していく。ユーキの実力では一撃破壊は困難だが、国宝の装備とミロンの付与魔法の効果は絶大だった。
ダンジョンに入り2時間が経過していた。現在は地下3階。目的の武器は地下10階に封印されている。探索は順調に進んでいた。
(ミロンの付与魔法は凄い。私の戦闘能力が倍増している。成長速度も異常に早くなっている・・・)
この2時間でレベル15から25にレベルアップしていた。今までの経験では1レベルアップする為に1ヶ月以上の鍛錬が必要だったことを考えると異常な成長速度だ。
「ミロン。君の付与魔法なんだが、どんな効果があるんだ?戦闘能力と成長速度がアップしているようだが」
「うーん・・・よく分からない。自分には使っても効果がないから。シロさん以外に使ったのはユーキが初めてだし」
「何?分からないとはどういうことだ。ジョブカードを使えば自分のスキルとスペルの効果が分かるだろ」
「・・・ジョブカードって何?」
「自分のレベル、能力値、スキル、スペルが確認できる魔法のカードだ。説明するより使った方が分かりやすい。早速だがこのカードに名前を記入してくれ」
ミロンがカードに名前を書くと文字が浮かび上がってきた。
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ジョブカード
名前:ミロン クラス:魔法戦士 レベル:17 筋力:G 体力:E 敏捷:F 魔力G
スペル:付与魔法ランクS 名称:戦乙女の武装闘気
効果:攻撃力上昇、防御力上昇、成長速度上昇、上昇率は1.7倍(レベル÷10倍)
スキル:ランクS 名称:大いなる母への覚醒
効果:赤子のごとく乳を吸うことで対象の潜在能力を把握し、適性がある能力を限界を超え開花させる。
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「何これ・・・」カードを見たユーキは絶句した。
(Sランクのスペルとスキルを持った人を初めて見た。さすがSランクスペル。戦闘能力と成長速度が大幅アップか自分に使えないのは難点だが・・・Sランクスキルは能力の限界突破!こんなものは伝説や伝承の中でしか聞いたことがない!)
「俺は17レベルか。ユーキは少し前に25レベルになったよね。差がどんどん開いていく・・・」
「私のレベルはミロンの付与魔法で上がりやすくなっただけだ。このスペルとスキルは凄まじい。私が知っているSランク保持者は歴史に名を残した人物ばかりだぞ。スペルやスキルは低レベルでも持っているだけで特別だ。私のジョブカードを見ろ。普通はこの程度だ・・・」
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ジョブカード
名前:ユーキ クラス:戦士 レベル:25 筋力:E 体力:F 敏捷:E 魔力:G
スペル:なし
スキル:なし
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「レベルは低いけど、俺でもユーキの役に立てるってことだよね。剣の技術もないし腕力もないから、戦闘で役に立ってるか心配だったから少し安心した」
人間のレベルには限界がある。才能による個人差はあるが50レベル前後が限界値だ。ミロンのスキルはこの限界を突破できる能力だろう。ダンジョンに封印された武器とミロンの協力があれば、私は国を救えるかもしれない。ユーキの願う微かな希望が微かにだが膨らみ始めた。
(しかし、私の能力限界を突破してもらう・・・この子におっぱいを吸われてしまうってことだな・・・想像するだけで・・・)
「俺のスキルってこんな能力なのか。赤ちゃんの頃、死にかけた俺をシロさんが蛇からナーガに進化して助けったって聞いてたけどスキルの効果だったのか。あれ、ユーキの顔、真っ赤だけど。どうしたの?」
「き、、君のスキルがあまりにも素晴らしいというかアレというか・・・何というか・・・もうよい!この痴れ者め!まったくけしからん・・・」
ユーキは怒鳴りながら、ずんずんとダンジョンを進んでいった。