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寡黙な図書委員 04
仕事を分担したおかげで新山は、終業のチャイムが鳴るや否や真っ先に教室を飛び出し放送室へ向かうようになった。きらきらした表情で廊下をかけていく新山を見るたび、私は彼が充実した時間を過ごせていることに安心していた。
昼休みに放送室に向かうと、いつも所定の位置に原稿とCDが置いてある。それ以外はすっきりしているので、本当に彼が放課後ここを使うことが出来ているのか不安になるほどだ。少し気にはなったが、何も言ってこないところきちんと使うことが出来ているのだろう。
仕事にも慣れてきた5月半ば。いつものように放送室に向かう私の後ろから、誰か走ってくる音がした。廊下を走るなんて子どもじゃないんだから、と思いながら放送室のドアノブに手をかけた瞬間、声がした。