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空-ku_u-【用語集】  作者: 葵れい
登場人物 【湊】
9/89

  相楽 秀一(sagara_syuuiti)<3部>

 ・相楽 秀一、その人だった。

  2ヶ月前、意識不明の重態だった彼も、今では歩けるまでに回復していた。

 ・「大至急だって。ほら飛、早く立って! ちゃっちゃと動いて!」

  「ヘェヘェ。わーった、わーったって。ホンマお前はうるさいなぁー」

  「うるさいって何だよ。飛がちゃっちゃと動かないからだろ?」

 ・「ねえ、飛」

  「……あん?」

  「だから、何であんな事言ったんだよ。『葛雲』なんて……」

  「……ええやろ、何でも」

   ハハハと小さく笑って、飛は明後日を見ながら言う。

  「お前、まだ無理やろ。長時間飛ぶの」

  「……」

  「くるんやろ? ほんならええやないか」

  「……でも」

  「俺がいいっつってんやないか! 四の五の言うな」

 ・中継で一泊した際、飛は2人乗りに平気な顔をしていたが。むしろ秀一の方が飛に気を使っている様子だった。

  「ごめんね、飛」

  「何がや」

  そんな会話を何回か瑛己は聞いた気がする。

 ・すかさず追加の注文をしているのは秀一。空いたグラス分の飲み物まで、個人の好みを的確にオーダーしていた。

 ・言わなかったはずの秀一の言葉は、なぜか瑛己には届いた。

  ―――最近飛が、おかしい気がする。



 ・「……僕、何かしたかなぁ……」

  「……ん?」

  「僕……飛、怒らせるような事したのかなぁ……」

  「……」

  「昨日僕、ずっと考えてて……。僕、トロイから。いつも飛の足手まといになるような事ばっかりだし……この前も、一番に撃たれてあんなふうになっちゃったし……」

  「……」

  「ここへくるのだって、基地で待ってれば飛は1人で気楽に飛べたし。『葛雲』なんて使わなくてもよかったのに……」

  「……」

  「でも僕……怖くて……」

  「……怖い?」

  「1人でいるのが……」



 ・「秀一はどないしてるんやろ」

  秀一はまだ1度も湖の方には顔を出していない。

 「祭りを見てきます」と、1人街に残った。

 ・「いってらっしゃい」

  「おう」

  「楽しみにしてる」

  「おう」

  「ここから見てるから」

  「ああ」

  「飛」

  「ん?」

  「……ううん、何でもない」

  「何や」

  「何でもない。本当に。……頑張って!」

  「……任せとけ」

 ・「飛ッッッ!!!!」

  彼の異変をすぐに、秀一は気づいた。

  最初から、飛の飛行はおかしかった。

  (いつもの切れがない)

  「誰か!! 飛空艇を貸してください!!!」

  知らず、秀一は叫んでいた。

  「誰か!!! 誰か―――!!!!!!」

 ・「飛ッッ!!!! 瑛己さんッッ!!!!」

  担架に運ばれる飛と瑛己を。

  秀一は滅茶苦茶になって追いかけた。

  「相楽君!!」

  「総監!! 離してッッ!!」

  「落ち着け!!」



 ・「飛」

  こんな時、飛がどこへ行くのか。秀一には思い浮かばなかった。

  (いや、)

  むしろ。

  飛が行く場所は。

  「―――!」

  1つしかない。

  バカだ、僕は。そう思いながら秀一は再び走った。

  格納庫へ。

 ・1歩。秀一が踏み出そうとしたその時。

  飛は突然その拳を振り上げ。

  自分の飛空艇を、殴りつけた。

 「―――ッ!! 飛ッ!!」

 「アァアアアアアア!!!!!」

  その右で、機体を何度も何度も。

  殴られたバックミラーの鏡が砕けた。

  破片が飛ぶ。拳が切れる。けれども飛は殴るのをやめなかった。

 「やめてッ!!!! 飛!!!!」

  その体に飛びついた秀一を、なりふり構わずふっ飛ばす。

 「アアアアアアァァァァアアァァアアアアァァア!!!!」

  秀一は尻餅をついたが、すぐさま立ち上がり、またその腕にしがみついた。

 「やめて飛!! お願いだから!!!」

 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

  飛の息が上がってる。けれどもそれは、尋常な様子じゃない。

  体当たりに近い方法で飛を地面に押さえ込む。

 「はぁ、はぁ、はぁ……」

 「飛」

  秀一は必死にその肩を抑えた。

 「退けッ……!!」

 「退かない!!」

 「……くそったれッ」

  秀一は飛の胸に顔を埋め、必死に、飛の心が静まるのを待った。

  そして。

  ようやく飛の腕が弱まり、呼吸も少し落ち着いてきたのを感じた。

  肩を掴む手を、少し緩めて。

  その顔を見上げようとしたが。

 「……何でや」

  飛が呟いた。

  それは、涙声だった。

 「何で、こんなふうに、なってまったんや」

 「……」

 「飛べんかなったら、俺は……」

 「飛」

  秀一は、飛の胸に顔を埋めたまま、上げなかった。

  飛が泣いている。

 「飛べんくなったら俺に、何が残るっちゅーんや」

  涙が。出てきた。

 「飛べんくなったら、俺は、どないすればいいっちゅーんや」

  秀一は、飛の肩をぎゅっと掴んだ。

  その腕が不意に動いた。

  飛は泣きながら、手を伸ばしていた。空へ向かって。

  もがくように。

  その手は血まみれだった。

  そしてそのまま、ダンと地面を殴った。

 ・そんな事言わないで、とその時秀一には言えなかった。

  ただ、痛くて。

  涙があふれて止まらなかった。

 ・海月が何度何があったか聞いても、結局秀一は何も答えなかった。

  海月はその姿にため息を吐き、とりあえず今夜はここに泊まって行くように勧めた。

  秀一は断ったが、海月は頑として譲らなかった。

 「こんな雨の中、そんな様子で、放り出せるわけがないでしょう?」

 「ごめんなさい、海月さん……」

  食堂の2階にある一室で。

  泣き疲れたのか、すぐに秀一は寝息を立てた。

  一晩、海月は母親のように彼の傍に付き添った。

 ・「……瑛己さん、僕、どうしたらいいかな……」

  「何が」

  と言ってから、自分でも馬鹿な返しだと思った。

  「飛がね、言ったんだ……飛べなくなったら、自分には何も残らないって」

  「……」

  「どうして、こんな事に……」


 ・瑛己は首を振った。「それだけあいつは、お前を大事に思ってるって事だ」

  「……」

  「それに気づいたんだろう。そしてその瞬間にできた心の隙間にヒビが入った。そういう事だろう」

  「……」

  「大事な物ができると、人はもろくなる」

   瑛己は空を見上げた。「でも、それは、弱さとは同義じゃない」

  「飛は、弱い奴じゃない。弱いから心を病んだわけじゃない。……世にいるすべての者、俺もお前も、いつだってその可能性がある」

   ちょっとした、精神のズレ。

   ただそれだけ。

   心に生まれた葛藤が起こした、少しの隙間。

  「元に戻るには、少しの時間と……あいつの意志が、必要だろう」

  「……」

  「俺たちにできる事は、それを見守ってやる事」

  「瑛己さん」

  「理解して、傍にいてやる事。……俺はそう考える」

  「……」

   もう一度、瑛己はブランコを漕ぎ出した。

   秀一は地面を見て、やがて自分もブランコに乗った。

  「できるかな」

  「何が」

  「僕に、飛を守るって」

  「もうやってるだろ」

  「……そうかな」

  「そうだろ」

  「うん……」

  「秀一、」

  「え?」

  「逃げるな」

  「……」

  「あいつから、目をそらしてやるな」

 ・「……うん、えへ」

  「……なんだ」

  「瑛己さんってさ、何だかお兄ちゃんみたい」

 ・「じゃあ途中まで一緒ですね。僕らも『天晴てんせい』だから、岐北線。一緒に行きましょう」

 ・「瑛己さんが戻れば、家族の人も喜びますよ」



 ・『天晴』に戻って以来、秀一は飛の実家に居続けている。

  それほど距離はないにも関わらず、飛の傍を離れない。

  飛の祖父・祖母は大歓迎で秀一を置いているが。

 「お前、」と飛は口を開いた。「実家、戻らんでいいんか」

 「……明日考える」そう言い続けて4日経つ。

  秀一の実家は診療所だ。両親共に医者。

  秀一にも医療の道を……そう望まれていたのを押し切って、空軍に入った。

  大喧嘩だった。

  実家に戻りにくい気持ちもわかった。

  ならなぜあの時、故郷に戻ろうと言い出したのか。

 (俺のためか……)

  飛はため息を吐いた。

 「お前」

 「何」

 「……何でもね」

 「ねぇ飛、後でさ、花火でもしない? 昼間に買ってきたからさ」

 「んー」

 「瑛己さんもいたらよかったよね」

 「……」

 「今頃、何してんのかなー」

  飛は答えなかった。

  ただ少し。ほんの少し。

  胸がチクっとした。

  ただそれがなぜなのか、飛にはまだわからない。

 ・「秀ちゃん、えらい別品さんになったやないか、なぁ、飛」

 ・「母さんがさ、」歩きながら、秀一が何の前触れもなく言った。「泣くんだ」

  「僕の髪見て。もういい加減慣れてもいいと思うのに。もう何年経つんだよ」

 ・「父さんも何も言わない……。何か実家は息が詰まる。どうしてもいてくれっていうから、2日過ごしたけど」

  「ほうか」

  「飛のトコはいいな。じじ様もばば様も優しくて。あったかくて。いいな」

 ・あの発作が起きて以来、飛の口数は明らかに減った。

  内心秀一はそれをとても心配していた。けれど決して表情には出さなかった。

  秀一の胸にはこの数日いつも、瑛己の言葉があった。

  ―――飛から、目をそらしてやるな。

 ・「……空軍におったらお前も危険な目に遭う」

  「そんなのもうとっくにわかってるよ」

  「それにお前の両親かて、」

  「それは飛には関係ないでしょ」

  「……」

  「自分が調子悪いの、人にかこけて逃げないでよ!」

 ・―――飛が空軍を辞める?

  飛の飛ぶ事への情熱。それを一番知ってるのは秀一だ。

  小さい頃からずっと。

  空が飛びたい。その一直線の思い。情熱。

  それは傍で見ていて羨ましいほどだった。

  (捨てるのか、飛?)

  確かに……このまま空軍にいたら危険が伴うのは間違いない。

  現実、かつて秀一は飛が死ぬ所を夢で見た。

  そしてそれだけじゃない……秀一はギリと歯を噛み締めた。

  自分でもわからない。

  空軍を去って欲しい。空から遠ざかって欲しい。危険な所に行かないで欲しい。

  けれどもそう思う以上の。

  ―――夢を、捨てないで欲しい。

 「それでいいの? 飛……」

  空を捨てて、それでいいの?

  翼を捨てて。本当にそれで。

 「後悔しないの?」

 「……」

  やや沈黙があって。「俺は、」

 「お前が傷つくのを、見たくない」

 「……」

  秀一は言葉を失う。

  なんだよそれ。

  なんだよ、それ……。

  不意に、秀一の脳裏の瑛己の言葉が蘇る。

  ―――あいつは、お前の事を大事に思ってる。

 「飛……」

  俯いたまま顔を上げない飛に。

  秀一は腕の時計を取って、その前に差し出した。「これ」

 「僕だって、生半可な覚悟で空軍に入ったんじゃないよ」

 「……」

 「この時計を手にするまでに……僕だって必死だったんだ。僕だって、努力して努力して、ここまできたんだ」

 「……」

 「僕にだって夢はあるよ」

 「……夢?」

 「ああ。だから」

  まだ、諦めないで。

  立ち上がって。

  この先に困難があるのはわかってる。

  でもくじけないで。

  逃げないで。

  危険な目に遭ってほしくないとは思う、だけど。

  現実から目をそむけないで。

「僕が好きなのは、」

 

  いつも空を睨みつけ。

  いつも飛びたい飛びたいと騒いで。飛べる事に大喜びして。

  どんな強い者にもひるむ事なく、立ち向かってく。

  どんな空でもどんな雲でも、貫いて。突き破って進んでいく。

  そういう、飛だから。

 ・―――相楽 秀子  1202/3/30 『天晴』出身 『湊』第23空軍基地 第327飛空隊『七ツ』所属。



 ・「秀一の本名は、相楽 秀子……そうや。女や」

  苦しそうに息を吸い、絞り出すようにしてそう言った。

  「〝秀一〟っちゅーのは……俺が昔あいつにつけたあだ名や。あいつが昔苛められとったって話はしたやろ? 町から越してきた事、医者の一人娘っていうやっかみ。あいつ泣き虫で、いつもオドオドしてて。その上未来が予知できるっていう極悪なオマケ付」

   ハハと乾いた笑いを浮かべた。だが瑛己は笑わなかった。

   ただ、苦しそうに語る飛を、眉間にしわを寄せながらそれでもなぜか無理に笑おうとする飛を。黙ってじっと見つめていた。

  「せやから俺は、あいつの事を〝秀一〟って呼ぶようにしたんや……俺はこの辺の仲間内じゃぁ、ちったぁ名が通ってたもんやから。俺の弟分や、手ぇ出すなってタンカ切って、俺はあいつの事をそう呼ぶようにしたんや。おかげであいつを苛める奴はいなくなった」

  「……」

  「それをあいつは使ってる……航空学校時代からや。あいつは1個下やったけど、男として、俺らと同じ訓練を受けてきた。……せやな、今思えば、相当きつかったやろうな」

   相当? 瑛己は眉間のしわを一層深くした。それは計り知れた物じゃない。男と偽るために女の身で、男と同じだけの訓練を受けるなど。

   瑛己とて、航空学校の訓練を思い出せばゲッソリする。航空力学等の机の上での勉強だけでは空まで上がれない。まして、飛空艇を操るというのは相当の体力も必要になってくる。

  「……」

   ある程度、上は認識していたのだろう。それが証拠に、時計は本名で刻まれている。

   黙認という形で、潰れたらそれまで。その程度だったのではなかろうか?

  「あいつは何一つ弱音吐かず航空学校を卒業して……俺が赴任した『湊』にやってきたんや。志願したら通ったって、こっちきた時そりゃめっちゃ嬉しそうに笑ってたな」

   瑛己はふと思い出す。自分が時計を受け取ったのは、総監の手からだ。それは最初の赴任先である『笹川』基地でも同じだった。

   ともすれば、―――白河は知っていたのだろう。

   秀一が、女だという事。

   瑛己の脳裏に、苦笑を浮かべた白河の顔が浮かんだ。そして、その胸中を改め思った。瑛己はため息を吐きたい気持ちになった。

  「磐木隊長は?」

  「さぁ……聞いた事あらへんから」

 ・『何やお前、ホンマにきたんか』

  『えっへっへー。明日から正式に『湊』配属だよ』

  『あー、うるさいのが来おったなー』

  『見て見てこれ。さっき総監からもったんだぁ。いいなぁこれ、カッコいいなぁー。すっごい嬉し い』

  『ブラブラ振り回してなくすなよ』

  『やっと僕、飛に追いつけた』

  『アホぬかせ。お前なんかまだまだ俺の足元にも及ばんわ』

  『うんうん。そうだね』

  『空は甘ない。ええか秀、言っとく。ここにきたからにはハンパじゃ済まんぞ。覚悟はええんか?』

  『もちろんだよ』

  『……お前の顔には緊張感がない』

  『えー、うるっさいなぁー。この顔は生まれつきなんだから、仕方ないでしょ?』

  『……まぁええわ。お前は俺の弟分やからな。ここに来てまったんなら仕方がない。俺の目が黒いうちは、何があってもすぐ飛んでったる』

  『えー?』

  『俺がお前を守ったる』

  『―――』

  『あー、めんど。お前がおる限り、簡単に死ねんやないか。空で死ねたら本望やのに』

  『……うん。アハハ、絶対だよ、飛』

  『あぁ? 任せとけ』

  『うん、うん、うん……えへへ』

  『何や、ニヤニヤと。気色悪い』

  『え、だって何か、嬉しくて』

  『阿呆。早く俺に守ってもらわんでもいいように一人前になれ。ええな』

  『うん。わかった』


 ・「ヤバイな……柔道やっててよかった」

  学生時代、他の男に負けるのはシャクと思ってこれだけは打ち込んでいた。それがこんな所で生かされるとは。

 ・「〝生きて〟欲しいのならば」

  ウツツメの目に負けない。

  その狂気に負けない。

  強く強く、放て。

  ここに存在。

  ここに全神経。

  魂を。今燃やせ。

  ―――烈火のごとく。

 「あなたこそ、動くな」

 「……ほう」

 「本気です」

  確かに。秀一の持つナイフは見事に頚動脈を中心に得ている。

  ウツツメはニヤリと笑った。

 「これは愉快」

  されど。

 「それで、次の一手をどう打つ?」

 ・「飛ぶか、青き小鳥」

  「……」

  「その身に生えた翼は、いずこまで飛べる?」

  ククと笑うウツツメに対し。

  秀一は初めて、笑った。

  「望む限り、どこまででも」

  強い笑みだった。

  その笑みに、ウツツメでさえ見とれた。

 ・―――例え今ここで死んでも。

  行くから。必ず。

  飛の所へ必ず。

  笑った。

  笑って。

  目を閉じた。

 ・―――俺がお前を守ったる。

 「あ」

  蘇るのはあの日の映像。

  『湊』に赴任したその時、飛が言ってくれた言葉。

 (僕はあの時)

  嬉しかったんだ。

  たまらなく。

  嬉しかったんだ。

  そしてあの時僕は誓ったんだ。

 「飛」

  自分を抱きしめる飛を。秀一もその身を抱くように、その背中を掴んだ。

 「空軍を辞めるなんて、言わないで」

 「……え?」

 「飛、お願いだから。空軍を辞めるなんて、言わないで……」

 「……」

 「僕の夢は。飛に……お前、凄い飛空艇乗りになったなって。お前強いなって、飛に認められる事だから」

 「……」

 「辞めないで、飛」

  初めて、秀一は泣き出した。

  その様子に、飛は驚き、そして苦笑した。

  たった今まで捕まってたのに。たった今、死にそうになったのに。

  なのに今、言う事がそれか。

  それを今言うのか。

 「……阿呆」

  飛はポリポリと頬を掻き、その頭を抱いた。「……辞めんに決まってるやろ」

 「お前を置いて、辞められるか阿呆」

 「飛……」

 「お前はもう充分、いっちょ前の飛空艇乗りだ」




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