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ナノ
――『ナノ』。
聞いた事あると、瑛己は思った。
確かあれは、
(無凱の装甲)
普通の弾では太刀打ちができなかったあの強板。
――それを貫いた物は?
「国内でも、それが取れたのはあの土地だけだった。その資源は鉄より軽く、そして強度が優れている。まだしっかり解明されているわけでないそれを、研究者たちはこぞって」
「……兵器として利用した……?」
ポツリとこぼした瑛己の言葉に、アガツはただ彼を見つめるだけ。返事はしなかった。
だが。
「なぜあの土地だけでそれが取れたと思いますか?」
「……」
天からこぼれた光の伝承。それが降り注いだ土地。そこから芽吹く、南国の木の実。
そして取れた、『ナノ』という鉱物。
それは鉄を凌駕し、圧倒的な強度を持つ、
「まさか」
その場所でしか、『ナノ』は、取れない。
すなわち。
「天罰です」
「――」
「我々は、神より賜りし物を、兵器として利用している。公には発表されていません、ですが……それで利を得ている」
「……」
「『ム・ル』壊滅は、神のご意志でしょう。その白い飛空艇が何者かは知りませんが。その姿を見た者は皆言っている。神の化身であったと。神が滅びを望むのならば我らの道は」




