白虎
・一瞬言いよどんだ白河であったが、「『ビスタチオ』付近で目下、最大勢力として空を騒がしている空賊集団だ」
「その名も、【白虎】」
【白虎】。
瑛己も知っている。【天賦】に並ぶほどの巨大組織だ。
「かつて【白虎】はこの近海で活動していたが、【天賦】影響力拡大により、拠点をあちらに移した。今では『ビスタチオ』軍部が血眼になって奴らの壊滅に力を注いでる」
・「そうそう。あのね、【白虎】の族長は実は女だって噂もあるくらいなもんでよ」
・「写っている3人の人物のうち、1人は【白虎】の幹部として我々が長年マークしていた人物です。そしてその隣にいるフードをかぶった者こそ、【白虎】賊長・テギ(tegi)」
・フードの者と、長髪の異国人。
・――【白虎】、その艇は、白に入った黒いしま模様。そして何より際立つのが、その胴体に入った巨大な虎の双眸。
・「あなた方が追ってきた上島 昌平という男が乗っていた機体は、分析の結果『黒』の機体に間違いないとの事です。『黒』と繋がる上島、そして彼が接触していた【白虎】。捕らえた【白虎】の者を締め上げた所、彼らは『ビスタチオ』国内の空賊を連れ立って『黒』へ亡命をする計画であったようです」
「すべてが集まったとして、総数はどれほどに?」
「500は下らないですよ。どこまでが【白虎】に従うかはわかりませんがね。何と言ってもあそこは元々『蒼』を拠点にしていた。土着の空賊連中は皆、【白虎】はよそ者と毛嫌いしていましたから」
「それでも従う者はいたと」
「……そのために空軍をあおったのかもしれませんな。空軍が一気に空賊を壊滅しようとすれば、彼らも生き残るために、嫌な相手とでも手を組まざる得ない」
・ちなみに公には【白虎】は空賊間の争いで散れぢれになったという事になった。末端にはその経緯は知らされていない。誰が判断したものか、それが無難とされた。