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空-ku_u-【用語集】  作者: 葵れい
国 『蒼国』
62/89

永劫の丘

 ・沿岸に沿って歩いて行く。そしてさらに行った所で。

 「着いた」と兵庫が呟いた。そこは小高くなった丘の上だった。

  瑛己は小さく息を漏らした。

  そしてそこに、世界が広がっていた。

  まるでこの星のすべてのように……180度見遥かな、満天の蒼空。地平線がグルリと線を描き、雲が世界を翔けている。

  そしてその半分は碧色の海。崖になった向こうに、海が遥か彼方、太陽を受けて光輝いていた。それはさながら、翼を持つ者を誘うかのような。引き込まれそうな風が髪を揺らし、体の横を抜けていった。

 「ここは……」

  瞳は、世界に目を奪われたままだった。

  兵庫は懐から葉巻を取り出すと、ゆったりとした動きで火を点けた。

 「この大陸で、一番西に位置する場所だ」

  ふと兵庫を振り返る。と、その傍らに彼の背丈半分ほどの石塔があるのに気付いた。

 「色んな呼ばれ方がある……忘れられた場所、最西端の地……だが、俺達、空で生きるもんの間では、こう呼ばれている」

  兵庫はふっと息を吐くと、ポツリと呟いた。

 「永劫えいごうの丘」

 「……」

  そして兵庫は、その石塔を見た。

  その目は、空の蒼と海の碧に洗われたかのように、とても穏やかで、静かなものだった。


 ・その石塔には、こう書かれていた。

  ―――永劫の鳥 この空に 眠る



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