白河 元康(sirakawa_motoyasu)<4部-邂逅編>
・「うん、今度の辞令でね。新しく俺が行く事になったんだよ。はは。俺に勤まるのかな? 正直重荷で、最近あんまり眠れないんだ」
苦笑する白河は、以前会った時より白い物が増えたと思った。彼は晴高と同じ年だから、まだ30後半だろうに。
・「俺は来週赴任だ。『湊』の総監は歴代ツワモノばかりだからな、汚点を残さんように頑張らなきゃならん。ほら、前にいた高藤さんは覚えてるか? 今は『賛々原』からこっちに戻って、『音羽』海軍の指揮を取ってる。『湊』は目と鼻の先だから、ヘマすると飛んできてぶん殴られそうだよ。『湊』にいた頃、俺も他の連中もよく悪さするたびに殴られてたからなぁ」
・「言ってなかったけどな。今回の人事は俺が申請したんだよ、向こうの総監に頼み込んで、磐木 徹志をくれって」
・「俺が、お前を、欲しいって言ってもらってきたんだよ。頼りない総監だけどな、ちょっとまだこれは、勘弁してくれよ」
・「磐木、こっちも色々考えてんだよ。最終調整。お前の下に誰つけるか、毎日寝る間も惜しんで考えてるんだよ」
「……え?」
「お前の下だよ? ハンパな奴に任せるわけにはいかんだろう。才があって有能ないい補佐官。そういう奴がいなかなぁって探してるんだ。俺もここに赴任したばっかりだから、まだ全員の顔と名前覚えてなくて。適任者選びに苦労してるんだ。悪いがもう少しだけ待っててくれないかな」
「白河総監、それは」
たじろぐ磐木に、白河はニコリと笑った。「隊を」
「お前に1つ、任せたいんだ」
「――」
「327が空いてるだろ? そこにお前の隊を作りたい」
お前に一隊を持たせたいんだ。
・(白河)この人は晴高とは違う。兵庫とも違う。
(けれども)
人を惹き付ける何かがある。
・「案ずるな磐木。俺はこう見えても顔は広いんだ。『ビスタチオ』にも少しは伝手がある。交渉してみるから待ってろ」
・「晴高しか見えてなかったお前が、初めて気にした人間だ。何とかしてやりたい。それに俺もその男に会ってみたくなったし」
「しかし総監」
「いいから。磐木……俺はな、正直言って嬉しかったんだ。お前が俺に我侭を言ってくれた……それが嬉しかった」
「……」
磐木は唖然とした。この人は一体何なんだ?
「どうして総監はそんな、」
俺のために? 磐木は呆然と尋ねる。
それに白河は少し改まり、そして真剣な目を彼に向けた。
「俺はあの時約束を守れなかったから」
「……?」
「お前は晴高の秘蔵っ子だ。あいつが大事にしていた……だから今度は俺がお前を、晴高の代わりに助けたい。俺はあいつみたいに頼れる男じゃないし、総監なんて柄でもないんだけどな」
――でも。
「俺はお前に、できる限りの事をしてやりたいんだよ」
晴高の代わりに。
「総監……」
それが、と残りの言葉を白河は心の中で呟く。
――せめてもの罪滅ぼしだと。
「俺はお前を隊長にする。ジンというその男をお前の隊に引き入れる。――それ以外は認めん」




