~リヴァイアサンの嵐~ 第一次交戦〔前編〕
いくつもの火線が横切り、暗い宇宙に青白い線を引く。
『新人類軍』側は母艦を守る必要がない解放感によって、前線に出てきた〔AW〕の操縦者に余裕を与えている。そのために、各小隊、バディは攻勢を維持していた。
そのいい流れの中で、鈴燕華は自機を操って、向かってくる敵に斬撃を繰り出す。
「あ、あああああ――――っ!!」
ヘルメットのスピーカーにひび割れた声。相手の〔ファークス〕通常装備の操縦者の悲鳴だろう。
赤く、規格外の腕の〔ミリシュミット〕通常装備は太刀を深々と〔ファークス〕通常装備の腹部に突き刺した。操縦席を一突きだ。機体が操り人を失い、その動きを凍結させる。
燕華は特別高揚感を覚えることなく、そのまま〔ミリシュミット〕通常装備に太刀を引き抜かせ、機械の骸を捨てさせた。
「これで、三機……。味気ないじゃないか」
まともに張り合う敵がいない。『地球平和軍』の迎撃してくる覇気は、まったく燕華を退屈させるものだった。
地球を背後にして見える『リヴァイアサン』は味方のミサイルに対応してから、何かと誘導兵器によるかく乱をしてくる。『地球平和軍』があの中で残り一隻の〔イリアーデ〕と立てこもっているのを示しているようなものだ。加えて、ろくな誘導も利かないミサイルは大した脅威にもならなかった。
瞬間、警報。
燕華は操縦桿とラダーペダルを素早く切り返し、側面からのマシンガンの連弾を回避する。
〔ミリシュミット〕通常装備は大きく旋回して、撃った機体がどれか判別する。
「隊長、迂闊です」
追随するロングバレル・レールガンを構えた〔ミリシュミット〕電子戦装備が、攻撃を加えてきた敵機、〔ギリガ〕電子戦装備を撃ち抜いた。正確無比の一撃に、被弾した機体が爆発する。
「――――ッチ」
燕華は標的を失って、形ばかりの舌打ちをする。実際、僚機の狙撃でやられるようでは大した操縦者ではなかったのだろう。
燕華の〔ミリシュミット〕通常装備は、僚機を伴って一気に『リヴァイアサン』へと近づこうとする。
その動きを察知した『地球平和軍』の一組のバディが阻止に出た。
「そうだ……。もっと必死になりなっ」
燕華機は侵攻を阻もうとする二機に方向を変え、白兵戦にもつれ込もうとする。
だが、迎撃に出てきた二機、〔ギリガ〕通常装備と電子戦装備は燕華たちと距離を保ち、射撃に集中する。
「近づけるなっ! 奴は強い……っ」
「うまく、誘い込めれば……。そしたら、『幻覚』で――」
〔ギリガ〕二機の操縦者は短く言って、迫りくる赤い〔ミリシュミット〕に応戦。
「そんなもので、あたしを止められるのかい?」
燕華はへっぴり腰の応戦に、胸やけを覚える。
〔ミリシュミット〕通常装備は九〇ミリマシンガンの猛攻を軽々と避けて見せ、〔ギリガ〕二機の側面に流れていく。そこに、僚機のロングバレル・レールガンの援護射撃がさらに敵の連携機動をかき乱し、接近を容易にさせる。
「な、この――――っ」
〔ギリガ〕通常装備は僚機と離され、向かってくる赤い機体に焦りがこみ上げる。彼とて宇宙での実戦を経験し、〔ミリシュミット〕の動きも知っていた。
だが、迫りくる敵機は異質な雰囲気を放ち、その鋭敏な動きに操縦が追い付かない。
無我夢中で放たれる九〇ミリマシンガンの連弾。
燕華はまだ遠くで尻込みしている〔ギリガ〕電子戦装備の動きを視界の端に捉えながら、その射撃を潜り抜ける。機体は彼女の反応に従い、上機嫌な動きをする。
「――――ふっ」
短く、肺の中の空気を吐き出し、強張る体をほぐす。揺れるモニタと四方八方からくる負荷に、燕華の体が勝手に力を込めてしまうのだ。
そして、〔ミリシュミット〕通常装備はあと一息で燕華の間合いになる。
「クソッ、クソォオオオオオ!!!!」
迫りくる敵にあっさりと攻撃が避けられ、〔ギリガ〕通常装備の操縦者は胃から這い上がってくる異物を押さえつけるように叫んだ。
瞬間、〔ギリガ〕通常装備の連射が止んだ。弾切れだ。
「――――うっ」
「あらあら?」
〔ミリシュミット〕通常装備はその隙を逃さず、太刀の間合いへ飛び込んだ。
すると、〔ギリガ〕通常装備が苦し紛れに、背部に積んでいるマイクロミサイルを全弾放った。ポッドから吐き出されるいくつものミサイルが群れをなして、燕華機に殺到する。
「やっるぅ!」
燕華はそんな危機的状況に至って、ようやく気持ちが熱を帯び始める。
〔ミリシュミット〕通常装備が頭部バルカンを掃射し、ミサイル群を薙ぎ払う。爆発に次ぐ爆発で、二機の間に光芒がいくつも弾ける。
「ふぅ、ふぅ――」
〔ギリガ〕通常装備の操縦者は出かかる異物の味に、顔を顰めながら機体を後退させる。敵が迎撃したのは見えていた。ともすれば、あの赤色が巻き込まれたとも思えなかった。
周囲を警戒しながら、味方の電子戦装備がもう一機の敵に足止めを喰らっている方へ機体を進めようとした。
「待ってろ――――」
「待てないよ」
「――――っ!!」
刹那、警報とノイズ交じりの女の声を聴いた。そして、彼は下からくる衝撃を感じて最期を迎えた。
「ほら、タイミングを合わせないから、こうなるんだ」
燕華はつまらなそうに言って、機体を操作する。
彼女の機体は〔ギリガ〕通常装備の下に位置して、敵機の股間部から太刀を突き立て、串刺しにしていた。魚を串を通したような、モズのはやにえのような、物々しさが漂う。
「さて……」
胸の中の熱量が冷めないうちに、燕華は機体を操って早々に串刺しにした〔ギリガ〕通常装備を振り捨てる。ほどなくして、機体は爆発。破片をまき散らす。
そして、赤い〔ミリシュミット〕通常装備は、暴れたりないとばかりにもう一機の敵に突進する。
「まさかっ! やられたのか!?」
ロングバレル・レールガンの弾丸を回避した〔ギリガ〕電子戦装備の操縦者はめまぐるしく景色が流れるモニタの中に、血に飢えた獣を見た気がした。実際は燕華の機影だが、その赤い色を間違えるはずもない。加えて、それが向かってくるというのは、味方が落とされたことを安易意味している。
「嘘だっ!! あいつが、――――っく!?」
警報が彼の右耳に強くなり、側面に敵がいるのを知らせる。
〔ギリガ〕電子戦装備は、すぐに〔ミリシュミット〕電子戦装備の射線を離れ、二機同時に捉えられる位置に移動する。
「ふぅん。あれで、一網打尽にできる、と……」
燕華は加速の負荷に心地よさを感じながら、モニタに映る敵が何を狙っているのか予測する。敵機は電子戦装備。〔ミリシュミット〕二機を誘い込んで、『幻覚』を使用し、あわよくばどちらかを撃墜するつもりだろう。
それを裏付けるように〔ギリガ〕電子戦装備からの射撃が緩んでいる。燕華を誘っているのだ。
浅はかな動きに、燕華はすっかり冷めきってしまった。
「つまらないこと……」
〔ミリシュミット〕通常装備は背後からの流れ弾を回避して、背部の換装パーツに搭載されているマイクロミサイルを数発撃った。
「――――うぅ」
〔ギリガ〕電子戦装備の操縦者は、『幻覚』を気にして、直線軌道のマイクロミサイルを頭部バルカンで落とす。難なく撃墜でき、コンデンサのゲージを一瞥する。
「早く来てみろ。早く来い――――」
焦りと必殺のカードを早く使いたい衝動。操縦者の口の中で苦い味が広がる。
「――――ほらっ」
燕華の気の抜けた声に合わせて、〔ミリシュミット〕通常装備は手にしていた太刀をブーメランの要領で投げた。
ミサイルの爆発が起こした光を突き破るように、太刀は高速回転しながら〔ギリガ〕電子戦装備へ。
その一方で〔ギリガ〕電子戦装備の操縦者は目の前に浮かぶ汗の玉に視線を思わず向けていた。宇宙にいるんだな、と感慨深く思う。が、その一瞬に気を取られ、モニタに目の焦点を合わせた瞬間、何かがモニタの横を掠めたような気がした。次の瞬間、それは彼の体を比類なき力で横から押しつぶされた。操縦者は思考する時間すらなかった。
〔ギリガ〕電子戦装備の脇腹に、燕華機が使っていた太刀がめり込んだのだ。機体はその勢いを受けて、横殴りに吹き飛ばされ爆裂。
「どいつもこいつも、これだから――」
燕華はつぶやいて、〔ミリシュミット〕通常装備に背部ラックに収まっている予備の太刀を握らせる。これで替えはなくなったが、もともと消耗品だ。さして、問題にはならない。
すると、僚機の〔ミリシュミット〕電子戦装備が惰性で流れていく燕華機の横についた。
「隊長、不効率ですよ」
「……ん? くだらないな」
燕華はひび割れた味方の声に、さらに気持ちが廃れる。効率や合理性ばかり口にして、少しは気の利いた言葉を出せないのかと思う。
しかし、彼女がまだ感情的でいられることの方が僚機の操縦者には理解できなかった。鈴燕華の戦闘センスは評価できるが、客観的にハイペースなのだ。これでは、すぐにも後退しなければならない。元軍人でもある彼はなおさら、そのやり方に強い反発を覚えてもいた。
「これからは、無駄なやり口は慎んでください」
「無駄、か……。無駄、ねぇ?」
燕華は機械的な味方の声に妙な冷たさを感じながら、機体を次の獲物に向けて加速させていった。
「状況は、どうなってる?」
クロッグ・ジョーリンは遥か彼方で起きている戦闘状況を見て、焦りを感じていた。『リヴァイアサン』から数万キロ離れているとはいえ、〔AW〕にしてみれば微々たる障害だ。
〔イリアーデ〕艦橋のクルーたちは、戦闘に入って『リヴァイアサン』の管制システムを艦のコントロール下において、観測、支援、迎撃を行っている。
「現在、第一迎撃部隊が敵部隊と交戦中。しかし、大幅に戦線を下げられています! 損壊率は、約三〇パーセントと予測されます」
「艦長、敵艦よりミサイル攻撃!」
「出来るだけひきつけろ。味方部隊に当たりかねん」
クロッグは言って、ひざ掛けの延長に伸びた小さなディスプレイに目をやった。〔イリアーデ〕の稼働率は遅々として回復せず、いまだ『リヴァイアサン』から動くこともできない。〔AW〕部隊が交戦状態になって五分足らずで、部隊の被害は想定以上になっていた。このまま手をあぐねいて何もしなければ、確実に第一部隊が壊滅的打撃を受ける。
彼は苦い表情を浮かべて、決断を迫られていた。
その時、『リヴァイアサン』に飛来してきたミサイル群がアンチ・ミサイルによって狙撃された。振動、爆音こそないがかなりの数を迎撃している。すでに、前線部隊は敵艦からのミサイルに構っていられない状況下にあるのだろう。
「やむを得まい……。第二迎撃部隊を前に出せっ! 直掩、第一から第三部隊も前に出させろっ」
「それでは、こちらの守りが――――」
「このまま温存しても、戦線は下がる一方だ。少しでも、敵を押し返す」
上段のオペレーターはクロッグの厳しい顔つきに、何も言えず自分の役割に戻る。
「第二部隊へ出動命令、出しますっ」
そういうのは、通信士だ。妨害の敷かれた宙域でも、近くで待機する〔シーカー〕を中継として各部隊に可能な限りクリアな指令を出す準備を整える。
「やってくれっ」
「了解。第二迎撃部隊、発進せよ。繰り返す、第二迎撃部隊は発進せよ」
その指令に、次々と各小隊から了解のコールが彼の耳と眼前のモニタで確認できた。
「艦長、機関室より報告。あと、二時間で稼働できるそうです」
クロッグは休まることなく、上段にいるオペレーターからその報告を受けて、気持ちを引き締める。
「わかった。それまでは、こちらで持たせると伝えてくれ」
その旨を件のオペレーターは了解して、機関部に伝える。
ついで、下段にいる火器管制官がインカムでクロッグに通信した。
「艦長。アンチ・ミサイル、残りわずかです。加えて、機関砲の弾薬も底を突きそうです」
「何? なぜ、そんなに減っている」
「ここの補給がまともにされてなかったんですよ。この艦の弾薬も、先の戦いですっからかんです」
なんてこった、とクロッグはつばのかけた帽子を下げて思案する。
主砲たるビーム砲の整備もしていない。せめて、敵の牽制弾幕を張れるだけの火力がなければ、たとえ『リヴァイアサン』を出港しても敵〔AW〕部隊の高機動についていけない。
「艦長っ!!」
火器管制官の急かす声に、クロッグは静かに口を開く。
「第一部隊が引き次第、動けるものに〔シーカー〕の予備弾薬をこちらに積み込ませる。それで、マシにはなるはずだ」
そういって、彼は立体モニタのほうへ目をやった。戦況は不利。勝つには、各員の健闘に委ねるしかなかった。
ゲイル・マークスは『地球平和軍』の動きに、自軍の優勢を悟った。
立体モニタに映し出されるノイズ交じりの映像からでも、『新人類軍』所属の〔ミリシュミット〕が敵部隊を圧倒しているのがわかる。このまま攻め込まされば、『リヴァイアサン』の攻略も時間の問題となるだろう。
だが、と彼の思考は反対意見を提示していた。『地球平和軍』とて今前に出している〔AW〕部隊がすべてではないはずだ。今はこの〔イリアーデ〕からのミサイル攻撃対して、『リヴァイアサン』の迎撃システムを使用しているようだが、その弾薬が尽きれば直掩部隊か、後方に待機している部隊を前に出して流れを変えてくることだろう。
「艦長。戦闘開始から、十分経過。依然として、我が方が優勢です」
観測班の報告を受けた通信士が落ち着き払った声で、ゲイルに知らせる。
その報告は誰が見ても明らかだったが、こうして逐一確認を取るのは艦長たるゲイルの方針だ。慎重なのだ。状況の細微の変化にも対応するために、神経をとがらせている。
「わかった。観測班には引き続き、任務の続行を――――? 操舵士、艦の針路を修正しろ。重力に引き込まれているぞ」
ゲイルはひざ掛けの延長にある小さなディスプレイを見て、備え付けの通信機をチャンネルを合わせて言った。
「了解。針路、修正。『リヴァイアサン』への針路に戻します」
「気を引き締めろ。星の力は、海の波以上に難しいぞ」
ゲイルはそう言って、操舵士の返答を待ってから通信機を置いた。
艦への攻撃は皆無。戦線も押していることもあって、〔イリアーデ〕は前進することができる。
そうはいっても、人間追い詰められた時の爆発力は図りしえない。ゲイルたち『新人類軍』のような、用意周到、冷静沈着な思考を持つものでも、扱いに困るものだ。
「新型を出して、一気に殲滅するか…………」
そこまで言って、ゲイルは首を横に振って却下する。
新型の〔スカイフィッシュ〕は対艦機とも言える機体だ。目標が閉じこもっていては、大した働きは期待できない。加えて、〔ミリシュミット〕よりも稼働時間が短いこともある。
もろもろの条件を頭にそろえて、彼が理論だてているとオペレーターが声を上げた。
「敵、増援を確認! 第一部隊と接触します」
「――――ん。本腰を入れてきたのか?」
「わかりません。敵残存兵力は『リヴァイアサン』の影に隠れているので……」
「そうか。時間は?」
「はい。十五分近くになります」
ゲイルはそれを聞いて、頷いた。第一〔AW〕部隊も前哨戦で好い戦果を挙げた。ここで一気に残りの第二部隊を投入して、敵〔AW〕の数を減らすのが得策だろう。
「よしっ。第二アームウェア部隊、発進準備に入れ。主砲、牽制でいい。前線のアームウェア部隊に帰り道を作れ」
その命令、伝令は艦内各所に伝わり、てきぱきと作業が始まった。
ピコンッと拍子抜けした音が、燕華の耳元でなった。
「バッテリーはまだまだ十分だろうに……。心拍数が、跳ね上がっているからかい?」
燕華は機体を『リヴァイアサン』から飛んできたミサイルを頭部バルカンで落として、機体の回避運動に入る。そのさなかに、ヘルメットのHUDに映った身体情報を視界に入れた。
心拍数、脈拍、発汗、呼吸、体温。パイロットスーツを介してそれらの情報が分析された結果、かなりの興奮状態にあることを告げていた。しかし、彼女はまだフルマラソンの中盤を走っているような感触を持っていた。確かに息は苦しいし、心臓は破裂しそうだし、汗の冷たさも感じる。
それでも、鈴燕華はまだまだ手足を動かせるし、意識もはっきりしている。これが脳に埋め込まれた制御チップの恩恵だというのなら、彼女は初めてそれに感謝する。
「ふんっ。頭の中が吹っ飛ぶくらい激しくやろうじゃないか!」
喘ぎ交じりに燕華は言って、自機の赤い〔ミリシュミット〕通常装備を周りを飛び回る『地球平和軍』の〔AW〕一機に向かう。
瞬間、高熱源警報が頭を殴りつけるように響いた。
「――――ッチィ」
燕華機は仕方なく回避運動を取った。
敵味方問わず、周りにいる〔AW〕が蜘蛛の子を散らすように回避していく。どの機体も、危険が迫っているのがわかったのだ。
次の瞬間、目を焼くような閃光がその宙域を横断していった。ビームの光だ。圧巻ともいえる光の線に、燕華も息を飲んだ。
「隊長、敵の増援が来ます」
ビームが通り過ぎると燕華機の横にロングバレル・レールガンを構えた〔ミリシュミット〕電子戦装備がよって報告を入れる。
「増援……、いいじゃない。迎え撃とうじゃないか」
「しかし、お体のほうが――」
「それでも、男かい?」
それだけ言って、燕華は操縦桿とラダーペダルを操作して、機体を敵が集結する場所へと飛ばした。敵に援軍が来るなら、味方が来るまでの時間稼ぎをするべきだろう。
建前だけが先行して、彼女の頭に過る。そんなことのために、敵に挑むのではない。
血が沸騰するような、全身を焼かれるような、心が弾けるような――――。
そんな悦楽を、燕華は求めるのだ。身体情報はすでになりを潜めて、現在の危険性を示唆することはなかった。
颯爽と敵に向かう赤い〔ミリシュミット〕の影を、『新人類軍』の〔AW〕部隊は理解しがたそうに遠距離からの援護射撃をしている。
「無駄なことを……」
「なぜ、敵に挑むんだ? 操縦者は疲れ知らずか?」
「だが、見捨ててはおけんだろう」
そんなやり取りがあって、『新人類軍』第一〔AW〕部隊は戦闘を再開した。あくまで、第二部隊との合流までだ。そうでなければ、彼らが危険にさらされるからだ。
燕華とバディを組む〔ミリシュミット〕電子戦装備の操縦者も、仲間を見捨ててはいけないと彼女の突進を援護する。
『地球平和軍』側は操縦者の疲労と仲間を多く撃墜されたこともあって、こちらも増援が来るまで耐えるしかなった。
両陣営の増援が接触するまで、あと少し…………。




