事後処理
パソコンが大破しました(ーー;)
前々から調子悪かったですが、丁度ケータイにバックアップする寸前だったので貯めてた原稿がほぼ無くなりました。
…どうしょう(ーー;)
この度、帝都を襲ったクーデター事件は例の如く『1・08事件』として全国に発表されることになった。
死傷者125名、首相官邸大破という被害は世論を沸騰させるには十分すぎた。
新聞では連日、日頃の鬱憤を晴らすように陸軍の横暴が伝えられ、陸軍軍人はまともに外を歩けなくなった。
これに対して上層部は、陸軍全体の半年間減俸、主犯格の処刑、もしくは無期懲役と妥当な処分を下した。
しかしこれぐらいで世論は鎮静化しない、むしろ激化していった。
各地の陸軍基地で一般人の襲撃が多発し、厳戒態勢を敷かざる負えなかった。
それに反比例するように海軍の評判は上がりに上がった。
クーデター事件に対する迅速な対応が好評だったようだ。
海軍軍人が食堂に入れば全てのメニューが只になり、バスに乗れば席を譲られる。
そのような待遇が続けば慢心する者も現れるもので、海軍内でのモラルが問題になり、海軍でも厳戒令が出された。
一方、国会は荒れに荒れていた。
「この度のクーデターは陸軍の傲慢が原因である!陸軍は責任を取るべし!」
「陸軍は規模を縮小しろ!」
と与野党問わず攻撃していた。
陸軍解散しろ、などと言われないだけまだマシだろう。
陸軍は予算など取れるはずもなく、師団数を増やす所か二個師団ほど削減しなければ維持さえ困難だった。
削減して浮いた予算は、主に経済対策にまわされ、海軍も多少の恩恵を授かる事が出来た。
予算案が成立して暫くした夜、赤坂の料亭では米内、東條、真田が会食をしていた。
「今回の事件のおかげで翔鶴型が追加発注できたよ」
米内はほくほく顔で徳利に手を伸ばす。
「此方は逆にてんてこ舞いだ」
東條はしかめっ面で杯を煽る。
二人は同じ酒を飲んでいる筈だが、全く違う酒を飲んでいる様だ。
「二個師団の削減は元々するつもりだったし、ついでに厄介払い出来たからともかく、予算がギリギリ過ぎて部隊の機械化どころか車両開発すら出来ない。
いや、このままだと更に師団数を削減しなきゃあならんかもしれん」
米内はそのことを聞くと少し困った顔をした。
「それは困る。
今こっちで建造している輸送艦は車両用が多い、通常の兵員用にも出来るが改装せねばならんし、師団数が減ればその分ソ連の圧力が強くなる」
「海軍で戦車の開発は出来ないのですか?」
「この際共同開発でもなんでも構わん、なんとかしてくれ」
真田がこう提案すると東條も土下座する勢いで頼み込む。
「むぅ……、わかった、共同開発で良いか?」
この言葉を聞いた瞬間の東條の顔は、まるで雨の中拾われた子犬のようだった。