重臣との邂逅
第二話投稿です。
連続更新しましたがこれからは週一、日曜投稿にしようと思います。
「何だあれは?」
米内は車から降りて気が付いた、海軍省の建物の横に西洋風の二階建ての建物が建っており、玄関先に警備の兵士三人とやけに体のデカい男がいた、よく見ると男の方は手を上げている。
「あんな物、昨日までは無かったはずですが…」
運転手がつぶやいた、
米内はなにかあると思い、運転手に様子を聴いてくるように言った。
運転手が近づくと、
「そんな事できるはずがない!貴様は海軍を舐めているのか!!」
「舐めてたらこんなこと頼まん!」
と言い争う声が聞こえた
「あのー」
『なんだ!』
「ひっ、あ、あのすみませんが、これは何をしているのでしょうか?」
兵士は運転手を見ると渋々といった感じで、
「こいつが米内大将に会わせろとしつこいんだ」
すると男が
「国家の存亡に関わる出来事なんだ!
この国は3ヶ月後に陸軍若手将校のクーデター事件で軍部に政権を掌握され始め、日中開戦!ドイツ、イタリアと同盟を締結し、今から六年後に対英米戦に突入し、四年間の激闘の末、敗戦を迎えることになるんだぞ!?」
運転手はそれを聞くと悪寒が走った、いつも政治家を乗せているからか、政治については一般以上の事を知っている。
確かに軍部が政権を握るとろくな事にならない。
しかも、陸軍の若手将校の間で動きがある、という噂が上層部の間で囁かれていると前に聞いた事がある。
「すぐに来てもらうようお願いしてきます!」
「なっ!?」
「話が早くて助かる!」
兵士が突然のことに呆けている間に運転手はの方へ走っていった。
「なに?陸軍による政権掌握の可能性があると言っている?」
米内はまさかと思った。
たしかに『陸軍の若手将校が暗躍している可能性がある』との噂があるらしいが、あるとしても、せいぜい地方で内乱を起こして国民に支持を訴える程度だろう。
と考えていた。
しかし、万が一帝都でクーデターを起こされた場合、政府は新たなクーデターを恐れ、軍部に対して及び腰になり、政治の主導権を失ってしまう可能性は否定できない。
そう思うと背筋が寒くなった、考え過ぎかもしれないが、一度考え始めるとどうしても気になってしまう、少々怪しいがその男が何か情報を持っているかもしれない。
「わかった、執務室に連れて来るようにその兵士に伝えてくれ、勿論、まだ信用した訳じゃないから手錠を付けてくれ」
そう言いながらは海軍省の中へと歩いて行った。
米内は知らなかった、この出会いが日本、いや世界を変える事となろうとは……
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