変わる運命(最終話)
二人は、
同じ場所で倒れていた。
世界は、完全に崩壊していた。
その中心で、
小瀬栞は静かに立っていた。
彼女は、プロトカードを手に取る。
「……これが、最後」
プロトカードの力。
それは“時間”への干渉。
栞は、三年前の“あの日”を思い浮かべる。
――すべてが始まった、あの日。
白い光。
意識が、引き剥がされる。
気づけば、
玉木隼人の前に、彼女は立っていた。
「あなたは……」
玉木が戸惑う。
栞は微笑んだ。
「あなたは、
運命に逆らうことができる?」
そう言って、
彼に一枚のカードを託す。
カードの完成形。
オリジンカード。
「これが……最後の希望」
時間が、限界を迎える。
視界が歪み、
栞の身体が透け始める。
次に気づいた時、
彼女は都心のビル街に立っていた。
人々が行き交う。
笑い声。
クラクション。
「……平凡な日常」
守られた世界。
だが、代償は大きかった。
タイムリープの反動。
栞の存在は、
この世界に留まれない。
身体が、崩れていく。
最後に、
彼女は空を見上げて呟いた。
「ありがとう、玉木」
その声は、
誰にも届かない。
そして――
小瀬栞は、静かに消滅した。
[完]
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この外伝は、本編では語られなかった
「もしも、あの世界が救われなかったら」という
最悪の未来を描くために書きました。
本編の玉木、栞、後藤たちは、
ある意味で“正しい選択をした人たち”です。
でも、この外伝の世界では、
正しさは少しずつズレていき、
気づいたときにはもう取り返しがつかなくなっていました。
それでも――
誰かを想う気持ちだけは、最後まで消えなかった。
玉木は、最後まで人間であろうとしました。
後藤は、怪物になっても人間になろうとしました。
栞は、自分が消えることを知りながら、未来を選びました。
この物語に「完全な救い」はありません。
でも、本編が続いているという事実こそが、
彼女たちが残した“答え”だと思っています。
外伝を読んだあとで本編を読むと、
何気ない台詞や選択が、
少しだけ違って見えるかもしれません。
もしそう感じてもらえたなら、
この外伝を書いた意味はあったと思います。
最後に、
ここまで物語に付き合ってくれた読者の皆さんに、
心から感謝を。
Good Luck――
これは、登場人物たちへの言葉であり、
そして、今この物語を追いかけてくれている
あなたへの言葉でもあります。
また、物語のどこかで。




