影
僕はいつもは昼間に散歩していた。しかし、今日はたまたま夕方に散歩することに。
公園に着くと、小さな子供が地面をみて泣きながら走っていた。
「ママ〜!くろいのがおっかけてくる!!」
「たすけてー!」
何ごとかと思って子供を見た。
母親はクスクスと笑いながら
「それはあなたの影よ」と言った。
「わたしのもあるでしょう?みんなもあるんだよ?」
そう教えると
「でもママのはちがうもん!ボクのはついてくるんだよ!!」
母親は「ほら見て!」と走りながら説明する。
「真似っこしてついてくるでしょ?」
子供が言った。
「でも、ボクよりおおきいよ!」
とどうも納得がいっていないようだ。
母親は「たーちゃんとママの体の大きさが違うでしょ?それと同じだよ」
「影はたーちゃんを守ってくれるの」
「だから、ついてくるし一緒に大きくなっていくの」
子どもが言った。
「そうなんだ!よし!これからもまもってね!」
僕は口もとが緩みながら鼻歌混じりで家に帰った。