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第八十五話 双子の剣士レフとライ

その夜、仮眠をとるリイと周囲を警戒する俺だけの沈黙が空き家の中を支配していた。そんな沈黙のせいか、空き家の近くでコソコソ話す声が聞こえる。声は二つでおそらく男。俺は急いで、しかし静かにリイを揺すり起こす。リイもまた、寝起きであるにも関わらず、その五感で異常を察知したようだ。

「.....声を聞いて思い出しました。あの二人はショウオの街で獣狩りを営むレフとライという双子の剣士です」


「と、いうことはおそらく....」

そうして、リイは目を瞑り聴覚を研ぎ澄ます。

「ええ、間違いありません。私たちを殺す相談をしています」

こうなってしまったら、覚悟を決めるしかない。相手は獣でも影でもない。人だ。

「やるしか、ないですよね」


「ええ、レフの方が裏口から。ライの方が正面から侵入するようです」


「ありがとうございます。リイさんはレフを頼みます、ライは俺が」


「どうか、無理をなさらぬように」


「そっちこそ」


そうして、俺たちは二手に分かれる。今まさに屋内へと侵入しようとしていたライと鉢合わせた。

「お、お前は人間の方か気づいてやがったかあ、ま、お前、支援職だろ?そんなヒョロいなりで俺に勝てんのかあ?」

ライは俺に驚いたといった様子もなく淡々と剣を構える。こちらの様子を伺うように動かない。困ったな。ならば少々つついてみる。

「そんなに、慎重にどうしたんだ?俺みたいな支援職相手にビビってんのか?」


「なんだと、てめえ」

ライは俺の安い挑発にカッとなったのか俺の胴へと横凪の一撃を放つ。この時代の一般的な獣狩りの自制力なんてこんなもんだ。剛剣流の動きだ。しかし、俺はもっと早くて強いものを知っている。闇夜を切り裂くような音が響き、ライの胴が赤く染まる。しかし、彼の扱う技の威力が弱いのか、それはライの命には届かない。俺はライの剣を蹴り飛ばして遠くにやると、ライへと質問する。

「懸賞金か?」


「ああ、そうだよ、しくじっちまったがなあ。ただ、あの獣人の男は今頃俺の兄貴の剣で真っ二つさ、そのうち兄貴が来てお前もお陀仏だよ」


「それは怖いですね」

そう言いながら俺の背後から現れたのはリイだ。その手には、レフだったものが握られている。

「........クソがよ」


「どうやら懸賞金目当てのようですね」


「ええ、それでは【主人公】さん、離れていてください。返り血が飛んでしまいます」

そう言ってリイはライへととどめを刺そうとする。俺は慌ててそれを静止する。

「リイさん、ここは俺が!!」

こうなった以上、彼らを生かしておくわけにはいかない。しかし、ならば、ライは俺が最後まで責任を持って仕留めなければならない、と考えてのことだ。

「いえ、私が仕留めますのでお気遣いなく」


「でも....」


「【主人公】さんは私のために罪を被った、であれば私はあなたの代わりに血を被ります。それが、仲間というものだと私は考えます」

そう言うや否や、リイはライの頭を踏み潰して絶命させる。そのときのリイの顔は何か信念のような力強さを放っていた。

そのまま俺たちは、サカイたちが乗ってきた馬を一頭盗み、村を出た。


暗闇に逃げ込むように

うわーレフとライがごっちゃになってる!!修正します

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