第八十三話 コウナン村にて
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俺たちの乗る馬車はかろうじて整備された道を進んでいく。しかし、本当にかろうじて整備されただけである道は、日本どころか三百年後の常識から見てもただの獣道だ。そんな道を進むということは当然、馬や御者は消耗する。
「兄ちゃんたち、すまねえがこの先の村で二、三日休息をとってもかまわねえかい?」
「私はかまいません」
「俺も問題ありません」
「たすかるぜ、まあ、宿とか食いもんについては心配すんな。この先のコウナン村には俺の兄貴が村長を務める村だ。....ただ、獣人の旦那がいるとなると.......」
「大丈夫ですよ、相場よりも多めにお支払いします」
こういったことも予想して、あの盗品屋からたっぷり搾り取ったのだ。
「申し訳ございません....」
「この金は「俺たち二人の功績」でしょう?」
「はは、そうでしたね。失礼いたしました」
「よし、話はまとまったようだな。ようこそコウナン村へ」
そうして、御者の案内でコウナンの村へと入る。村長や村人は最初、リイを見て難色を示したものの、俺が相場を遥かに上回る額を提示したことですんなりと引き下がった。村は、いかにもな農村といった様子で、この地域の特産品であるダイズという豆を栽培しているようだ。家は十軒にも満たない数で、この村の全員が親戚もしくは友人なのであろうと感じさせた。俺たちは案内された空き家へと着くと荷解きをする。
「【主人公】さん、ご存知であるかと思いますが、この時代の治安は劣悪です。ゆえに財布や貴重品は眠る時であっても体に紐などで固定されるようにしてください」
「わかりました。忠告ありがとうございます」
そんな話をしていると外から何やら甲高い声が聞こえる。
「どうしたんですかね」
「......【主人公】さん、対応をお願いしても?」
「?、わかりました」
俺は戸を開けて外へ出る。そこにはこの村の子供が数名で俺たちの家の前で騒いでいた。
「やーーーい!!!出てこいよーーーー!!!」
「虎のバケモンめ!!俺が対峙してやる!!!!」
「お前も獣の仲間だな!!!」
などと言いながら騒いでいる。それどころか、石を投げてくるものまでいる。
「.........どうしたものか」
そう悩んでいると
「コラーーーーーー!!!」
子供達の背後から怒声が響く。どうやら村長らしい。
「これは旅人様、失礼いたしました。なにぶんまだ子供ですのでご容赦を.....」
しかし、その瞳の奥には俺たちへの敬意というよりは獣狩りという強者への恐怖と排他的な差別意識が見てとれた。彼は俺たちを心の奥底では人間だと思っていないのだろう。ここは切り替えて、俺は俺にできることをすることにする。
「いえ、お気になさらず。ところで、この村には行商などは?」
「ええ、ちょうど明日の昼頃、この村へといらっしゃるはずです。何かお買い求めのものがあれば、明日我々との商いの後にこの家を訪れるように伝えておきましょう」
なるほどね、目につくとこには出てくんなってことね。少々腹立たしいが、しょうがない。俺はリイが諦めてしまった理由のほんの一端に触れたような気がした。
「ご丁寧にありがとうございます」
そう答えると村長は挨拶もほどほどにそそくさと去っていく。なんなら、最後の方は走ってた。よっぽど怖いんだな。
「リイさん、明日の昼頃に行商がこの家に来るそうです」
「承知しました。では交代で仮眠を取るとしましょう、私は馬車の中で休みましたので【主人公】さんがお先にどうぞ」
「では、お言葉に甘えて」
そうして、俺たちは交代で眠りにつきつつ明日を待つ。
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