第五十八話 悪鬼羅刹 Ⅲ
「エリーナ、ザック、ジェフ......」
「........ゴルドっ!!彼らは確か....」
「ああ、【主人公】くんの前の仲間.....」
「最近手に入れたばかりのお気に入りといったところかしらね、惨いことするわね」
彼らとの三年間が脳裏を一瞬明滅する。俺を拾ってくれた恩人。彼らとの辛くも楽しかった日々が甦る。まだ、何も返せていないのに。自分の中で何かが沸騰している音がした。
俺は、今、どんな顔をしているのだろうか。
「..............殺してやるよ、エテ公」
「縺薙▲縺。縺ョ繧サ繝ェ繝輔□」
猿は俺の言葉に答えるかのように何か言うと、猿は三人の影に何やら指示を出した。
すると、三人は俺の方へと向かってくる。
「【主人公】くんっ!」
「大丈夫です、ゴルドさん。俺が三人を倒します。猿をお願いします。」
「わかった、無茶はしないように。」
「わかってますよ」
そうして、俺は三人をまっすぐと捉える。まずはザックが剣を構えて突進してくる。放つのは剛剣流特有の胴体を狙った横方向への薙ぎ払い。今まで何度も見てきた動きだ。
「そこだ!」
反射する。ザックは真っ二つになった。皮肉な話だ。今まで嫌と言うほど見て、憧れた。だから、こんなにもあっさりと倒せる。
それを見て、ジェフはナイフを投擲してくる。反射した。ただし、その時にはすでにジェフは場所を移動しており反射は不発に終わった。この影はただ人形のように動くわけではないようだ。それにしても驚くほど冷静だ。人間は怒りを通り越すと虚無になるというが、本当らしい。エリーナも俺の能力にの性質に勘付いたのか、さまざまな軌道で水魔術を用いた高圧の水鉄砲で攻撃する。これでは反射しても意味がない。この魔術の弱点は燃費の悪さや判定のシビアさ以外にも離れた位置からこのようにされる攻撃になす術がないという点もある。このままでは、ジリ貧だ。そうしたものか。..........そんなとき俺の頭の中にとある言葉が浮かんだ。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
めっちゃモチベある