第五十六話 悪鬼羅刹 Ⅱ
「.....あれは、剣....豪なのか?」
ハンゾーの絞り出すかのような疑問に月の死者は肯定するかのように刀を構える。その後ろで、猿は面白いものを見るかのような笑みを見せる。
まず、冷静さを取り戻したのはゴルドだ。
「アンジー!!!【剣豪】の足止めを頼む!!!」
「他は全員、猿の相手だ!!!」
こうして、血戦が幕を開けた。
【剣豪】の構えに呼応するかのように刀を構えたアンジー。それを見て、【剣豪】はアンジーへと狙いを定めた。そして、流麗な動作と獣のような瞬発力でアンジーへと詰め寄ると、切り掛かった。
「アンジーっ!!!!!」
しかし、そんな俺の心配をよそに彼女は完璧な動きでそれを受け流す。
「【主人公】さん、心配しないでください。それよりも猿を!!」
俺たちはアンジーと【剣豪】から意識を離し、猿へと向き直る。猿は、テレビを途中で親に消された子供のような不服そうな顔をすると俺たちを睨みつけた。
「驍ェ鬲斐☆繧九↑」
猿は特にお気に入りなのであろう黒い影を呼び出す。
そこにいたのは.....色男でクールな盗賊、無口で一見幼い魔術師、そしてお調子者の剣士であった。
実は今までの猿の鳴き声は文字化けテスターへ通すと日本語になります。