第五十二話 闇を欺け Ⅰ
「.......と、まあこのように【剣豪】とホワイトは迷宮の主である女郎蜘蛛と今回の事件の黒幕である猿と呼ばれていた謎の魔物を討伐したというわけね。」
「.....なるほど、でも仮にその話が本当だとしてもやはり疑問は残るぞ。その本によれば猿という魔物も女郎蜘蛛も殺されている。」
まず口を開いたのハンゾーだ。
「確かにそうなのよね、でも、今回のこの異常な現象とこの本に書かれた状況の一致は偶然というにはでき過ぎているわ」
どちらの主張にも理があり、判断するのは難しい。それに.....
「仮に、あの迷宮に原因があるとしても危険すぎませんか?話の中ではアーマードワイバーンが複数出現するという話でしたが俺たちの手に余るというか......」
「それは、大丈夫よ.....私たちはあの時初めてアーマードワイバーンと戦ったわけではないわ。あの個体は異常だったと言えるわ。体格からして従来のアーマードワイバーンの二〜三倍あったわ」
「.....そうだったんですか」
現状は手詰まりだ。パーティーの中を沈黙が支配する
「ならば、行くかい?女郎蜘蛛迷宮へ」
沈黙を破ったのはゴルドだ。
「これはチャンスだと思うんだ。【剣豪】とホワイト氏には悪いが、ここで女郎蜘蛛迷宮を攻略すれば空の異常と合わせて僕たちの名は世界に広まる。世界初の七大迷宮の踏破者としてね。それこそ【剣豪】のように歴史に名が刻まれるはずさ。」
これに賛成したのは意外にもハンゾーだった。
「俺はゴルドに賛成だ。この本には迷宮の道順やトラップ、生息する魔物についても事細かに記されている。もしこの本が本物ならば俺たちはかなり有利な状態で攻略へ臨める。」
俺も心は決まっている。
「俺も賛成です。この本は見たところマイナーなもののようですし、誰にも見つかっていない今がチャンスだと思います。」
「そうね、私もそう思うわ。アンジーはどう思う?」
「私も賛成です!!!!」
剣豪伝説の第二幕が幕を開けた