第四十五話 剣豪伝説Ⅲ ー太陽の化身ー 中編②
なんかめっちゃモチベがありました
迷宮の最奥部はそれまでの古代遺跡のような様相とは異なり、ドーム状の巨大なホールのような形をなしていた。
「まるで、コロッセオみたいだな....」
「.....確かに闘技場のようだな。つくづく迷宮というものはわからんな」
「って...おい!!【剣豪】!!アレをみろ!」
ホワイトが指の先には、虚な目で彼らを見つめる三人の男の姿があった。
「あれ....レオンたちじゃねえか、生きてやがったんだなあいつら」
「......待てホワイト、様子が変だ。」
「.....言われてみれば、顔つきというか雰囲気があまりにも冷たすぎる。それに、数日間ここにいたとは思えないほど服装に乱れがない.....何より魔力の流れがおかしい。本来、生きている動物なら無意識に空気中の魔力を取り込んでいるはずだが、それがない。」
「.....まるで死体、ということか」
「剣術バカのくせに察しがいいじゃねえか」
「【剣豪】用心しろよ」
「.....言われるまでもない」
レオン一行は【剣豪】とホワイトが近づかないとみるや否や各々が武器を構えて【剣豪】らに牙を剥いた。
「......やるしかねえか、【剣豪】!!レオンを任せたぞ。あとの二人は俺がやる」
「........任された」
そこから1秒もしないうちにレオンは自らの愛刀を【剣豪】へと振りかぶっていた。剛派一刀流と呼ばれるレオンの流派は一撃を当てることに重きを置いた戦いを行う。レオンはその流派の達人であり、硬い岩石を一刀両断するほどである。それに対して【剣豪】がとった選択は「受け流し」。レオンの太刀を受けるとそのまま力を受け流した。演舞と見間違えるほどの美しい動きだった。
「.....いい腕前だ。ただ、お前のような剣士は飽きるほど切り殺した」
その次の瞬間にはレオンの喉元が切り裂かれていた。達人であるレオンの目を持ってしても【剣豪】の技の起こりに反応できなかったのだ。人間であれば即死の一撃だ。そう、人間であれば。喉を切り裂かれて絶命したはずのレオンはそれでもなお血走った目で【剣豪】を睨みつけていた。そうして今度は先ほどとは打って変わって技術もなにもない獣のような動きで【剣豪】に襲いかかった。
「まるで獣だな、レオン」
【剣豪】はレオンの異様な姿をものともせず今度はレオンの手足の腱を狙って斬撃を放つ。1秒にも満たないわずかな時間でレオンの両手足の腱を切断した。まさに早業であった。手足のバランスを失ったレオンは【剣豪】に近づくこともできずに地面に転ぶ。そして今度は糸が切れたかのように動かなくなった、と思うとレオンの死体は黒いモヤのようになものなって消滅した。
「なんだ....これは」
「【剣豪】...無事か?」
「ああ、なんともない。ホワイト、これはなんだ?」
「さあな、こっちの二人も炎の熱でドロドロにしてやったと思ったら黒いモヤみたいなもんになって消えちまった」
「.....さすがに少々不気味だな。」
「へぇ...お前でも怖いもんはあるんだな」
「.....不気味なだけだ」
「俺は死ぬほど怖えよ、ただ....ここまできたらこんな悪趣味なことやってる奴の顔を見てみたくなってきた」
「......ふっ、それそうだな。ここの主を殺してお暇するとしよう」
「おい!!、笑ってんじゃねえよ!!」
桃源郷編とその次の章は結末まで考えてあるのであとは文章を考えるだけです