第三十九話 鈍
『「最低ですっ....!!」』
ここまできてやっと気づいた。そして、彼女と一夜を共にしてからの彼女の言動が頭の中を駆け巡った。アンジーはあの時酔っていたから俺との行為に臨んだわけではない。俺を好いてくれていたから、俺を慰めようと思ったから、あんなことをしてくれたのだ。不誠実どころの話じゃない。いますぐ会ってアンジーに謝らなければ、そして俺の思いを伝えなければ。
「メルトさん...俺、行かなきゃアンジーのところに」
「ええ....【主人公】くん、アンジーちゃんをよろしくね」
などと言って食堂を飛び出してきたものの彼女はどこにいるのだろうか。と、立ち尽くしていると、ハンゾーに出会った。
「....おはよう、【主人公】、息が切れているぞ、どうした?」
「おはようございます、アンジーを探しているんです。どこにいるか知りませんか?」
「アンジーならさっき自分の部屋に入って行くのを見たぞ。」
「ありがとうございます。」
「喧嘩でもしたのか?」
「ええ、というか俺が怒らせてしまったみたいで.....許してもらえるでしょうか?」
「...許されるつもりで謝ってはだめだ。素直に、自分の落ち度について話せばアンジーならわかってくれる...恋人なんだろう?」
「.....ありがとうございます!!!」
ハンゾーが気づいてるということはゴルドもおそらく気づいているだろう。俺、鈍すぎないか?そんなことを考えながら5分ほど歩いて彼女の部屋の前に辿り着いた。外からそっと様子を伺うと、すすり泣いている気配がする。パンッと自分の頬を叩いて気合いを入れる。今まで、泣いてしまった恋人と話すことはおろか女子と話した経験すらもほとんどない俺にはかなり荷が重い話だが、世の中の男にできて俺にできない道理はない。上◯当麻、結城◯ト...世の鈍チン主人公達よ俺に力を貸してくれええ!!そんなことを内心叫びながら扉を開ける。.....賽は投げられた。
ここまで何度かとあるネタを擦っていますが私は新訳の途中で力尽きました。