第三百九十六話 高笑い
俺とリイは食堂車で、三人分の食事の配送を頼んで、個室へ戻る....前に、義輝さんの様子を見にいくこととする。
先ほどの現場のように、騎士に止められるかと思ったが、身内だと伝えると難なく通ることができる。
義輝さんは手錠をかけられ、それが壁についている手すりへと繋がれている。....貴族の旅行向けの車両に独房なんて設備はないのだろう。
「義輝さん......」
「足利殿、お体に変わりはございませんか?」
「.......うむ」
義輝さんは今は一応客扱いされているらしく、しっかり食事なんかはもらえるそうだ。
すると、義輝さんが変なことを言い出す。
「.......どうやら、騎士は私を犯人にして、この件をこのまま事をうまく片付けたいようだ」
「どういうことですか?」
「......私が件の騎士を殺す動機がないと知るや否や、無理矢理それを私に吐かせようとするのだ.....他にも、ありもしないその騎士や閣下との接点を根掘り葉掘り聞き出そうとしておった」
「えっ!?それって......」
「ええ、なにやら意図を感じますね....」
「......ふむ、何者かが私を下手人に仕立てようとしている....というわけか」
「......最悪は、無理矢理この手錠を破壊して....逃げるしかないですよね」
「ええ、その時は....アンブレラ家の方々には悪いですが....」
「ふむ、その時は私に斯様な濡れ衣を着せた騎士どもを斬り捨てて回るのも一興か.....」
そう言って義輝さんは顎に手を当てて不敵な笑みを浮かべる。
「ちょっ!!まずいっすよ!!」
「.....戯だ。私を何だと思っているのだ」
「...足利殿もそのようなご冗談を嗜まれるとは、少々意外ですな」
「ははは、でも....本当に意外ですね」
「意外、か.....ふむ、そうか....はっはっは!!!そうか!意外か!!意外と申すか!!!」
この人ってこんなに笑うんだ..........もしかして、厳しい取り調べの末に心が.........
「おい、いらぬ事を考えているのではないか」
文字数が893文字でした。
馬鹿じゃねーの(笑)




