第三十六話 口は災いの元
今回もメルト視点です。
今回はツナギ的な回なので短めです。
今朝の朝食は、米、川魚を炭火で焼いたもの、青菜のようなものをカツオブシとショウユというもので味付けした和物、そしてミソというものを溶かしたスープ、ここの食事はハンゾーの故郷であるヤマトの庶民の食事を再現したものらしい。ここの経営者がヤマト出身なこともあってかかなり再現度が高い...らしい。昨日の夕飯の時にハンゾーが言っていた。パン食中心の食生活で育った私からしてもとても美味しいと感じる。ただ、一つ問題があるとすればこのハシというものがとても使いにくい。希望すればスプーンやフォークを借りることもできるがせっかくということでハシを選んだのは間違いだった。周りを見回すと他の客も皆スプーンやフォークを使って食べている。しかし【主人公】くんだけは、ハシを器用に使って食事をしている。まるで、何年も使っていたかのような手捌きだ。ますます疑問が募る。いっそのこと聞いてみるか。
「【主人公】くんってさ〜ヤマト出身なの?」
「えっ!?何でですか?」
「だって〜そのハシってやつ結構難しいのに使いこなしてるじゃない」
「こ、これは、その、昔ヤマト出身の知り合いに教わったんです」
「なるほどね〜...じゃあ、お姉さんにも教えてくれないかしら?...手取り足取り...ね?」
「...構いませんけど」
そうして【主人公】くんにハシの使い方のレクチャーを受けた。いくつかコツを教わり、ある程度は使いこなせるようになった。
「メルトさんすごいですよ!!大人でもしっかり使えない人もいるのに」
「ありがと、それにしても友人から教わっただけにしては随分詳しいわね?」
「あ、いえ、その別に」
松屋の焼きシャケ定食めっちゃ美味くないですか?