第三百七十一話 通り雨
私は色街へと急行し、大通りの中心で声の主を発見します。
それは.....はあ、思い出すだけで不快な気分になります。
そこにいたのは、お楽しみ中の恋人でした。
「な、なんだ!!あんたは!!」
「キャーーーー!!!」
それに遅れて、ベルボーイ殿が現れます。
「.......リイ、どういう状況だ」
「........どうやら、出歯亀をしてしまったようです」
ベルボーイ殿は呆然とする恋人二人を憲兵の証を見せながら、怒鳴りつけます。
「おいっ!!おまえら!!!こんなところでやってんじゃねえ!!!自分家でやれ!!!!!」
そうして、去っていく恋人を見送りながら、二人でため息を吐きます。
「ったくよお....紛らわしいことしやがって.....」
「申し訳ありません」
「気にすることねえよ、大体...こんな真夜中に大通りのど真ん中で致すなんてどういう神経してやがんだ。『ドア男』の件で、憲兵が忙殺されてなかったら逮捕してやるっつうのによ」
「..............どうやら、今晩は奴の勝ちのようですな」
そう言い放つ私の視線の先には、空が白み...そこから顔を覗かせる太陽の姿がありました。




