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そこそこの中堅冒険者(自認)の俺がパーティーを追放されて真の実力を知り逆襲の旅へ!?〜今度こそは普通の一般市民になろう!!!(強い意志)〜  作者: 酒粕
第四章 南海探究編

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第三百六十六話 燕が低く飛ぶ

そんな時であった。おめでたムードをぶっ壊すようなノック音が部屋へ響く。


間も無くして部屋へ駆け込んできたのは、先日修練場で俺の武勇伝に目を輝かせていた中にいた若い騎士だ。

「失礼致します!!!至急、ベルボーイ殿からの言伝を預かっております」

部屋の空気がドッと重くなる。

「貴様!!何のつもりだ!!不躾にも程があるぞ!!」

ゴームズの一喝に怯えながらも、若い騎士は続ける。

「ですが!急を要する事態であると!!」


そこまで聞いたゴームズは、

「.....わかった。先ずは私が聞こう。....外へ」

そう言って外へ出ようとする。

しかし、

「ジェームズ様に直接お伝えして、判断を仰げと....」

騎士は食い下がる。....相当な緊急事態らしい。


「貴様!!この街の治安維持の責任者は私だぞ!」

ゴームズがそう怒鳴る。....まあ、ヒラが直属の上司を飛び越え、いきなり社長に直訴しているようなものなのだろう。それで、この幸せな空気をぶち壊されたとあれば、ゴームズがこうなるのも無理はない。


そこまで聞いて、ジェームズが重々しく口を開く。

「........もうよい、ゴームズ.....ルーカスよ、話を聞かせてくれ」

そうして、ルーカスと呼ばれた騎士は口を開く。

「それが.....色町の路地裏にて、先ほど....『ドア男』の被害者の者と思しき死体が発見されたそうで.......」


「「「「「「.........!!!」」」」」」

......は?何かの間違いだろう。ソーはもう殺した。それで、『ドア男』事件は収束したはずだ。



.......冤罪、だったのか?いや、あいつはあいつで犯罪者か....。となると、模倣犯?真犯人?....一体どうなっているんだ。



「........それは真実か?」


「はい!!本日の夕方、娼婦の死体を街の獣狩りが偶然発見し、憲兵への通報により発覚したものです。解剖や識者からの助言の結果、昨晩殺害されたものだと断定されました!!」


「.....ソーの死体はすでに火葬済み、奴は『ドア男』ではなかったのか」

そう言って、ジェームズさんは暗い顔をする。

コゼットは顔を真っ青にして、アレスに抱きついてる。

アレスはそんなセレスを守るように彼女を抱きしめる。



「.........騎士を動員して、街の巡視にあたらせます。それでは、失礼致します」

そう言って、ゴームズは若い騎士を連れてその場を立ち去ろうとする。

「ああ、頼む」



それに待ったをかけるのはアレスだ。

「父上!!私もお供します!!」


しかし、ゴームズはそれを許さない。まあ、新婚ほやほやの男だ。妻のそばに居させてやりたいというのが親心というものだろう。それに、『ドア男』が女性を狙う以上セレスがターゲットにならないとも限らない。まあ、その可能性は限りなく低いだろうが。

「アレス.....お前はセレス様をお守りしろ」


「そういうわけには.....」

しかし、アレスは葛藤しているようだ。騎士としての責務か、夫としての責務か。


そこで、口を開くのは意外にもセレスだ。

「ゴームズ!アレスを....私の夫を連れて行って差し上げて」

そう言って、アレスの背中を優しく押す。その姿は泣き虫で無垢なご令嬢ではなく、一人の「婦人」であった。

「....セレス!!」


「アレス....私なら大丈夫よ!!先生に守っていただくもの!!だから....貴方は、騎士としての責務を果たしなさい」


「わかったよ、セレス。....【主人公】さん、妻を....セレスをどうかよろしくお願いいたします」


「まかせてくださいよ、俺がいる限り、誰一人死なせませんよ」


「英雄殿にそこまで言っていただけるとは......感謝いたします」


「セレス様.....旦那様をお借りいたします。....ご安心を、必ずお返しいたしますので」


「ええ、ゴームズ!返さなかったら承知しないわよ!!」


そうして、騎士たちは退出していく。


続いて、ジェームズも部屋を出る。


セレスは、母親の隣に座ってぴったりくっつく。


.......あんなこと言っても、怖いものは怖いらしい。


そういう俺も、少し離れたところへ腰を下ろす。



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